〈債権総論〉相殺⑶ 相殺の要件② 不法行為と相殺〔オンラインロースクールテキスト〕

※ オンラインロースクール(予備試験・司法試験学科)はこちらから

※ 今回は全て読むことができます。マガジンをご購入頂ければ、全ての記事を読むことができます。

今回は,相殺禁止のうち.「受動債権が不法行為によって生じた場合」について見ていきます。

民法の勉強をする際には,必ず図を書いて整理するようにしましょう。


Q:不法行為によって損害賠償請求権が生じた場合に,これを受働債権として相殺をすることはできるか。

A:不法行為によって損害賠償請求権が生じた場合に,これを受働債権として相殺をすることはできない(509条)。
509条の趣旨は,不法行為の被害者に現実的な損害の填補を受けさせ,また不法行為(債権を回収できない者が腹いせに不法行為をすることや,自力救済をすること)の誘発を防止することにある。
例えば,AがBに対して貸金債権を有し,他方,BがAに対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有している場合,不法行為の加害者であるAは,「A⇒B 貸金債権」を自働債権とし,「B⇒A 不法行為に基づく損害賠償請求権」を受働債権とする相殺をすることができない。


Q:不法行為によって損害賠償請求権が生じた場合に,これを自働債権として相殺をすることはできるか。

A:509条は,不法行為に基づく損害賠償請求権を受働債権とする相殺を禁止しているが,自働債権とする場合は相殺を禁止していない。その理由について,判例は,「民法509条は,不法行為の被害者をして現実の弁済により損害の填補をうけしめるとともに,不法行為の誘発を防止することを目的とするものであるから……」と述べている(最判昭42.11.30)。
 例えば,AがBに対して貸金債権を有し,他方,BがAに対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有している場合,不法行為の被害者であるBは,「B⇒A 不法行為に基づく損害賠償請求権」を自働債権とし,「A⇒B 貸金債権」を受働債権とする相殺をすることができる(509条反対解釈)。


Q: 自働債権と受働債権がともに不法行為に基づく損害賠償請求権である場合に,相殺をすることができるか。例えば,X,Yがそれぞれ自動車を運転中,双方の過失により両者が衝突し,双方の自動車が損壊した。XがYに対して不法行為による損害賠償を請求した場合,YはXに対する不法行為による損害賠償請求権を自働債権とする相殺の主張ができるか。

A:判例は,自働債権と受働債権が当事者双方の過失による同一の交通事故から生じた損害賠償債権である場合にも,相殺は許されないとする(最判昭32.4.30,最判昭49.6.28)。

本日は以上です。

不法行為と相殺については、間違えてしまう方が多い論点ですので,これを機会に押さえておきましょう。

この続きをみるには

この続き:0文字
この記事が含まれているマガジンを購入する

Y−Method民法編です。 買い切りのマガジンですので、一度ご購入いただくと全ての記事をご覧いただけます。 本試験までに重要論点を確...

または、記事単体で購入する

〈債権総論〉相殺⑶ 相殺の要件② 不法行為と相殺〔オンラインロースクールテキスト〕

安田貴行@オンラインロースクール

300円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

オンラインロースクールテキスト〔民法完成ゼミ〕

Y−Method民法編です。 買い切りのマガジンですので、一度ご購入いただくと全ての記事をご覧いただけます。 本試験までに重要論点を確認できるように更新していきます。 Q&A方式による知識の確認が可能です。 ※ 2017.9.15 この度,マガジンの価格を大幅に下げました...
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。