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PPP的関心2023#23【スモールコンセッションに再注目】

連続投稿の継続も92週を超えてこの記事で93週連続となり、まさにチリツモということで、PPP的関心の記事も140本近く溜まってきました。
そんな中、今月に入って昨年2022年2月に公開した『地域企業のチャンス「スモールコンセッション」』という記事のビュー数がなぜか再び目立つようになってきたことに気づきました。

少々気になったので、比較的「最近」の出来事でスモールコンセッションという言葉に関連するようなトピックを探してみました。

*写真は、2023年4月に訪問した岡山県津山市にある「RO+コンセッションで整備されたスポーツ施設」の内観。

「スモールコンセッション」の新たな?定義

2022年のPPP的関心で引用した日経クロステックの記事では、地産地消型の小規模電力供給網の形成と運営、あるいは観光・レクリエーション施設への運営権設定、廃校の利活用に運営権を設定するといった事例を通じて
重点分野にこだわらない
人口10万人に満たない地方の自治体が主導することが多い
といったところに焦点を当て「スモールコンセッション」という言葉の意味を整理していました。

ところで「スモールコンセッション」という言葉自体、上記段階では公的な場面での言葉として使われていなかったのでは?と考えられますが、2023(令和5)年5月に国土交通省が公募した事業(既に応募期限は過ぎていますが)において「スモールコンセッション」という言葉の「定義」を少し明確にするような表記がありました。

企画競争実施の公示
1.業務概要
(1)業務名 
スモールコンセッション等推進業務
(2)業務内容
国土交通省では、経済財政運営と改革の基本方針2022(令和4年6月7日閣議決定)、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ(令和4年6月7日閣議決定)、PPP/PFI推進アクションプラン(令和4年改定版)(令和4年6月3日民間資金等活用事業推進会議決定)等に基づき、PPP/PFIを積極的に推進している。
PPP/PFI推進アクションプラン(令和4年改定版)において小規模な地方公共団体や、規模の小さい施設におけるPPP/PFI手法の活用推進が謳われているが、活用が進んでいない状況である。一方で、遊休公的不動産を活用したコンセッション事業や、地域の空き家を改修し移住者等へ住宅を供給するPFI事業など、小規模(事業規模10億円未満程度)であっても、地域の既存ストック等を活用して地域活性化を図る取組を進めている事例もある。
このようなPPP/PFI事業を「スモールコンセッション等事業」とし、当該事業の機運醸成・活用促進・案件形成を図ることを本業務の目的とする。

表記されている「小規模(事業規模10億円未満程度)であって」「地域の既存ストック等を活用して地域活性化を図る取組」を進めている「PPP/PFI事業をスモールコンセッション等事業と(する)」は、2022年の記事と同様に「重点分野にこだわらない」ことに加え、そこに「事業規模10億円未満程度」といったように事業規模という軸でセグメントすることで定義しやすい焦点の当て方が示されています。

改めて。スモールコンセッションは地域企業のビジネスチャンス

冒頭にリンクをつけた以前のPPP的関心でも

地域事業者のビジネスチャンスと捉える
また記事で引用された事例で指摘されたもう一つの特徴が、「地元企業」の参画によって域内経済の活性化、域内経済循環の構造強化にもつながることです。これは全くその通りだと思いました。
以前の新・建設業の実践企業紹介として書いた記事でも述べましたが、地域の課題解決そして地域の未来創造に貢献することを「事業として」取り組む建設業、不動産業が増えると、街(そこにいる人)が元気になります。
特に、公民連携事業は民間にとって「(言葉は悪いですが)公的機関が独占してきた」機会開放であり新たなビジネスチャンスという側面があります。大企業が参入しにくい「スモール」な事業を組み立て地域企業の参入を促すことは勝機を自ら拡大させることにつながります。

といったことを書きましたが、
・令和3年のPPP/PFI推進アクションプランでは、空港や上下水道、MICE施設など比較的大きな施設の運営権を用いた事業
であったものが
・令和4年版では規模の小さい施設におけるPPP/PFI手法の活用推進
という表現で運営権を用いた施設整備や維持管理の範囲を拡大する「方針」が示されてきたわけですが、いよいよ本格的にそうした動きが加速することになるのではないかという期待が膨らみます。

地域密着企業も担える力をつけるタイミング

大方針として小規模(事業規模で10億円未満程度)な施設整備や維持管理に地域の民間企業の力を活かそう!と掲げられても、一方でそれを担う地域の民間企業に姿勢や人材、ノウハウの備えがなければことは進みません。
この点についていうと、このビジネスチャンスに機敏に反応する地域企業はいることを個人的には実感しています。

先日、プロパティマネジメント(不動産経営管理)の専門家として必要なスキル提供を通じて人材育成に取り組む団体(IREM JAPAN)で、地域密着の不動産企業にとって、公民連携の概念を理解して公的不動産の運営を事業として参入することは業界(事業者)にとって新しい機会ではないか?という趣旨の講演をしたところ、終了後に多くの参加者から好反応を頂きこの分野への関心の高さを実感したところです。
また以前から会の運営に関わっている新・建設業地方創生研究会も、5月に一般社団法人に登記を済ませ、より社会的な立場を自覚した組織として地域ゼネコンが自社の地域の仕事を自社で担う力をつけるための取り組みを強化しようとしています。

すでにスモールコンセッションをビジネスチャンスにする体制作りに一歩踏み出している企業もあれば、全くという企業もあるわけですが、すでに地域密着企業が(少し大きな意味で捉えてPPP的な事業を含め)スモールコンセッション事業を担う力をつける時期はすでに到来していると思います。


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