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エッセイ集

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”寛容”に振り回される人生

”寛容”に振り回される人生

人はどこまで”寛容”になれるのか。
ふと、思うことがある。

それぞれ個人の脳や心のキャパシティは決まっていて、それでいて自覚している人はどれだけいるのだろう。

あるとき、「プツリ」と切れる瞬間がある。

あるとき、何年も容姿をからかわれていた友人が。
あるとき、家に帰らず会社に籠っていた同僚が。
あるとき、温厚だった恋人が。

倒れたり、発狂したり、姿を晦ましたりする。

他人にも、本人にもわ

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ミニバンな距離がいい。

ミニバンな距離がいい。

人は、集まるほど存在を強めるのか。
人は、集まるほど存在が弱くなるのか。

私は、後者だ。
2人が、5人に。また10人へと増えるたびに、私は居場所を無くしていく。

誰であろうと、自分を見てくれることを期待するのは間違っているのだろうか。

冷たいことを言うと、私は「目的のない」集まりはあまり好きではない。
それは結局、”言い出したやつ”の空間だから。

人が多いほど、誰かがリーダーになって会話が

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会いたくない病

会いたくない病

人に会うのが、怖くなるときがある。

何処にいても、”居場所”を見つけられない自分がいる感覚があって。

私はまた、”空(から)”に閉じこもる。

居場所不在なのはきっと、私が無意識に張るバリアのせいだ。
普段、俯瞰で自分なんか見つめないくせに、他人を俯瞰で観察している。

その時々に合わせて、私は”私”であり続ける。
「無難な人」になりきる。

いても、いなくても、変わらない存在でありたいとどこ

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「おめでとう」は言いたくない

「おめでとう」は言いたくない

私が初めて妊娠した人の姿を見たのはきっと、弟が生まれる前だろう。
記憶には鱗片も残ってはいないけれど、確かにそこに妊娠した母の姿があったはずだ。

流行病というには酷く残酷なウィルスが世界に蔓延しているが、この時期に命を授かるという重みはそれぞれに圧し掛かるだろうと想像する。

今夜私が話すのはコロ助(コロナ)の話ではない。ある知人の物語だ。
"知人"とは上手く言ったものだが、私は"知人"ではない

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#発信者 は誰だ

#発信者 は誰だ

どうも、"私"です。 #発信者 です。

貴方もですよ、そう、そこのあなた。
言葉で、仕草で、文字で、絵画で、行動で。
常に、"発信"しているそこのあなた。

何をかって?

それは「情報」です。

自分の気持ちや、考えや、思想や、理念。
人の目につけば、それは1つの情報になり。

その瞬間、私たちは#発信者 になります。

え?そんなの知らない?

えぇ、その通りです。 #発信者 は、その事実を

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出口を探せ!

出口を探せ!

緊急事態宣言が発令されてしばらくだけど、ふと思った。
友だちに会えなかったり、外に出れなかったり。
この状況って、大学受験の浪人期に似てるなあって。

勉強嫌いで、授業もろくに聞かないから高校では急激に学力が落ちた。
同じような人、いるかな。
私は中学までそこそこ普通の成績(中の下)で、そんなに真剣に勉強しないで上手いこと乗り越えてしまった人だ。

苦労せずに進むと後でそのツケが回ってくる。
その

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物語ノックアウト

物語ノックアウト

物語を誘発するのはいつだって、「物語」であるものだ。
私は書き殴った文章を見て落胆する。
私の中にあった、”内なる嫉妬”や”秘めたる憎悪”、”伝えきれない愛情”とかいうごちゃまぜな感情は、何1つとして私の役には立たない。正確には、"私の文章には何の変化も生まない。"

1か月もの間noteに手を付けず、仕事を始めてから感じたことのなかった絶対的な”喪失感”に苛まれていた。浪人期にも、不登校時代にも

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深夜のカーテン向こうは大切な何かを気づかせてくれる

夜、何を想うか。

20歳を超えて滅多に訪れることの無い静寂。
私は1人だ。灰色1色の部屋の内装が、カーテンを開けただけで淡い光に包まれる。

オオカミが出てきそうな夜だ。

人がこんなことを思うのは、1人になって広い世界を垣間見た時。

普段気にすることの無い、虚無な空、空気。

案外、私は嫌いじゃない。
一人暮らしをしていない身だと、もう当分訪れないであろう瞬間だ。

私は食い入るように、窓か

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何かを捨てるその前に

何かを捨てるその前に

捨てて、無くして…初めて気づくことがある。

私は最近もやもやしている。
仕事も、プライベートも、家族とも。
上手くやってるはずなのに、「これでいいのか」と己に問いただしている。

去年、いらない繋がりを捨てた。
スッと楽になった気分は今は「寂しさ」に代わっている。

信頼とか、安心とか、どこから湧いてくるのだろう。

私にはわからないや。

今繋がってる知り合い全員が、私を安心させてくれる人では

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食卓は味の記憶だ

食卓は味の記憶だ

私の実家は、自慢じゃないが料理が美味しい。

父は、私が幼い頃何故か調理師免許を取ったらしく洒落た料理が得意だ。

母は、父との結婚当初は湯豆腐しか作れなかったらしい。
だが主婦というのは偉大なもので、いつの間にか多彩な家庭料理を作れるようになったという。

長男の私。
不器用で、中学の調理実習ではお米をまっくろくろすけにしてしまったこともある。
才能はないみたい。

次男。
まず、自分では何も作

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拝啓 自己肯定感のない君へ

拝啓 自己肯定感のない君へ

拝啓

自己肯定感のない君へ

お久しぶりです。私だよ。
君は今、自分の生きる道を生きてるかい。

君は昔から、自分のことを否定してばかりだったね。
どんなときも自分自身以外を優先して他人のことばかり考えてた君は今、何をしているの。

今も他人のことばかり考えて生きているのかい。

その生き方は、周りに振り回される人生を呼び込む。

どこかで行き苦しく感じたことがきっとあると思う。

「私なんか」

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