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赤松利市「鯖」の地獄

赤松利市「鯖」(徳間文庫)。赤松利市は62歳にしてデビューして「藻屑蟹」で第1回大藪春彦新人賞を受賞している作家。目を覆いたくなるような凄惨なシーンや、底無しの悪意をここまで徹底的に描ける作家は、なかなかいない。人間の要望や宿業を、エゲツないまでに生々しく描く。人の持つ浅ましさと生命力、それは表裏一体の汚れた魅力でもある。
その赤松利市の異色第2弾「鯖」。投網漁法に押されても、一本釣りの誇りを持ち続ける、雑賀の貧しい漁師たち。孤島を根城に、古びた漁船で荒廃した生活を送る。彼らが得る唯一の糧は、美しい女将の恵子が営む「割烹恵」。その恵子から持ちかけられた儲け話。そこから彼らの生活には、中国系美女のアンジら、次々と新しい闖入者が訪れ、活動も組織も根本的に急展開し始める。地獄の渦は、次々と船団を巻き込んでゆく。
http://www.tokuma.jp/bookinfo/9784198646547

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