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PPP的関心2023#15【民間が行う地域課題解決。こみなと待合室・ガーデン@五井,視察"速報"】

五井(ごい)駅はいつ降りたのか?(いや、そもそも降りたこともなかったかも?)不明なほど珍しい訪問先なのですが、地元を元気にしようと活躍している市原の若者・大橋さんからお声がけいただいたことに加え、小湊鐵道の車両たちを間近で見ることができるっ!という鉄分的なワクワク動機も手伝って行ってきました。目的地は「こみなと待合室」、そしてこみなと待合室の横にできた新たな空間「こみなとガーデン」の プレオープンイベントにお邪魔しました。
今回はとりあえず「速報」ということで情報は少ないですが、この場所を広めるお手伝いをしたいと思いPPP的関心に取り上げてみました。

地域課題と民間企業の連携取り組み

市原市(五井界隈)について

市原市について、当日のスピーチの中でも「ほぼほぼ何でもあるけど、故にこれだというものもない」という言葉を聞きました。12.8万世帯27万人強という地方自治体としての規模は決して小さいとはいえず、加えて工業出荷額も全国的に上位ランクにあるといった具合に、数値で示されれば課題がないように見えます。
そんな市原の中心の一つである五井ですが、(当日、自分も歩いて感じたのは)こみなと待合室と反対口はすぐに工業地帯が迫り港湾やその関連で働く方々のお店と塾ばかりが目立つ印象で「ゆっくり」と留まれる空間があるとは言い難く、こみなと側には高速バス停などが幅を利かせこちら側もやはり「留まれる」場所・空間が見当たらない、単なる通過点にしかならない印象です。どちらも27万人の人口規模を抱える玄関口として快適、豊か…という感じを持てない場所でした。
財政や規模に関する数値だけでなくQOL、Well-Beingの観点で「中心市街地での過ごしやすさの創造」は市原市(五井界隈)にとっての都市課題の一つと設定できそうです。

小湊鉄道と地元起業家の取り組み

こみなと待合室は元々は小湊鉄道の本社横にある会議室であった建物をまちに「開いて」、小湊鐵道自らが直営でCaféスペースを併設した「待合室」としたことが始まりだそうです。「駅周辺にはバスや列車を待つのに雨や風、暑さや寒さを凌げる場所がない」 という街の声に対し、行政に要望することから始めるのではなく、必要とされる空間、憩いを提供する都市アメニティ(住環境の快適性を高める設備や施設・衛生的環境、価値を創造する建物の様式や景観など)を自ら提供することで街の声に応えたということです。

今回は小湊鉄道と株式会社ICHIHARA CONNECTION(地域を元気にする活動をする不動産事業者、デザイナーたちによる会社)手を組むことで、待合室をさらに楽しめる場所にしようという試みです。ICHIHARA CONNECTIONの活動の一つである「地ビール・ICHIHARAビール」のお披露目も行われ、市原といえば「これ」というものを生み出そうという端緒も感じることができましたし、留まれる空間として認知が広がり定着すれば将来この場所が市民の憩いの場になるという期待感が高まる空間でした。
また、プレオープンの会場には市原市長、市役所の幹部、商工会議所の方々も参加されていて、行政にとっても地域産業にとってもこの場所に期待を寄せている様子も伺えました。

ICHIHARAビール
プレオープン会場の様子

関心を持った視点。民間が進めた公的サービスの質的向上

今回の取り組みは、起点となったこみなと待合室、さらにこみなとガーデンのオープンが民間企業どうしの連携による民間企業の活動です。ただし民間施設が駅前にできたことで地域の都市アメニティを充実させたという意味において公的サービスの質的向上を実現した活動でもあります。つまり民間による公的サービスの提供です。
「地域経営課題」を民間企業・市民自身が掴み、その解決策を自らのアセットや知恵を用いて解決する進め方はまさに公民連携、PPP的な取り組みそのものといえます。

公民連携の定義。民間が提供する公的サービス

PPP的関心でも何度か触れてきたと思いますが、PPPを「公民連携」という言葉で表現するのは官民という連携の主体を表す言葉使いではなく、目的と主体を組み合わせた(「公」的な目的を民間とともに)という意味合いで使用しています。

東洋大学PPPポータル 公民連携専攻 概要より

その意味でも今回の取り組みは民間の事業フィールドで民間自身が取り組んだ駅前という公的空間の質的(快適に過ごせる空間の整備という)向上を市原市や商工会議所といった公的セクターが応援する(整備にあたって補助金等の支援もあったと聞きました(*事実確認は未完了です))という点で規制・誘導型PPPという分類に相当すると考えられる事例といっても良いのではないかと思います。

民間主導のPPPまちづくりという点で注目の場所を訪れたわけですが、今回は「速報」的な記事で大した情報量もないのはご容赦ください。
ですがとても気持ち良い空間であり、何より小湊鐵道の車両たちの"近さ"に感激した場所でしたので、機会を作って再訪したいと思います。


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