見出し画像

『 一般病棟は、全力でリハビリを 』

一般病棟に移ってからは、できるだけ

身体を起こしてもらうようにした。(もちろんベッドごと)

何故かわからないけど、ずっと身体がゆっくりと

ぐるぐる回っているような感覚だった。

何もできない自分に、腹立たしさを
感じる。

いや、違う 何かやるべきことはあるはずだ。

そうだ。起きてる時間はすべて
指でも、首でも、腕でも、足でも、
どこかしら動くよう頑張ってみよう。

そんなことを考えながら、指を動かすように
意識を集中したり

足先にチカラを入れてみたりと、やってみる。


二日目くらいから、ほんの少しだけど
指が動くようになってきた。

目標は、親指と人差し指をつけること。

こうなったら、とことんやってやろう。


一度、決めると絶好のに妥協をしない性格の僕は

リハビリに、すべてをかけてみると
心に誓った。

気力を振り絞って、毎日毎日リハビリを続けていると

なんとか、自力で寝返りを打つことまでできるようになっていた。

この辺りからは、自分との勝負である。
しかも、絶対負けられない。

自分でも信じられないくらいのペースでリハビリを続け

次第に、身体は動きを取り戻すようになっていった。


次の目標は、立つことである。

これは、ハッキリ言って、なかなか思うようにいかなかった。

ベッド脇に座り、手すりに掴まりゆっくりと
立ってみるのだが

すぐに、ペトンと身体が落ちてしまう。

だが、これも反復がすべてだ。

繰り返し、繰り返しやっていると

点滴交換に来た看護師さんが

「猪鼻さん、気持ちはわかるけど
そんなに急いで無理しないで!
あなたは、ずっとICUにいたんだから
徐々にでいいのよ。」

と言った。

相変わらずの、息声で「わかりました。」と答えたが

看護師さんが行ってしまうと

僕は、そのまま反復を繰り返した。

時間をかければかけるほど、回復が遅れると思ったからだ。

その方がよっぽど怖かった。


ようやく、なんとか立つことができるようになり

次は、歩いてみる。

ん? 足が前に出ない…

歩くってどうやるんだっけ?

これまた難関で、ベッドの手すり沿いに

歩こうとしたが、足が前に出ていかない。

よし、その前に、手すり無しで真っ直ぐ立つことをしてみよう。


そんなふうにして、一般病棟での入院生活は続き

そして、少しづつ、少しづつですが

確かな回復をしていくのです。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?