見出し画像

肩のパールが整然としてた

2019/07/27

ws最終日。終電で帰ったら、綺麗なおねえさんが酔っ払って電車の中で罵詈雑言吐き出してた。連れはおらず1人だった。おねえさんが電車を降りる時、私と対面する形で「ほんとウザい」と、私を見つめてたけど、私の知る由もない他人(おねえさんにとっては近しいだろう人)に向けてそれは放たれた。おねえさんのふっくらした唇から確信をもって吐き出されたそれは私を通り過ぎて、車内にとどまり、綺麗なおねえさんは変な人になってしまった。私はというと、幽霊のようだった。おぼつかない足取りで、おねえさんはホームへと出る。きっと私のことなぞ思い出すこともなく休日を過ごし、やがて人生を終えるだろう。車内中の視線がおねえさんを見届けた。この「ほんとウザい」は私に向けられた言葉ではないのは一目瞭然で、でも、私は確かにこの言葉を受け取ってしまった。わたしの心を傷つけるわけでもなく、ただ保有してしまっている。私のどの引き出しにも属さない「ほんとウザい」は居場所がないので明日になれば他の言葉と同様に消え去るだろう。でも今日は何だか気になった。wsの影響かもしれない。金曜の夜、終電、酔っ払った女、という情報を掛け合わせてみれば、三茶で降りたおねえさんの置かれた状況をなんとなく察することもできる。でもそれは私が彼女に無断で不躾に踏み込んでいる領域だ。彼女は可哀想でもなんでもない。そもそも彼女を知らない。もう二度と会わない可能性のほうが高い。そんな存在に想像を持ち寄ってしまうのは、彼女をなんとなく自分に引き寄せたいのかもしれない。共感の材料にして、自分の人生をドラマチックにしたいのかもしれない。演技する時、役について考える時もそうかもしれない。役を限定してしまって、役が自分という安全圏に収まってしまう。自分のあずかり知らぬ部分が、飛躍の手助けになる、のか?もう、眠い。思考が溶けてく。家に帰ってベットに寝転ぶ。綺麗だなと思ったおねえさんの顔ももうよく思い出せない。最寄りのセブンで買ったハーゲンダッツを寝ながら食べた。夫が隣でいびきをかいて寝ている。ハーゲンダッツを、寝ている夫の口に運んでみた。冷たさにびっくりしたのか、ハッ!と言って飛び起き、猫の香箱座りみたいな体勢から動かなくなってまた眠ってしまった。さすがに、なんだか悪いことをしたと思って、夫が起きるのを待ち、仕事に行く夫を見送った。


明日、吉祥寺シアターにて一回限りの公演があるのでもし良かったら観に来てください。


同時代劇作家ワークショップ・プログラムvol.2 リーディング公演
本橋龍 作・演出『ごめんなさいの森』
山内晶 作・演出『口承時代劇 刀剣返却江戸冒険譚』

日時:7月28日(日)18時開演
会場:吉祥寺シアター(JR中央・総武線、京王井の頭線吉祥寺駅北口より徒歩5分)
   〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-33-22 tel. 0422-22-0911

チケット料金:1,000円(全席自由席)
(2作同時上演〈上演順未定〉。開場は開演の20分前、受付開始は開演の40分前。)

※終演後にファシリテーター2名とゲストによるポストトークを予定。
[ゲスト=綾門優季さん(劇作家、青年団リンク キュイ主宰)]

予約フォーム: http://481engine.com/rsrv/webform.php?sh=2&d=4bb0dfd590

上記フォームからご予約のチケットは基本的に当日精算になります。
事前のクレジット精算、友の会割引を利用される場合は武蔵野文化事業団のプレイガイドをご利用ください。

https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-s/
tel: 0422-54-2011

長々と散文を読んで下さってありがとうございます。最後に夫の短歌を紹介します。


昨日見た夢で(いや待て、夢ではない)石田ゆり子と(いや、夢だあれ)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?