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失敗上手になりたい

失敗するなが嫌い

 私は「間違えてはいけない」という考えが嫌いです。「○回までなら間違えてもいい」も同様です。

 一部の天才や要領のいい人は学習すれば間違えなくなるのかもしれません。

 でも、私は凡人どころか凡夫で、間違えるたびにちゃんと反省してもやっぱりまた間違えてしまいます。

 学習すればどうにかなる程度なら、そもそも問題にならないといったほうが正しいでしょうか。

FXは負け方から覚える

 私はFXに挑戦したことがあります。理由は百聞は一見にしかず、FXの本を読んだからです。

 読んだら本当かどうか試したくなるじゃないですか。

 これが日本株のようにうん十万円からしかできないならやろうとは思いません。

 でも、FXは5000円からなので予算を作りやすかったんですよね。

 まず学ぶべきことは勝ち方ではなく、負け方なんですよ。

 FXの予想というのは、意味のないものに意味を見出す占いに似ていて、値動きを過去のデータと照らして無理矢理予想していきます。

 また、プロのトレーダーであっても勝率は5割といわれていて、損を含めた上で勝つことが基本でした。

 逆にいえば、負けにいかなければ勝つことすらできないという勝負です。

 ゲームのガチャに似ているとか何とか、とも見かけたことがありました。

 どんな確率でもガチャは回さなければ当たらないように、FXは負け上手になったら勝てるようになるそうです。

凡人は凡夫

 私はいい考え方だなと思いました。

 私の場合、失敗を突き詰めていくと、最終的に行き着くのが体調管理です。些細な不調が実は失敗の原因になっていたりするんです。

 不調の原因を突き詰めていくと今度は体質という壁にぶち当たります。でも、体質は持って生まれたもので個人差もあるわけですよ。

 たとえば、HSPと呼ばれる人たちは刺激に対して脳が過剰に反応してしまいます。

 普通の人よりも音が耳につき、見えすぎて目が疲れ、香りに鼻を曲げ、味をしつこく感じ、肌触りがやたらと気になったりするそうです。

 つまり、普通の人には何でもないことがストレスになりやすい体質みたいなんですよね。

 でも、HSPはハンデを背負っているのか、というとそうでもありません。

 刺激というのは言い換えれば「情報」です。刺激に対して敏感に反応するということは、それだけ多くの情報を得られるということ。

 人が気付けないことに気づいたり、通常より深いところまで理解できるという才能を持っているそうです。

 一方で、失敗という面から見ると、ストレスへの弱さや人と異なる感覚は、通常よりも大きなリスクを持っていることになります。

 それを「学習能力がない」「無能」という言葉で片付けてしまうのは横暴だと、私は思うわけですよ。

 HSPだけじゃありません。健常者も、発達障害も、性格も、持って生まれたもの全てが成功と失敗の要因になります。

 実のところ、要因を探せばキリがないという面もあるんですけども。

 努力によって現在の状況を変えることは可能ですが、さすがに自分の体を捨てたり、変更することはできません。

 他者との違いは個性といえば聞こえはいいですが、人と同じにはなれないということでもあります。

 結局、私は凡夫にしかなれないのですよ。

 でも、FXの負けのように、幸運ではなく不運を、絶好調ではなく絶不調を、有能ではなく無能を前提にしたら、失敗も成功に至る過程のひとつになります。

 「失敗してはいけない」は失敗したら終わりだし、「○回まで」もその回数を超えたら、やっぱり終わっちゃいます。

 人間は失敗する生き物だともいいます。なのに失敗を禁止するのは矛盾してませんか?

 失敗するなは、成功しろと言うよりハードモードだと思うんですよね。

失敗の仕方を覚える

 私は失敗禁止より、成功の過程で出てくる副産物のひとつ、と捉えたほうが希望を持てます。

 だから遠回りにはなるんですけど、失敗の仕方をまず覚えます。すると、逆に失敗することが減っていきました。

 間違い、できない、トラブルが起こることが当然だから、それらをフォローするように行動が変化したんです。

 精神衛生もいいです。理想という名の天井ではなく、底が基準だから落ち込むことも減りました。

 だんだん、できたことにフォーカスするようになるので気持ちが楽になります。

 人の失敗にも大らかになれます。失敗を許容するので、怒る理由がなくなるんですよ。

 次に失敗のフォローができるということは、困っている人を助けることができるヒーローになるかもしれません。

 誰かの失敗は、自分の通ってきた道です。だから、どうしたらいいのかがわかるんです。

 私は仕事先で助けてくれる人のことを、いつもヒーローと心の中で呼んでいました。

 困ったときほど、助けてくれる人がかっこよく見えるんですよ。

 以上のことから、失敗上手はいいこと尽くめだと思いませんか。

 ただ、成功までの道が遠回りになるので、最速が命といわれるビジネスの世界では嫌煙されているんだろうなとも思います。

 だって失敗を許さない職場は多かったし、ビジネス書では「1度したミスは2度とするな」「失敗は3回まで」などの言葉をよく見かけました。

 だとすると私は働くことに向いていないのかもしれません。ちょっと嫌なことに気づいてしまいました。

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