北日本広域ターミナル、始まる!
この4月18日から、北海道に「日高進入管制区」が、東北には「白神進入管制区」が新たに設定されることになりました。それぞれ、ターミナル・レーダー管制業務が実施されます。
AIP(EFF: 18 APR 2024)情報を基に、作図してみました。
現在は、北から順に「札幌」「千歳」「函館」および「三沢」の4つの進入管制区が、一部が重なり合いながら連なっています。赤とピンクは、自衛隊の管制官が航空管制を行っているエリアです。
札幌航空交通管制部(札幌ACC)の道東セクターに代わって、新たに北海道の中央~東部の空に設けられるのが「日高進入管制区、Hidaka Approach Control Area」です。旭川、帯広、釧路、女満別および中標津の5空港がここに含まれます。とても広いこのエリアを、複数のレーダー情報を集約して広域監視するのでしょう。「日高」と名付けられましたが、地理的な日高地方の大部分は千歳進入管制区のエリアに入っていますから、誤解のないように。あまり広すぎて、適当な名前が見つからなかったのかも…。
これにより、道内空港でターミナル・レーダー管制業務が行われないのは、稚内、利尻、紋別および奥尻の4空港だけとなります(礼文空港は休止中)。
もう一か所、青森、大館能代、秋田および花巻の東北北部4空港をカバーするのが「白神進入管制区、Shirakami Approach Control Area」。おおむね北緯39度以北が札幌ACCの管轄なので、岩手県の一部を除く東北北部のほぼ全域でターミナル・レーダー管制業務が行われることになります。何と言っても、「白神」って名前がカッコイイ!
高度に着目した図も作ってみました。秋田~青森~函館~札幌~旭川~紋別という航空路で断面を観察するイメージです。
札幌ACCのセクターが大幅に変更されたのが、3月21日のこと。
フライトレベル(FL)335以上の高高度空域「S91」セクターは、近い将来に福岡ACCが受け持つことになります。その下の空域、「S21」「S30」「S32」の各セクターと、この図には描いていない「S94」セクターは、東京ACCに移管される予定になっています。(その際は、またセクターが変更されると思いますが…)
そんなわけで、「札幌航空交通管制部」(札幌ACC)という組織はいずれなくなるのでしょうが、北日本広域ターミナルエリアの航空管制を行う施設として、現在の建物などが使われるようです。
「北日本広域ターミナル」の運用開始、つまり「日高進入管制区」と「白神進入管制区」が新たに設定されることにより、ターミナル・レーダー管制業務が行われる空域が大幅に増加することになります。それによって管制業務の効率化だけでなく、さらなる安全性の向上と効率的な運航も期待され、利用者にも(大きくは体感できないまでも)メリットがあるはずです。
※ 図は、やぶ悟空の解釈によるものです。使用の際は十分ご注意ください。
※ 写真はすべて、2024年4月の夕張岳、やぶ悟空撮影
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