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ラグビー日本代表分析。松島幸太郎。

私は理学療法士/スポーツシューフィッターの安田智彦と申します。

私は社会人ラグビーチームの神奈川タマリバクラブというチームでトレーナーをさせていただいています。

今回はラグビー日本代表のフィジカル分析をしていきたいと思います。

最近多くの学問に触れたり、人から学ぶ中で言語化の重要性に気づかせていただきました。

実際、この選手はすごいと思うことは多々ありますが何がすごいの?と聞かれると説明が難しかったりします。

身体の専門家がトップアスリートの身体特性を分析・探求することは有益な情報になり得るのではないのかなと思っています。

トップ選手の身体特性を知ることはアスリートのパフォーマンスアップに寄与するのではないかと思い今回記事を書かせていただきます。


まずこの動画を見ていきましょう



松島選手のプレーを見て何がすごいと思いましたか?

スピードが速いトリッキーなプレータックルが強い等の意見が出てくるかと思います。

なぜスピードが速いのか?

なぜトリッキーなプレーができるのか?

なぜタックルが強いのか?

を分析していきたいと思います。


▼スピードについて


この画像を見ていただければわかる通り、足が後ろにかなり伸びており、胸が前に突き出た姿勢をとっています。

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広背筋が収縮することで胸が前に突き出すことができます。広背筋は胸腰筋膜を介して大殿筋、ハムストリングス、下腿三頭筋と筋連結があります。


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下行性の連鎖が生じて下腿三頭筋の強力な収縮を有した爆発的な蹴り出しを可能にしてくれます。

また広背筋を介して胸腰筋膜が働くことは後のタックルやトリッキーなプレーでもカギとなってきます。

蹴り出した足を素早く引き付けることでピッチを稼いでいます。

ラグビーやサッカー等の球技スポーツは陸上競技と違い、10mのスプリント、長くても50m前後です。

短い距離をいかに早く走るには爆発的な蹴り出しとピッチがカギとなってきます。

松島選手はこの2つを兼ね備えているといえます。



▼トリッキーなプレー

映像を見ていただければわかると思いますがスプリント時に上半身がブレていないことがわかります。
前から見ると肩甲骨・骨盤がそろった綺麗な姿勢をとっています。

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肩甲骨と骨盤が限りなく水平なポジションは上半身を動かすには有利に働きます。
先ほど述べた胸が突き出た姿勢は広背筋を収縮させ胸腰筋膜を引っ張ります。
この胸腰筋膜が引っ張られると腹横筋、多裂筋が収縮しやすくなります。

腹横筋や多裂筋はいわゆるインナーマッスルといわれるものです。
このインナーマッスルが同時に収縮すると体幹を剛体のようにも使えますし、しなやかに体幹を使えたりもします。

この映像を見ていただければ体幹が整った綺麗な姿勢から上半身の回旋や並進運動を用いて舵を取っていることがわかります。

上半身を先行した動きに下半身がついてきているというような感じです。
上半身と下半身が連動した動きは伸張反射が使えている動きとも言えます。
いわゆる身体にキレがあるということです。

スプリント時に体幹がブレないことで自由なフェイントや急激な方向転換が可能になります。

状況判断能力が優れているのもそうですが、加えて体を限りなく自由に操作できることがトリッキーな動きを可能にしている所以だと考えます。


▼タックルが強い

タックルする際には体幹が瞬時に剛体化する必要があります。

そのためには瞬時にインナーマッスルたちを同時収縮させて腹腔内圧を高める必要があります。

先ほども述べた肩甲骨・骨盤が限りなく水平に整った姿勢はインナーマッスルが同時に収縮しやすいような環境といえます。

つまり、瞬時に体幹の剛体化が行いやすいと言えます。


この態勢であれば一気に体幹を剛体化することができるので力強いタックルが可能となります。
松島選手はスプリントという速い動きの中でも体幹がブレないため常に体幹を剛体化しやすい環境に身体があるといえます。



・スピードが速い →後ろ足での蹴りとピッチ
・トリッキー →肩のライン、骨盤ラインが水平なため上半身の自由度が高く体幹がブレない
・タックルが強い →体幹の剛体化がしやすい姿勢が整っている


私の考える松島選手の身体的特徴である。


理学療法士/スポーツシューフィッター  安田智彦




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