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愛沢ひろし「封印剣ザニマ」

わんぱっくコミック・リバイバル12月配信。愛沢ひろし「封印剣Xザニマ」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09NN4P5M6/
 ナイト勝ち抜き大会で、思いもよらず出場して、アクシデントで優勝してしまった鳥族アセダック。表彰と同時に第2位の獣族サイキック、第3位の颯爽リーザと3人で、フライング・イーグル国王のために封印剣を探す仕事を言いつかる。封印剣とはザニマ神がこの世の統治に使う剣だが、鏡の反射で自らを封じ込めてしまった。そこで3人は長い旅に出ることになるが、途中で良からぬ者たちに道行きを邪魔されたり、騙されたり厄介ごとに巻き込まれる。それでも幾多の危機を乗り越えて3人は前に前にと進んでゆく。そして人智を超えた大きな力を持つ存在の神々との闘いや駆け引きが始まる。そんな大きな闘いに力を貸してくれる者たちがいるかいないかは、それまでの生き方次第である。最後の目的地バルカナで、果たして3人の旅は報われるのか?
 東鳩シールのキャラクターが漫画になった作品である。そのファンタジー冒険譚はスタジオジブリの映画を観るようなリアルなメカニック感に溢れている。封印剣とザニマ神という二つのメインテーマを持つ物語であるが、その真価は旅の旅程で明らかになる。聖書でいう神と悪魔のように、ここでも善悪の神が対立している。ファンタジーとは旅であり、そこで出会う仲間との絆が物語の根底に流れる旋律となる。そこで花開く主人公の能力こそが、若者のビルディングロマンスである。ここでは鳥族セダックが、凡庸な少年から大業を成し遂げるに至る大叙事詩が目眩く展開する。読めばその成り行きに固唾を飲んで見守ることになるだろう。

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