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旭川空港でレーダー更新の準備

2022年10月中旬の写真。うっすら冠雪した北海道の最高峰、旭岳(2291m)と 旭川空港SSR です。

高い山々に囲まれた旭川空港に離着陸する航空機を、安全に管制するためのレーダーがこれ。管制官が使う画面に、航空機の現在位置や飛行高度に加え、便名や機種なども表示することができます。

SSR」というのは「二次監視レーダー」のこと。レーダーが発射する質問電波を受けた航空機のトランスポンダが、応答電波を返してくるので「二次」といわれます。

SSR : Secondary Surveillance Radar

公表された契約情報によれば 旭川空港SSRは2006年度製(2008年4月運用開始)なので、およそ15年間働き続けていることになります。まもなくレーダー機器やアンテナなどが更新される計画です。

▲ 旭川空港に進入する AIR DO機(2022年11月)

カラマツ林が赤く染まり、大雪山系が白い帽子をかぶった好天の11月。仮設SSRを設置する工事が行われていました。

▲ 旭川空港の仮設SSR設置工事(2022年11月)

仮設とはいってもアンテナ鉄塔をしっかり組み上げるし、外観上は大きな違いがなさそうです。目立つのは、レーダー機器を収める局舎がシェルターになっていることぐらいでしょうか。

まだ SSRアンテナは載っていませんでしたが、クレーンが忙しく働いていました。天気が崩れないうちに一定の進捗を見たいところでしょう。

仮設SSRのレドーム(2022年11月)

レーダーアンテナを覆う球状のカバーがレドーム(Radome)です。上半分と下半分を別々に組み立てた状態で地上に置かれていました。

避雷針の背後に見えているのは ILSの LOCアンテナと局舎。ここは滑走路の北端付近です。

ILS : Instrument Landing System、計器着陸装置
LOC : Localizer、ローカライザー
Radome : Radar dome、レドーム


仮設SSRの設置場所(OpenStreetMapに加筆)

青丸が旭川空港SSRの位置です。そして赤丸の場所に仮設SSRが設置されていました。その設置工事が終わって機器やアンテナの調整が済むと、仮設SSRの運用が始まります。

その後、これまで運用してきたSSR(青)の更新工事が行われます。アンテナ鉄塔と局舎はそのまま使われるでしょうが、老朽化したレーダー機器やアンテナなどは撤去されて新しいものに置き換えられます。その間、数か月(工期は5か月の見通し)はレーダーが使用できなくなるので、航空管制に不都合が生じないように代替装置として仮設SSRを使うのです。

新しい旭川空港SSRが完成して再び運用が始まると 仮設SSRは撤去され、どこか次のSSR更新工事の現場へと運ばれることでしょう。


▲ 旭川空港SSR(2019年6月)

3年前に撮影した旭川空港SSRです。アンテナに上る階段が透明なフードで覆われ、保守作業の安全にも配慮されているようです。


▲ 旭川空港(2022年11月)

離陸したエアドウのボーイング767-300ER型機(JA612A)が、大きく右旋回して空港の上を高々と通過していきました。このターゲットもレーダーで捕捉されているはずです。ご安全に。


※ 写真はすべて、やぶ悟空撮影

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