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夢と希望と怒りを教えてくれる本

大好きなアルテイシアさんの新刊
「離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由」を読んだ。
前にwebで読んでいたけれど、むっさ面白い! 改めて笑えるし、涙ぐむ。

かねてからアルテイシアさんの書かれる文章が大好きで、Web掲載の時もずっと更新を追っていた。
アルテイシアさんの主宰されるオンラインサロンにも入りたすぎて、確か5000字くらいの長文の志望動機を書いた気がする。
下書きが見当たらないけれど、確か内容は年上夫にはきっと早々に先立たれるだろうから、その後の人生を楽しむためにも新しいことをしたいとか何とか。
約20歳年上の夫は先立つ前提。

先日友人にアルテイシアさんの話をしていたところ、
「ところでそれ誰? ガンダムのキャラのコスプレしてる人?」
と返されてびっくりした。
お前さんは一体今まで私の話をなんだと思って聞いていたのか。そういう突っ込みはもっと序盤でやってくれ。

そんな友人M子に向かっての意味も込め、新刊も出たことだしアルテイシアさんプレゼンを行ないたいと思う。
好きなひとのことは、皆にも知ってほしい!(プレゼンしたいタイプのオタク)

アルテイシアさんとは

アルテイシアさんは広告会社勤務時代に、ご自分の恋愛について書かれていた日記(今みたらmixiだった。時代!)が大人気で、
その後その作品「59番目のプロポーズ」が書籍化&ドラマ化された、現在は恋愛や毒親に関してのコラムを多数執筆されてる作家さんだ。

ドラマ化されたときは、主演の二人が結婚のち離婚したことでも大きな話題になってたからきっと知ってるはず。
そう、あの二人。キーワードは「永遠にともに」

この本の内容、オススメ

数々ある著書のなかでも、新刊のこの本は特におすすめ!
いま恋愛や婚活に悩んでいるなら他の著書から読むのもお勧めだけれど、アルテイシア入門編としてもこれはオススメ!

内容としてはこれまでwebで掲載していたアルテイシアさんの結婚生活や、遺体で発見されたご両親の話が主になっているが、
もうとにかく濃度が濃い! 濃密!

一人のひとの人生にこんなに次々と事件が起こる!? っていうくらいの濃厚さ。
目次だけ拾っていっても

・VERY妻になりたかった母の死 
・子宮全摘「子宮をとってもビッシャビシャ!」
・毒親の送り方「父、死亡」の知らせが入る
・我が家に借金取りがやってきた!

もうお腹いっぱい……そして不穏なタイトルの内容が気になりすぎる。

「VERY妻に~」は、アルテイシアさんの美しい、そして自分以外を愛さなかった、愛せなかったお母さんの話が綴られている。
私がアルテイシアさんのコラムを知ったのは、Twitterでこの話がリツイートで流れてきたのが切っ掛けだった。
「毒親」という単語については知っていたし、もしかしたら自分の親も「毒親」に分類されるかも、と薄々感じていたあの頃。
ここで語られるお母さんの生き様はもう、毒という概念に入れていいのか? 触るな危険の猛毒カテゴリでは? というくらいの毒っぷりだ。

母は「VERY妻」になりたかったんだな、今になってそう思う。

キラキラ女子の最終目標、勝ち組の象徴。ハイスペ夫と結婚してセレブ主婦と呼ばれ、子どもを有名私立に通わせて、「幸せそう」と周りから羨まれる存在。
母はその目標を叶えたけれど、全然幸せそうじゃなかった。そして最期は誰にも看取られず、一人暮らしの部屋で遺体で発見された。

これは「VERY妻に~」の冒頭の一文だ。
ダイジェスト版で語られるアルテイシアさんの半生は、それはもう、もの凄く重い。
私は友人のインスタやFacebookをみて、羨ましくなったり、キラキラ女子に憧れて自分の何もかもが嫌になりそうな時、このVERY妻の話を思い出すことにしている。
実体のないキラキラに憧れた末の末路を。

こんなお母さんをお持ちで、尚かつ中学生の頃に離婚されたらしい(本人は聞かされなかった)お父さんは、阪神大震災の後に道端で出くわした18歳の娘に、「なんやお前、生きとったんか」と発言するようなひとだ。

私は最近10代の推しキャラには恋愛感情じゃなくて、「お腹いっぱいにしてあげたい」という庇護欲の方が先に立つ。
そんな自分としては、大号泣もので、その頃のアルテイシアさんを抱きしめたい気持ちでいっぱいになった。

そんなお父さんはその何十年か後に飛び降り自殺し、遺体で発見される。

そして死してなお、典型的な金銭搾取系毒親然り、連帯保証人や金銭債務を娘に押し付ける形でアルテイシアさんを苦しめる。
そのくだりの借金の連帯保証人にされちゃった場合のライフハックは、金銭搾取系毒親をもつ方は履修必須だ。
私もそろそろ法テラスで相談したり、対策を練っておかねばと心に刻んだ。

