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千代大龍、唐突な引退

千代大龍が九州場所7日目に引退を発表。まだ負け越しが決まったわけでもなければ、十両への陥落が決まったわけでもない。突然の場所中の引退発表に怪訝な思いを禁じ得なかった。相撲取りは引退を公表したら土俵には上がれない。だから中日には不戦敗となった。この不文律があるため千秋楽までの取り組みを全う出来なかったケースもあった。しかし千代大龍の場合は、それをわかった上での「力が出ない」との発表だった。しかも日本相撲協会には残らずに、焼肉店を開業するとのこと。引退会見は相撲の思い出というより、焼肉屋開業宣言であった🤗。幕内在位58場所(年寄資格は20場所)と「協会に残る資格があるのにもったいない」との九重親方の弁だった。

 千代大龍には二つの意味で注目していた。一つ目は自分の贔屓力士だった阿夢露のライバルとして見ていたこと。十両昇進の場所で10勝1敗と優勝争いをしたが、終盤12日目の琴勇輝戦で阿夢露が大怪我をして、優勝は千代大龍の手に渡った。それ以降に序二段まで番付を落とした阿夢露と、そのまま上位に地位を上げた千代大龍には大きな差がついた。しかし膝の大怪我を克服した阿夢露が番付を上げて、千代大龍と幕内で対戦した時には『ライバル復活‼️』と声援を送った。しかし長く怪我なく力士生活を送った千代大龍は三役昇進で小結経験も積んだ。そのうちに膝だけでなく、肩にも傷を負った阿夢露は2018年に先に引退してしまった。だからとても息の長い力士であった。

 もう一つの注目は自分の住む東京都荒川区出身の力士であったことだ。しかも東京都立足立新田高校を卒業している、都立高校出身では初めての関取であった。その後は日体大に進んで、学生横綱のタイトルを持って角界入り。爆発的な突進力の立ち合いと、素早い引き足が身上の取り口だった。ハマった時には上位力士も、その勢いには抗えなかった。九重部屋には伝手がなかったので、個人的に接触する機会がなかったが、今思えば同郷力士をもっと応援しておけばよかったと後悔している。


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