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2023年印パ旅行記③(ラホール編その1)

 ホテルをチェックアウトし、午前10時前にワーガ国境へ。早めに着いてしまったのでまだ国境は開いていなかった。同じく国境を越えるために来たであろう旅行者やパキスタン人たちと一緒にしばしの待機だ。

検問所前の露店で時間つぶし中

 10時、受付が開始された。パスポートチェックを受けてイミグレの敷地に進み、建物の中へ入る。内部でも数度のパスポートチェックがあり、あれよあれよという間にインド出国となった。なお、筆者はこの一連の流れの中でポリオの生ワクチンを飲まされるハメになった。ワクチン接種済みの人はその旨を担当者に伝えよう。

 出国後、実際の越境地点(セレモニーの開催される場所)まではミニバスで送ってもらう。満員になり次第出発するシステムのようだ。

ミニバス乗り場。

 バスで数分走り、昨日セレモニーを見たスタジアム脇で降車。ついに歩いて国境を越える時がやってきた。中国本土と香港・マカオの間を陸路で行き来したことはあるが、今回のような本格的(?)な陸上国境越えは初めてだ。

まさにセレモニーが行われていた場所を歩く。
印パ国境。
パキスタン入国。建国の父・ジンナーの肖像画がお出迎え。

 越境後、超簡単な健康チェックを受け(名簿に名前やパスポートナンバーを控えられるだけ)、闇両替商にインドルピーをパキスタンルピーに替えてもらい、無事入国。10年前の自分に「お前10年後パキスタン行くで」と言っても信じないだろうが、本当に来てしまった。
 イミグレの建物を出てしばらく歩くと、ガイドさんが出迎えてくれた。出迎えを受けた駐車場は本来一般車両は入れないようだが、検問所の兵士の一人がドライバーさんと同郷の友人だそうで、彼のおかげで入ることができたらしい。パキスタンはコネ社会と聞いていたが、早速目の当たりにするとは…。

画面奥に向かって歩く彼がその兵士。

 車に乗り込み、早速ラホール市街地へ向かう。インドからパキスタンに入ってまず感じたのは、動物の多さである。インドも路上に牛がいることはザラだが、パキスタンにもいる。たくさん。また、ロバが運搬手段として現役なのもパキスタンの特徴といえる。

大きな道路でも自動車と並んでロバが走っている。

 ラホールで最初に訪れたのはシャーリマール庭園。ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンによって造営された庭園で、世界遺産にも指定されている。現在では市民の憩いの場となっており、クリケットをする子どもたちやTik Tok撮影に勤しむ若者たちがいたるところで見られる。

入口側を振り向くと、奥にメトロの高架が見える。
デートスポットとしても有名らしい。
前日の雨の影響で水は濁っている。
工事車両が出入りしていた。
全体的には美しい庭園だが、細部は荒れ気味。

 昼食は地元のファミレス(?)で。ちょうどお祈りの時間にあたり、かなり空いていた。

恐らくパキスタン式中華。右の赤い料理は酢豚っぽい味だが、肉は鶏。
インド同様味が濃い。

 昼食後、旧市街に向かう。ラホールはムガル帝国の都だったこともある歴史ある都市で、今も旧市街を中心に歴史的建造物が残る。

旧市街の入口・デリー門
門をくぐるとタイムスリップしたかのような町並みが現れる。
門のすぐ側にハンマーム(風呂)が。
狭い路地がたくさん。
ワズィール・ハーンのモスク。この日は金曜礼拝のため入れず。
屋台が所狭しと並ぶ。
通りの風景。
食肉用らしい。

 ラホールはアムリトサル以上に時間の流れがゆっくりとしており、行き交う人々の数は多いものの、忙しさは感じなかった。今回は国境セレモニーの時間も迫っていたためあまりゆっくり旧市街を歩くことはできなかったが、次回来ることがあれば旧市街散策だけで1日使ってもよさそうだ。

 旧市街を後にして、再び国境へ向かう。検問所では先ほどの兵士がまたもや現れ、彼の案内で待合室に通された。ガイドさんとは「プロトコルです」と言っていたが、外国人旅行者が全員こういう待遇なのかは謎だ。体験者がいたら教えてほしい。

パキスタンレンジャーと地元の来賓っぽい人しかいない空間。

 しばらく待合室でゆっくりした後、いよいよスタジアムに向かう。パキスタン側のスタジアムはインド側に比べると小ぶりだが、ハンドメイド感など、インドとはまた違った良さがある。

ボス戦前の光景?
この時はまばらだが最終的には満席になる。
印パに別れて住んでいる家族が接見する場にもなっている。

 そうこうしているうちにセレモニーが始まった。インドに飲まれ気味だが、パキスタンも愛国歌を大音量で流して対抗している。

インド側には犬がいたが、パキスタンは騎兵だった。
客席を煽るおじさん。
段々増えるおじさんたち。
高台に儀仗兵が立つと会場も盛り上がり始める。
記念撮影タイム。
太鼓に合わせてパフォーマンスが行われる。

 先述の通り、パキスタン側のセレモニーはインドに比べれば小規模に見えるが、兵士たちは勇壮だし、何より観客の盛り上がりはインドに全く負けていない。パキスタンに特有なのは、コール&レスポンスに「アッラーフ・アクバル」が入ることだ。この国が宗教によってインドと道を違えたことを実感できる。国境を挟んで対面しているあの家族が今よりも自由にここを行き来できるようになった時、このセレモニーは役目を終えるのだろうか。

 ラホール市街地に帰還し、小休止の後フードストリートへ。今夜はここで夕食を食べる。

バイクの行き交うワイルドなシチュエーション。
カラヒとピラフ。この後もうひとつカラヒが来る。
デザートのキール。

 パキスタン人はよく食べる。まぁ食べる。ガイドさんによれば、「パキスタン人が出掛けると言えば大体食べに行く時です」なんだとか。パキスタン料理はインド以上に辛いものが大半を占めるが、それ以上に非常においしい。特にラホールやアムリトサルのあるパンジャーブ地方の料理は日本人にも馴染みがあると思うので(ナンなどのタンドール料理はパンジャーブ発祥)、是非とも現地で体験してほしい。

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