……って書くと悲壮感たっぷりだけど、読んでると悲壮感はあんまり感じない。むしろ面白い。
シリーズの一話一話が気になりすぎる言葉で締められていて、次がむっさ気になる。

もう次から次へと起こる事件への語り口がとにかく面白い。

登場するイケメン刑事とか登場人物が気になりすぎるっていうのもあるけれど、何より夫氏の発言が素晴らしい。

 「何故父は自殺したのかな……」
夫「1985年に政府がプラザ合意に同意したからだろう」
 「はっ?」
夫「それで日本は円高になってバブル景気が起こり、やがて崩壊した。お父さんはその煽りを食らったんだろう」
「お父さんはアメリカに殺されたようなもんだ」

こんな発言するひと、知らない。

そして同時にそんなアルテイシアさんに友情結婚した夫氏がいて本当に良かったと思う。

アルテイシアさんが数々の困難を乗り切れたのはきっと、面白くて頼もしいアルテイシアさんを尊重してくれる夫氏のおかげなんだと思う。

語られる夫氏の語録は爆笑必至なものばかりで、もう実在するの!? と存在を確認してみたくてたまらなくなる。でもお話するんじゃなくて双眼鏡でそっと覗いたり遠目で見つめたい。私のなかでUMA的な存在である、アルテイシアさんの夫氏。

子宮全摘出手術を受ける妻に渡すものが手紙じゃなくて「写経」だったとか、美人よりも鳥が好きで、「死んだら鳥葬にしてほしい」という夫氏。
一番今作で好きな夫氏とのやりとりは

先日も仕事で疲れた時、夫に「王子様になってくれ」とムチャぶりしたら、「堪え難きを耐え、耐えがたきを忍び……」「玉音放送! 日本の王子様か!」と大笑いした。

こんな風に、時に突拍子もないことを言う夫氏との結婚生活は、とんでもなく楽しそうで幸せそうだ。

まとめに

もう語り始めればキリがないし、私の文章力ではアルテイシアさんの良さなんてこれっぽっちも伝わらないって知ってた!(逆ギレ)

本当に色んな人生経験を積んでいるアルテイシアさん。
その魅力は、軽妙洒脱でどれも「ぶはっ!」と吹き出すくらいに面白い文章そのものだっていうのはもちろんだけど、
とんでもなく、それはもうとんでもなく優しい言葉。それに尽きる。

視点が常に弱者と言ったら語弊があるかもしれないけれど、悩んでいたり、迷っていたり、苦しんでいたりするひとに向いてくれている。
アルテイシアさんが、恋愛や毒親の相談してくるひとに向かって、毒舌を吐いたり、その人自身を否定するような言葉を言っているのを見たことがない。
それは悩んでいる本人こそが自分を責めて、悩みから抜け出せなくて、苦しんで傷ついているっていうことを知っているからだと思う。

私はこれまで、親子ガチャで「毒・搾取」をひいたことで受ける理不尽や、女性だっていうだけで押し付けられる価値観、上司から受けた不遇な扱い、理不尽な言葉にずっと形容しがたいモヤモヤを抱えていた。

でもそれをしっかりと「理不尽に対する怒り」だったと気が付いて自分を肯定することができたのは、アルテイシアさんの文章に出会ったからだ。

面白いことはもちろんとして、加齢先輩のアルテイシアさんの楽しそうな日々は、これからの自分の進む道を照らしてくれる明かりだ。

「もう30歳だから」とか「女の商品価値は~」とかいう世間の声に、「ふざけんな!」と唾を吐いて、先頭で法螺貝を吹いて鼓舞してくれる。

私事だけれど、自殺したお父さんの遺体を確認に訪れた
「毒親の送り方②警察署でのまさかの出会い」
がwebで掲載された際、そこに張り付けられていた広告リンクにあった乙女ゲームに死ぬほどハマった。

ハマりすぎて軽く人生が変わった。

女性の平均寿命が87歳の現在、アラフォーなんてまだ折り返してもいない。
私も毒親持ちで、だめんず沼にハマったりと色々あったし、これからも色々あるだろうけど、好きなものや好きなひとと繋がって、楽しく生きていく術を探していこうと思う。

妙齢の女性で、毒親だったりだめんずにハマったり、生きづらさを抱えていたら是非この本を読んでみてほしい。
いま好きなひとがいても、いなくても。毒親の元に生まれてしまったとしても。
毒親ライフハックと、「まぁいっか」と自分を肯定できる文が、爆笑と共にたくさん詰まっているから。

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