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「つながる」ではなく、「一緒にいる」を創る

僕の周りでチェアリングが少しずつ広まっている。チェアリングとは、公園などに各々がキャンプ椅子などを持ち寄り、気持ちよい天気の中でお互いが自由気ままに過ごすという時間の過ごし方。

本を読む人もいれば、音楽を聴いてる人もいれば、ふらっと写真を撮りに行く人もいれば、プシュっとビールを飲み始める人もいる。集まったのに勝手に過ごし、何かのきっかけで会話に花が咲けばおしゃべりをし、それが終わればそのまま自分の娯楽に戻る。

「あ、これ面白いな。」
「あ、いい天気で気持ちいいな。」
「あ、酒が美味い。」

ふとした瞬間のちょっとした感動や心の機微を伝えられることがチェアリングの醍醐味なのだと思う。

この活動は個人的におもしろいなぁと思って見ている。外で本が読みたければカフェに一人で行けばいい。わざわざ誰か近くにいる状況で活動する必要はない。なのに、集まる。チェアリングには、LINEやFacebookメッセンジャー、電話ではダメな理由があると思っている。

まずLINEやメッセンジャーは"文字を打つ"必要があってすごく理性的だと思う。何かを伝えようとしたときに”どう伝えようか”という思考が必ず入る。感動的になのか、バカっぽくなのか、あえてなんも考えてないようにするのか、どんなメッセージも”打つ”という作業を経ると加工されてしまう。ただ、その代わりにメッセンジャーは猶予を与えてくれる。好きな時に好きなように返せばいい。時間が縛られることがない。

一方で、電話(テレビ電話もLIVE配信も)は感覚的だ。プライベートで脳内でゆっくり練ってから喋るなんてことはほぼしない。気心の知れた人となら、なおさらである。その代わりにナマモノだから猶予はない。即時性を求められてしまうし、繋がっている限り自分の時間は拘束されてしまう

チェアリングはそのいいとこ取りで、文字を打つ作業せず、より感覚的でいながらも、人と適度な距離を持てるコミュニケーションが可能だ。そこに人の気配があるけど、縛りがない。強制的な時間ではなく、ゆるやかな時間が流れる。

でも、そこまでして人と繋がりたいのか、そんなに何でもかんでも共有したいのか、と疑問に思う人はいると思う。

それはよく分かる。でもこれは電話でもLINEでもなく、新しい体験なのだ。SNSでいう”繋がる”ではなくて、”一緒にいる”ということなのだ。家族じゃなくても、恋人じゃなくても、ただ一緒にいるということの価値を求める人が一定数いるのだ。(まだまだマイナーだけれども。)

ここからがようやく本題で、僕はそれをオンライン化できるのではないかと思っている。例えば、LINEで擬似同棲をしたり、リモートワーク中にSkypeで繋ぎっぱなしをしている人たちがいるのが、その第一歩だ。

そして、これがもっと進むとこういう世界が待っている。

日本「…あ、ちょっとロゴデータ送ってくれない?」
タイ『あーい。送ったよ』

別の国にいる同僚とまるで同じ空間にいるかのように話をして仕事ができる。

イギリスで働く妻「ただいま〜」
アメリカで働く夫『おかえり〜今日どうだったん?』

2人が世界を自由に渡り歩き、その日家に着いたら擬似同棲が始まる。お互いの自由を守り、それでも一緒にいる、ということが可能になる。

自分「このカレー最高だな」
友人「え、俺もカレーにしようかな」

今までお互い一言も発さなかったのに、一人でカレーを作りながらボソッと言った言葉に対して、遠く離れた自宅でゴロゴロしている友達が返事をしてくれる。

どのケースも、手ぶら会話で、ながら会話である。声以外の音は聞こえない。ながらで何をしているか察されない。つまり、瞬間的なことばを文字化する作業なく、話した瞬間にだけ遠く離れた人に音声として届けられたら、会話:沈黙=0.1:99.9くらいのコミュニケーションが可能なら、いわゆるバーチャルチェアリングのようなことが実現できるなら、新しい働き方と暮らし方が生まれてくるはずだ。

AppleがiPadのCMで「What’s the computer?」と唱えたように、「What’s the phone?」みたいな世界が作れるかもしれない。しかも、それが提示しているのはツールではなく、人と人が一緒に過ごす方法なのだ。

で、そんなことどうやってやるの?という話で、ようやく出てくるのが僕のいるBONXという会社。まだまだ先は長いですが、そんなテレパシーのようなコミュニケーションを作れるポテンシャルのある音声IoTスタートアップ。細かいサービスの話をするのはなんだかステマっぽいので(もう十分そうか)、ここで終わりにしておきます。興味ある方はウェブサイトへどうぞ。

次はこれだけ今の会社の話をしておいて、会社員兼フリーランスのことについて書こうかなと思います。

*ちなみに上記は全て僕の個人的な見解ですので、あしからず。

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