「脳の使い方」

こんにちは,初めまして!

アドベントカレンダーに参加させていただきます,早稲田大学教育学部4年 八木拓馬と申します.バレーボール部とはなんの関係もありません!

専門は地球科学で,中でも衛星地球観測学です.人工衛星データを解析して世に応用しよう,という分野です.合わせて教職の勉強もしています.どちらもとても面白い分野です!

バレーを始めたのは高校の頃です.高校野球を諦め,友人に誘われてなんとなく始めたバレーボール部でしたが,星城高校が6冠とった春高をきっかけにどハマり.約7年目ですが,熱は増すばかりです(笑)

今はサークルを引退して,いろんな場所でバレーをしています.体育の授業では男子バレー部の監督の方から毎週貴重なお話を聞けて,声をかければ一緒にバレーをしてくれる友人がいて,恵まれた環境にいさせてもらっています.

さてそろそろ本題に.

題名の通り,今回は「脳の使い方」について書いていこうと思います.教職のテストの勉強中に急に思いついた暴論です!

戦術のくわしいお話はきっと他の方がしていただけると思うので, 私は戦術の捉え方について認知科学的に考えたことを書きます.

結論から言うと, 「複雑化する戦術をなるべく単純に捉えた方が, 複雑化する戦術を再現しやすい」のではないか, という考えです.

体が行動を起こすまでの経路

教職の授業のプリントを見返している時のこと.「脳は選択肢を持ちずぎると混乱してオーバーフローを起こす」という一文を見かけました.引っかかりました.

自身の経験と重なったんです.「ボールについていきゃいい」って思っているのに,目の前でたくさんのアタッカーが助走をとっていると,ブロックが遅れる.そんな経験がありました.

バレーに限らず,全ての行動は認知行動学的に,認知⇨決断⇨行動 のプロセスを経るそうです.これでは少しこ難しいですね.

バレーのブロックで例えるなら,

「レフトにボールが上がった」と判断してから「レフトへブロックに向かう決断をする」までが「認知⇨決断」のプロセス(以下便宜上プロセスⅠとします)にあたり,

「レフトへブロックに向かう決断」をしてから「実際にレフトにブロックへ向かう」までが「決断」⇨「行動」のプロセス(以下便宜上プロセスⅡとします)にあたります.

脳が「意思決定」をするまで

プロセスⅠに関係して, 脳内にある選択肢の数と意思決定時間の関係を示す「Hickの法則」というものがあるそうです.

Hickの法則を仮定すると, ブロックやその他の意思決定時間を縮めるには「相手の攻撃選択肢を減らすこと」ではなく「脳内の選択肢を減らすこと」になります.

相手の攻撃選択肢を減らすことに異を唱えているわけではありません. 「脳内の選択肢を減らす」ことに「相手の攻撃選択肢を減らす」ことが内包されます.

複雑化する戦術に対応する脳の使い方

山田ほか(2012)*の攻撃枚数とブロック動作時間に関する研究では,「ブロックの反応時間を速くするには攻撃枚数を減らすことが有効である」と結論づけており, 脳内の選択肢を減らすことまでは言及していませんでした.

現在, トップカテゴリーに限らず複雑なトータル・ディフェンス・システムが採用されています.

この複雑なシステムを複雑なまま頭に入れてしまうと, プロセスⅠで詰まりを起こすのではないか?という考えに思い至りました.

つまり, せっかくの複雑なシステムを脳が再現しづらくなってしまう.

そのため, これからは戦術を考えることに加え, 「戦術をなるべく単純に理解できるように伝え, なるべくシンプルに理解する」ことが必要になるのではないか, と私は考えました.


以上が私の考えになります. お付き合い頂きありがとうございました!

ご意見あればTwitterやってるのでこちらにお願いします→@8trees_yagi

※ http://jsvr.org/archives/pdf/issue/14/pp12-15.pdf
山田雄太,福富恵介ほか,「バレーボールにおけるブロック時の選択肢数がブロック動作時間に及ぼす影響」,バレーボール研究 第14巻 第一号 2012

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