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PPP的関心2023#30【両得発想の民間提案制度】

我ながらよくも続いたなぁと思うところですが、2023年に入って30週連続更新に当たる今回はnoteを毎週書き始めて100週連続の節目でもあります。
週に1回(以前は週に2回更新の時もありましたがひとり会社を立ち上げて以降、周囲の皆様のご支援のおかげで業務的に週2回が困難になり今に至ります…)更新し続けるのは、文才に乏しい自分には骨の折れるワークでした。でも、続けてます!って言い続けてきたことで自分を自分で激励することでなんとか続けることができました。
100週連続投稿の記念すべき記事のテーマは何にしようか?などとチョッと色気を出して考えてみましたが、浮かれず騒がず、普段通り最近気になったニュースをネタに書くことにします。


最近目にしたニュース。静岡県磐田市の官民両得の民間活力導入策

「民間事業者の方に磐田市を全国共通の地域課題を解決するためのフィールドとして使っていただく」、つまり民間の活力を導入して民間企業には施策の実証の機会を、自らの自治体では地域の課題解決(その糸口)を掴む、というなんとも大胆な「両得の発想」が磐田市で始まったという記事を目にしました。
言葉はよくないですが、行政機関の発想としてはある意味で「強かな」発想と行動(褒めてます)だと思いました。

民間提案制度について。PPP/PFI事業民間提案マニュアル(内閣府)を参考に

ところで「民間提案制度」とは?について。一つの参考情報として内閣府のホームページに公開されている「PPP/PFI事業民間提案マニュアル」を引用します。
そこには「民間提案のマニュアルを改定し、PFI法第6条に基づかない民間提案手法や、民間提案を活用したPFI以外のPPP手法による事業化も想定した手続きについて整理し、マニュアルを作成」したとあります。
公開されているマニュアルの中で注目の記述として「PFI法第6条に基づく民間提案のみならず、PFI法第6条に基づかない民間提案手法や、民間提案を活用した PFI以外のPPP手法による事業化も想定した手続きについて整理」というPFI民間提案手法に関する記述があります。

●ここで挙げられている手法以外にも、民間事業者からの情報提供や対話等 を実施する様々な手法が用いられており、いずれの手法も、PPP/PFI 事業の実施に向けて民間事業者からの情報提供や提案を求める手法として活用することが可能です。また、PFI事業としての実施が見込まれる場合には、 PFI法第6条による民間提案と組み合わせて実施することも可能です。
● PFI法によらない民間提案は、PFI法第 6 条による民間提案に比べて募集 する時期や内容の自由度が高く、PPP/PFIのどの事業方式が有効であるか等について提案することもできるため、事業方式が明確でない段階での対話において有効です。また、検討の進捗に応じて実施するタイミングや手法を選択することで、適切な時期に対話を行うことが可能です。

マニュアル内「②PFI法第6条によらない民間提案」より抜粋

随所に実際の提案制度(市町村によって名称が若干違いますが)の窓口体制や受付フローなどが示されていて、今後始めようという市町村にもイメージがしやすいのではないかと思います。

これから始めるPPPにこそ民間提案の柔軟性

そもそもPPPとかPFIとかを検討するマンパワーや体制、経験も少ないことでとっつきにくい事業方式だと思っているところに、さらに「民間提案」などと聞いたらその時点で躊躇する自治体やご担当の方がいるかもしれません。

しかし、よく考えてみれば都市経営においてそもそも顧客(という言い方が相応しいと感じるかどうかは人によると思いますが)が自分が暮らす地域でどのようなサービスを受けたいか、どのような環境が必要かなど顧客ニーズを反映した行政サービスは不可欠です。
サービス開発において、その起点となる情報として顧客が求めるサービスを顧客側から言ってきてくれる、民間提案をそのように捉えれば行政にとってもありがたい機会になるのではないかと思うのです。

都市経営の施策方針策定に繋げるマーケティング活動

市民(顧客)の声を拾い上げるマーケティング、サービス体制構築や人材確保の点で、行政側には財政制約を起点としてリソース不足が顕在化、あるいはより拡大する可能性があります。他方、市民の要望や期待も世の中で接触可能な情報が爆発的に増えた結果、「多様化」「詳細化」するばかりです。

つまり、片やリソース不足、片やニーズの多様化・詳細化が進展すればするほど双方の距離感(溝)は拡大してしまい、お互いから見て「わからない」「届かない」相手になるばかりです。
そうした状況を解消する意味でもユーザーサイドから必要なもの・サービスを民間が自ら発信する機会の確保は、行政と市民の双方にとって良い機会となると思うのです。

ちょっと宣伝/東洋大学「PPP/PFIのサウンディング・ゼロ」

冒頭の内閣府公開のマニュアルにも「マーケットサウンディング型」という手法が示されています。こうした手法が普及すること自体は民間提案の機会を広げ、日常化してゆくきっかけになると思います。
しかし、先ほども少し触れたように現実には「そもそもPPPとかPFIとかを検討するマンパワーや体制、経験も少ないことでとっつきにくい事業方式だと思っているところに、さらに「民間提案」などと聞いたらその時点で躊躇する」というのが実情だと思います。
東洋大学ではそうしたことを起こす「前」段階、「これから」の自治体にとって気づきを得る機会としてサウンディング・ゼロという取り組みを2018年から実施してきました。
ちょっと宣伝っぽいですが、「これから」の役に立てればと思います。

最近、地方自治体がPPP/PFIプロジェクトする場合、基本計画案を開示して民間の意見を聴取するサウンディングが盛んに行われるようになりました。サウンディングを意味あるものにするためには、サウンディングでの意見を取り入れて計画を柔軟に修正していくことが必要です。しかし、現実には、庁内、議会との調整を経た計画案を大きく修正することは難しく、結果的にサウンディングの結果を反映させられない場合もあります。「PPP/PFIのサウンディング・ゼロ」は、このような状況に対して、基本計画や構想のない「ゼロ」の段階でも民間の意見を認識していただく機会を提供するべく、東洋大学PPP研究センターの自主事業として開始

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