憲法検討のコツ(権利選択編-平成25年公法系第1問を素材として-②)

大枠を外さないようにする

 前回の検討(憲法検討のコツ(権利選択編-平成25年公法系第1問を素材として-②)から明らかなとおり,問題となっている権利が,国家の不作為を要求することを内実とする消極的権利なのか,国家に対して積極的作為を要求することを内実とする積極的権利なのかを検討するだけでも,大枠を外さないようにすることができます。

 また,そもそも,憲法上の権利の内容として,どのようなことが保障されているのかを正確に押さえておくべきでしょう。このことが,憲法の事例分析に必須であることも理解してもらえたと思います。それゆえ,憲法学習の際は,「判例」を読むのも大切ですが,基本書に書かれている一般論の部分も丁寧に検討しておくべきです。

 ひととおり学習を終えた段階では,まずは,目の前のケースにおいて,問題となっている憲法上の権利制約が,「消極的権利」の文脈なのか,「積極的権利」の文脈なのかを意識していくべきでしょう。ここを外してしまうと,たとえば,生存権が問題となったときに,「生活保護法の合憲性を目的手段審査にて論じる」ということを始めかねません。この大きな枠組みでの考察ができることが,「憲法の基礎」 を理解しているとの評価につながります。

23条??

 次に,不許可処分②に対して,23条を用いることができるのかについて検討していきます。

 23条の検討に移ったとしても,やることは同じです。つまり,23条から,「教室を使用したい」という使用請求権を導くことができるのかという点を検討していきます。

 ここからは,受験テクニック的な話に近くなりますが,学んでいないオリジナルなものを試験会場で吐き出すのは,原則として避けるべきです 。つまり,23条を根拠に,大学に対して何かしらの「請求ができる」という立論をするのは避けるのが無難であると考えます。23条で保障される学問の自由も,その性質は「自由権」であり,あくまでも,公権力に対する防御権の一つです。仮に,この条文から,「使わせてくれ」という権利を導くのであれば,21条におけるパブリック・フォーラム論のような立論が必要となります。しかしながら,そのような議論は一般的な基本書を用いて学習することはほとんどないでしょう。そうであるならば,基本どおり,「使わせてくれ」という権利は,23条で構成するのは難しいという結論に至ることになります

そうであるにもかかわらず,平成25年の採点実感では「残念ながら,Aが教室の使用請求権を当然に有するとしている答案,学生に教室使用の権利が保障されているとする答案,一般的な表現の自由や学問の自由の規制として処理しようとする答案」があったとされています。おそらく,上記検討の手順を踏むことができていないと思われます。

では,ここまで検討してどのように書いていくのかということですが,この問題は,ご丁寧に「経済学部のゼミには許可が出された」という事情が用意されています。そのため,自信を持って14条の検討に移っていくことになります。

それは,また,次回の記事で。

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安田貴行@オンラインロースクール

司法試験、公務員試験、行政書士試験,自治体法務研修等を担当。他には リスクマネジメント,コンプライアンス,環境法,学校法務,社会人のための法律入門。近畿大学法学部法律学科,関西大学法科大学院卒業。モットーは「学ぶ者の思考を鍛えるものは、良き答えではなく、良き問いである」。

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