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今だからこそ「高級時計」の話をしよう

ごきげんよう、わたしです。

ヤドンです。

twitterで高級時計についてつぶやいていたら尊敬する御仁から、

「ヤドンのその時計に対する考えは貴重だから記事にしたほうがいい」

とのありがたき意見を頂戴いたしましたので書かせていただきます。

と、その前に、表紙の時計を見てピンとくる方いらっしゃいますでしょうか。

もしいらっしゃいましたら機会があれば語らいたいです。

表紙写真の時計はモリッツ・グロスマンというドイツの新興メーカーのものです。詳しく説明すると長くなるので、興味がある方はこちらを見て頂ければ幸いです。

なぜスイスの老舗メーカーではなくドイツの新興メーカーの写真にしたのか。

それは後々理由を説明いたしますが、好みというのもあります。

正直日本が誇る時計技師である浅岡肇氏のブランドハジメアサオカと迷いましたが、理由的にドイツメーカーであり、気分的にもグロスマンだったので今回はこちらで。

では早速本題に入ろうかと思います。

はじめに断っておきますがそこそこ長いです。ご承知の上でお読みください。

あと「値段はいくらからが高級時計なのか」などの無粋なことは聞かないでください。

あなたが高級だと思えばそれは高級なのです。


高級時計のあり方

近年、IT技術の発展により本当に色々なものがデジタルガジェット化しています。

それは時計も同じです。

スポーツメーカーが発売したフィットネス用の時計に始まり、Apple Watch、Android Wearがいまや台頭しています。

街でもかなり見かけることが多くなったと思います。

とても便利ですよね。いちいちスマートフォンを見なくてもメールやメッセージを見ることができますし、迷ったら地図も見れる。おまけに音楽もかけれるときた。

最近ではメガネがディスプレイになるという構想もありますね。

これからはコンタクトレンズすらも進化していくそうです。

これはなかなか想像できなかった未来です。

いまはそんな世の中の真っ只中にいます。

そんな世の中だからこそ問いたい。

「高級時計についてどう思いますか?」

たぶん多くの方はこう答えるでしょう。

「時間を見るだけのものになぜ大金を払う必要があるのかわからない」

「スマートウォッチならいろいろできるのにコスパ悪いよね」

ごもっともです。本当にその通りです。いやー合理的。すばらしい。

今回はこれについて考えたいと思います。


腕時計の歴史

腕時計は1790年にジュネーブの時計商であったジャケ・ドロー&レショーが当時のカタログに記載したのが始まりと言われています。

当時は全て貴族の宝飾品という扱いであり、現存最古の腕時計もパリの宝石商が1806年に製作した「時計を埋め込んだエメラルドのブレスレット」であり、カテゴリとしては女性向けの装飾品でした。

その後1810年に時計技師ブレゲがにナポリ王妃カロリーヌ・ボナパルト=ミュラに献上しており、腕時計は貴族女性の装飾品の一つでした。

その後一般への普及に至るまでは一世紀ほどかかります。普及のきっかけは軍需でした。というのも、砲兵が砲撃のタイミングを計測する際に懐中時計を手に持つことが億劫になり腕にくくりつけて使用したことで、その利便性を買ったドイツ軍が製品化を時計メーカーに打診したわけです。

今回の表紙画像をドイツのメーカーにした理由はここから来ています。

記録としては1879年にドイツ皇帝ヴィルヘルム1世がドイツ海軍用としてジラール・ペルゴに腕時計(下画像)を2,000個製作させたというものが残っています。

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その後、オメガによる腕時計の商品化や、カルティエの紳士時計「サントス」がパリ社交界で話題に上がり爆発的にヒットするなどがありました。その後第一次世界大戦で空軍によるパイロットウォッチの使用をきっかけに、男性の持つ時計は懐中時計から腕時計へと変化していきました。

つまり腕時計は「高級装飾品」「軍用機器」の二つの顔を持ち合わせているのです。


二つの顔

歴史のほうで腕時計には「高級装飾品」「軍用機器」の二つの顔があると説明させていただきました。

この二つの顔はそのまま現代のビジネスにおける時計の立ち位置を説明してくれています。

ここでビジネスについて考えたいと思います。

「ビジネスにおいて大切なものは何でしょうか。」

コミュニケーション力、論理的思考力、アイデア力、コスト管理能力、etc...

