ろくろを回す~ネトゾン編~

皆さん、インターネットは好きですか?
私は好きです。

私はいわゆるデジタルネイティブ世代で、親がどこかからパソコンを貰ってきたのをきっかけにインターネットのオタクになった。
FLASH動画、個人サイト、チャット、お絵かき掲示板etc、様々なコンテンツに触れた結果立派な陰キャに育ってしまった。死にた~い!

でもその過程で某匿名掲示板を知って、そこで営まれているブーン系という文化を知れたことは大きな転換期だったと思う。
おかげで今回ろくろを回す「インターネットゾンビのようです」も書けた。
まぁこの文化のせいで人生トチ狂ったのも事実だけど楽しいから良し(ちなみに私をトチ狂わせているものはこれ

この「インターネットゾンビのようです(以下ネトゾン)」、最初は全10話くらいを予定していたのに、あれよあれよという間に26話まで書いてしまった。
早い話がインターネットに蔓延るキショいゾンビを観察しよう!という趣旨の短編集なので、後半になると「読者諸兄姉も飽きてるのでは…?」とヒヤヒヤしていたけど「煩悩の数だけ続いてほしい」って感想を見てちょっと笑った。もうブラコンレベルなのよそこまでいくと。
今回のろくろはせっかくなので、全26匹のゾンビを語っていこうと思う。かなり長くなってしまったけど読んでいただけると嬉しい。

第一話 『エコーチェンバー
('A`)ってこういうキャラのイメージ。私だけ?
現実世界で女性と縁があるわけじゃないけど、インターネットで藁人形的に叩かれている「女さん像」を見ているうちに女性観として刷り込まれちゃったゾンビ。
インターネットでくだ巻いてないで現実世界で友達作ったほうがいいけど、コミュ力とか当然なさそうだし人間関係築く上で避けられない衝突に耐えるメンタルもなさそうだし、多分無理そう。

第二話 『布教活動』
自分の好きなものを他人にすすめること自体は何も問題ないけど、人との距離感がわからなかったり視野が狭かったりするとこういうゾンビが爆誕しがち。
こういうとき「あんた、少しは落ち着きなよ」と諫めてくれる友達がいればいいんだけど、そうしてもらえてないあたり彼女の交友関係の浅さもなんとなく見えてくる。

第三話 『自分以外みんな馬鹿』
このゾンビに関しては正直あまり思うところがない。タイトルの通り自分以外を見下して侮っているのでいつか痛い目を見るんじゃないのかな~とは思ってる。
ちなみに第一話で登場した('A`)はこのnoteを購入しているという設定がある。

第四話 『既婚者の称号をください』
爪゚A゚)は多分結婚に向いてない。というか本心から結婚したいと思っているわけじゃなさそう。
どういう目的で婚活するかは自由だけど「周りがみんな結婚してるから」みたいな他人軸だと付き合わされる相手は大変だろうな。
これは偏見だけど、このタイプのゾンビは縁に恵まれたとしても婚活垢は消さないし、その後配偶者の愚痴botと化す。

第五話 『鈍感力』
(-@∀@)は妻が体調崩しても「俺の飯どうするの?」とか言ってそうだし、ミセ*゚ー゚)リもそれにぷりぷり怒りながら一生世話してそう。
まぁ需要と供給はぴったり噛み合ってるし、夫婦内で完結してるなら誰にも迷惑かけないしいいんじゃない?と思う。
でもこういう夫婦に子供ができると高確率でメンヘラに育つよね。

第六話 『自慢の息子』
こういうゾンビって自分の長所を聞かれると「優しい、誠実、真面目」って答えがちだけど、実際は「事なかれ主義、臆病、無関心」くらいなので自己PRって当てにならないなと思う。
母親が亡くなった際、内藤ホライゾンは母親の介護にノータッチだったのに家族の誰よりもワアワアと泣いていたという設定がある。そうやって心の底から悲しめる自分を「優しい」と思ってそう。

第七話 『うさぎのこころ』
敏感なのは自分の痛みにだけという話。
こういうゾンビの「お互いに思い合って生きていけたら」は「私にもっと気を遣って」くらいの意味なのでまじめに受け取ったら損をする。
だけどこのタイプは気弱な人間を見つけるのもうまいから、川 ゚ 々゚)もどこかの誰かに寄生して図太く生きていきそう。

第八話 『こども部屋の王様』
登場人物が小説家志望という設定だったおかげか反響が大きかった。
自分の好みでないものが流行ってそれが持て囃されるような世界だと「こんなもんどこが面白いんだよ」と憤る気持ちもわからなくはないけど、需要があるから流行っているのだ。とりあえず彼の言う傑作は永遠に完成しなさそう。
あとこれは余談だけど、作中に登場する茂名夫モナーのSNSも絶妙にキモく見えるように書いたので、そこに言及してくれる人がいたのが嬉しかった。

第九話 『宙ぶらりんの無個性』
ここまで読んでくれた人の感想で「他害しない分ましなゾンビだ」的なものを見た。まぁそれはそうなんだけど、みんなゾンビに慣れすぎだろ!!ゾンビを書いてる奴が言うなって話だけどさ。
現代なら結構ありふれてる、好きなものもない・気力も体力もない・心から友達だと言える人物もいない、ないない尽くしのないないゾンビ(こう書くとちょっと可愛いかも)
若いうちならいいけど、老年期に入ってこれだと認知症とか孤独死の確率がだいぶ上がるらしくて怖いな~と思う。

