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私には才能がないけど見る目はある?

例えばの話である。

イラストレーターになりたいと宣言し、下手なりに毎日イラストを描いて、TwitterやInstagramにアップして、褒められたら素直に喜び、またどんどんと描く人がいたとする。

イラストレーターに憧れる気持ちがあって、いつかはなんて思いながら時々こっそり描いて、でも私は見る目があるから自分が下手なことを自覚している、あの子みたいに下手な絵を晒してお世辞をもらって喜んだりしないと思っている人がいたとする。

イラストレーターになれる確率が高いのはどちらだろうと思う。

20代前半までの私はずっと後者の人間だった。自分には出来ないけど見る目はあると思っていて、センスがないのに堂々と夢を宣言する人を心のどこかで見下していた。よくそのレベルでそんな大きな夢を言えるよねとか、周りのみんなに無理って思われていることに気付いてないのかなとか、そんなひどいことばかりを思っていた。

そのセンスがないと思っていた人たちが、無謀なことを夢見ていると思っていた人たちが、しっかり夢を叶えて、本当にそれを仕事にしてお金を稼いでいくようになっていくのを、20代後半で何度も見てきた。叶えた夢のジャンルは、ビジネスだったりクリエイティブだったり、ばらばら。見る目がないのは私だった。

完璧なものしか見せたくないというプライドは、特に初心者にとって邪魔でしかない。だって最初は完璧なものなど作れない。そんな簡単なことに気付くまで、私は他人にも自分にも厳しかった。でも本当は、自分にだけ甘かったのだと思う。誰にも見せなければ傷つくこともないのだから。

下手でもいい、とにかく人に見せてフィードバックをもらうこと。周りの目は関係ない、コツコツと積み重ねていくこと。毎日続ければ、一年後、二年後は、今よりずっと遠くにいけること。挑戦しなければその夢が叶うことは一生ないこと。何かを仕事にするために天才である必要はないこと。天才でなくても努力と戦略次第でそれなりにやっていけること。

私には才能も見る目もないけど、努力を積み重ねていく根気はあるし、どうやったら上手くやっていけるか戦略を考えることはできる。それだけあったらまずは十分なんじゃないか。気付いたらもうすぐ30歳になるけど、いくつになっても下手なものをどんどん晒していけたらいいなと思っている。