いくらでも挙げられると思います。

では、こういう質問はどうでしょうか。

「ビジネスにおいて”一番”大切なものは何でしょうか。」

それは「見た目」です。

(これに関して色々とご意見あるかと思われますが、その議論は今回は無しでお願いします。)

ビジネスにおいての第一印象というものはかなり重要なポイントです。

あなたが営業される側だとしましょう。

いくら営業の説明内容が良くても営業マンが不潔だったら「もう会いたくないな」とお断りするでしょう。

いくら説明が下手だとしてもとても誠実で清潔感のある好青年だったら「また会ってもいいかな」となるでしょう。

この「印象」に関わる部分の大半を占めるのが「見た目」です。

この「見た目」を引き立てるのはそう、装飾品です。

これに一役買ったのが腕時計でした。

「高級装飾品」=「魅せるもの」

「軍用機器」=「戦うもの」

ビジネスの場はビジネスマンにとっての戦場です。

つまり腕時計はビジネスマンにとって「戦うために自分を魅せるアイテム」なのです。

これに気づいた先人たちはこぞって高級時計をつけてビジネスをしたのです。

つまり、腕時計はビジネスマンにとってなくてはならない存在なのです。


自己紹介と持論

私ヤドンは1993年生まれの若造です。

そんな自分が高級時計に興味を持ったきっかけは政治家の麻生太郎氏でした。

確か時期としては総理大臣になったくらいの時で、漢字読めない騒動やらオタクに媚びてたりやら世間では悪い意味で有名でした。

しかしそれと同時に注目されていたのが氏のファッションでした。

スーツの着こなし、コートのセンス、おしゃれすぎるハット、etc...

当時高校生の私は「こんなかっこいいおっさんになりてぇ…」と思っていました。

そしてネットで氏のファッションをいろいろ調べていると目に留まったのが時計でした。

その時計がブレゲのClassique 5930です。

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100万円もする最高級時計でした。

当時高校生の私にはその価値が全く理解できずにいました。

しかしながら一つだけ理解できたことがありました。それが、

「すごい人はすごいものを身につけている」

ということです。

すごく大雑把で小学生みたいな感想ですが、この理解は間違いではない事実です。

そしてこの感想に加えて何となく考えたことが

「こういう高級時計がちゃんと似合う大人になりたい」

でした。

いくら時計が素晴らしいものであっても、つけている人がみすぼらしければ、その時計はかっこよく見えません。

ロレックスの評価で「成金っぽい」とか「高級なのにダサい」という声が多いのはひとえにこれのせいです。

結局は時計のデザイン云々の話ではなくて、つけている人がかっこいいから時計もかっこよく見えるんですよね。

そしてかっこいい人はフォーマルな場ではGショックなんかはつけません。

私は現在カルティエのRonde Croisière de Cartierをつけています。

正直言って似合っているとは一切思っていません。

ただ、これから10年でこの時計が似合う男になってやろうと思っています。

時計が自分を育ててくれると信じています。


これから時計を身につけようとする人へ

時計はあなたを彩るものです。ただの時刻確認のための機器ではありません。

時刻確認をするだけならそれこそスマートフォンで十分です。

それなのに腕時計を身につけることを考えるということは、腕時計というものに対して少なからず「お洒落のためのアイテム」という感覚を持ち合わせていることでしょう。

その意識、感覚を大切にしていただきたく思います。

腕時計をただの見栄でつけては欲しくありません。

ただ見栄でつけた結果、先に挙げたロレックスの例のように時計そのものの見られ方という意味での価値を下げてしまいます。

だからこそ言いたい。

「あなたのつける腕時計を何も知らない人に説明出来る知識を持って欲しい」

twitterの知り合いの皆さんの中ではMONDAINEが人気でした。

モンディーンは高級時計というカテゴリでこそありませんが、スイス鉄道時計の公式許可を受けた知る人ぞ知るメーカーです。

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スイス鉄道時計には「Stop To Go」という時間信号送信のために秒針が頂点で約2秒停止するという機構があります。(つまり一周を59秒で回るわけです)

この機構の開発、製造自体はMOBATIME社が行っていますが、モンディーン社はこれを腕時計において実現するために4年以上の歳月をかけ、ついに2013年、同機構を搭載したモデルstop2goを発表し、話題となりました。

高級時計でなくてもそれぞれのメーカーにはそれぞれの歴史があります。

こういった話をできるだけの知識があれば、たとえ初対面であっても「その時計いいね!」と言われた時に一つの話題ができますし、「お洒落な時計してるけどそれなに?」と聞かれた時にオススメもできます。

そして話が終わった後のあなたの相手からの印象は「何事にも信念やこだわりを持って行動する人」になるでしょう。

それはとても大きな財産です。

(気持ち悪い時計オタクと見られる可能性もありますが、ポジティブに考えましょう)


最後に

ここまでだらだらと説教たれてきましたが、全ては「高級時計の見る目を変えて欲しい」という想いからです。

先述した近年の時計のデジタルガジェット化によって高級時計に対する人々の印象は「憧れ」ではなく「成金趣味」の感がことさらに強くなっています。

この傾向は非常にもったいない。

この意識が蔓延するせいでただでさえ高い高級時計のハードルはさらに上がります。

みなさんにはそんなこと気にせずに自らの好みを求めていただきたいと思います。

若い人は憧れるかっこいい大人を目指して

大人の方は若い人に憧れられるようなかっこいい人になるために

そして

つけている時計の名に恥じない素晴らしい人間になるために

そんな想いからあなたの人生の選択肢の一つに高級時計が加われば幸いです。

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