再保険の仕組み①(再保険の意義・機能)

今回は損害保険業界に携わるものとしては必ず理解しておかなければならない、「再保険」について勉強します。

なんで保険会社が更に保険かけるの?再保険って誰がどのように締結するの?一般消費者にも関係あるの?など再保険にまつわる話を書きたいと思います。
再保険なんてマイナーな分野だから興味ない!と思われる人も是非読んでみてください。実は、再保険って本当は非常に重要なものなのです。

1.そもそも再保険ってなんですか?
 再保険とは、元請保険者(損保ジャパンや東京海上等)が巨大な自然災害等により巨額の保険金支払を負う可能性があるという観点から、その引受けた危険(リスク)を減少させるため、他の保険者(再保険会社)にリスクを転嫁する保険契約のこと。再保険を引き受ける会社を再保険者(Reinsurer)あるいは受再者といい、再保険を依頼する会社(通常、元請保険会社)を出再者(Cedant)といいます。

⇒保険は、「いざ」の時を支えるためにあるのに、「いざ」が巨大過ぎたら保険会社が潰れて保険金支払いができなくなってしまう・・・なんてケースは絶対に避けなければなりませんよね。例えば2018年9月に発生した台風21号は保険金の額が1兆円を超え、これを元請保険会社だけで引受けていたら財務的な大ダメージを負うことになります。

2.再保険の意義・機能は?
 再保険は、元請保険会社の経営を安定化するために重大な役割を果たしていますが、主な機能を3点紹介します。

(1)引受け能力の補完
 元請保険会社単体では保有できない量のリスク量を引受けすることができる。

(2)リスクの分散
 自然災害などの巨大災害のリスクを効率的に分散することができる。

(3)事業成績の安定化
 元請保険会社にとって、お客様全体(契約集団)のリスクを安定化を図ることができる。これによって、損害率が安定し、必要資本を余分に積まなくて良くなる。また、大数の法則が適用できる契約集団が拡張し、より効率的な保険運営ができる。

以上の通り、保険会社にとって経営をする上では再保険の仕組みが大変重要になります。ちなみに私の働くメガ損保では、再保険を扱う部署が設定されており、英語と数学に堪能な職員が多数活躍しています。再保険マーケットは非常にグローバル化が進んでおり、保険ブローカーや受再会社は基本的には欧米保険会社です。また、再保険料の設定には、数学的知見が必要であり、数学的なバックグランドもあると望ましいです。

それでは今回はこれにて!

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