『 新しい始まり 』
bar での仕事、まず掃除、そしてメニューを覚える
と、言っても初日からいきなりは無理だ。
shot bar ステアウェイは、マネージャー(バーテンダー)、と僕のふたりでやることになった。
オーナーがそれまで、お店に出ていたが、
別の仕事を始めるのに、代わりを探していた。
それが募集だったのだ。
マネージャー(高橋さん)は、僕より6つ年上で
ボディービルダーだった。(筋肉ムキムキ)
僕は、かなり痩せていて、華奢だったので、
けっこうバカにされた。(別にいいんだけど)
その日、最初のお客さんが来た。
カップルだった。
「イノ、オーダー取ってきて。」と言われ
少しだけ緊張しながら、伝票とボールペンを持っていく。
「 お飲み物はいかがなさいますか?」
「えっと… モスコミュールとたんかでろっく」
やばい、なんて言ってるかわからない。(汗)
とりあえず、マネージャーに、モスコと
たんかでろっくって何ですか?というと
「タンカレーのロックだと思うから大丈夫」と無事にすんだ。
barのメニューって、カクテルやお酒の種類が多過ぎて難しい。
「イノ、ロックグラス🥃取って!」
「えっと、ロックグラスはどれでしょうか…」
そんなことさえ、わからなかった。
でも、グラスの拭き方、洗い物、フードメニューの作り方
いろいろ、少しづつ慣れていき
カウンターに座る常連客とも、話しができるようになってきた。
とにかく、毎日、覚えることだらけで大変だったが
逆に、それが新しい世界への始まりだと思うと嬉しくもあった。
そんな風にして
僕は、barの世界に入っていった。
25歳の冬だった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?