第十話 『可愛いものが好きなだけ』
「人間はどうなってもいいけど動物が可哀想なのは許さん!!」的な論説、インターネットで見る分には特になんとも思わないけど、たまに現実でそれっぽいこと言ってる人を見ると「お、おう……」となる。
何を可愛いと思うか尊いと思うかは人それぞれだけど、別にわざわざ関係ない人間を持ってきて下げなくても。そりゃ人間は愚かだけどさ。
この話、酔ってるときに書いたせいでほとんど記憶にない(愚かの実例)

第十一話 『僕はかしこい傍観者』
インターネット論客を見てると、暇なのかな?と思う。
私は議論なんて仕事のミーティングでお腹いっぱいだけど、インターネットでくだを巻くのが趣味な人達がいて、なおかつそれが一つの界隈として成立してるっぽいの、なんか色々凄い。
ちなみに(´・_ゝ・`)は既婚者(という設定)

第十二話 『親ガチャ子ガチャ』
SNSでキラキラした世界を知った結果、これになれない自分は不幸だ!と嘆くガキが増えているらしい。自他境界どうなってんの?と疑問だけど、まぁガキってそういうものなのかもしれない。
(#゚;;-゚)は多分トー横とか歌舞伎町に憧れてる。

第十三話 『ひとりあるき』
最近は自己肯定感って言葉が独り歩きしてるな~と思いながら書いた。
自己愛が強い・自己評価が高い・自意識過剰のトリプルコンボな陰キャが「自己肯定感」を魔法の言葉のように捉えるとろくなことにならない。
川 ゚ -゚)も周囲に流されない自分を装いつつ周囲の反応にしっかり傷付いている。
今はSNSのスカッと系ポストでなんとか自分を宥めすかしてるけど、多分そのうち限界がくると思う。

第十四話 『大きな長男』
この話は反響が大きかった。というかこのゾンビが一番ヘイトを買ってた。主に女性陣から嫌われていたので、それはそう…と思った。
楽なところをちょこちょこ摘まんで「自分しっかりお手伝いしてます!」って言い張る奴、子供なら可愛らしくもあるけどいい歳こいた大人がやってるとだいぶエグい。
でも世の中にはパパ垢というだけで囲いがつくこともあるらしい。闇だ。

第十五話 『選民思想』
昨今の推し活ブームもあり「好きなものを突き詰めてて素晴らしい!」みたいな文脈で語られがちだけど、個人的な意見を言わせてもらうとオタクって自分の興味領域以外には理解がなかったりコミュニケーションに難がある人間も多い。
この話で言うと「好きでよく買ってる」って言われたばかりのブランドを高いってディスったりとかそういうの。
lw´‐ _‐ノvのオタク口調がまあまあ古いタイプなのも時代の流れについていけてないからだと思う。いまだに「オィィィ!!!」とか銀魂ツッコミしてそう。

第十六話 『愛玩子』
私は犬が好きで色んなアカウントを見てるけど、動物好き=動物愛護とは限らないな~とつくづく思う。
ペットの飼い方は十人十色だけど肥満は本当に何一つメリットがない。
第十話に出てくる<(' _'<人ノはこのアカウントをフォローしているという設定がある。

第十七話 『エモーショナルの成れの果て』
爪'ー`)y‐は多分、自分は若者の輪に違和感なく溶け込めてると思い込んでる(溶け込めてない)
自分が評価されてないのは周りと馴れ合いをしていないからだとも思いこんでる(別にそういうわけでもない)
第八話の( ^ν^)もそうだけど、馴れ合いがどうのこうの言い訳するタイプ、性格が終わってるから普通に嫌われてるだけなことが多い。
余談だけどこのゾンビをいたく気に入ってくれたフォロワーがいて「冬の河川敷で惨めにくたばるのも良し」と言っていたのがだいぶウケた。そういう愛し方もある。

第十八話 『負の再生産』
第一話の性別反転verとして書いた。
もしかしたら〈::゚-゚〉が殴り書きしているポストは、そっくりそのまま自分や家庭環境のことなのかもしれない。
他人を叩いて溜飲を下げたからといって自分の人生が好転するわけじゃないのが切ないね。

第十九話 『スパルタ』
自己肯定感を育むには成功体験を積むのが一番だけど、行き過ぎるとゾンビになりがち。それがめちゃくちゃいいものだとしても求められてないのに押し付けるのはただのクソバイスでしかない。
( ,,^Д^)はこのまま誰も諫めてくれる人がいないとますます調子こきそうだし、鬱病の人に「筋トレはいいぞ!」とか言って白い目で見られたりすると思う。

第二十話 『イカロスのつばさ』
実はこの話のタイトルが一番気に入ってる。
「自分らしく生きよう!他人なんか気にしない!」みたいな綺麗な言葉がバズる時代だけど、そういう言葉を真に受けて人生詰んでも誰も責任は取ってくれないよねって話。
西脇ちゃん、そこそこフォロワー増えたあたりでアカウント売りそう。

第二十一話 『おもしれー女になりたくて』
おまけにも書いた通りこの四人は後々疎遠になるんだけど、
まずΣz ゚ー )リが「蜜柑って正直ちょっとさぁ…」と悪口のジャブを繰り出して
⌒*(・ω・)*⌒が「実は自分もきつい…」と半笑いで挙手して
ノリ゚ー゚)は正直このグループにそこまで思い入れなかったから「わかる~蜜柑ってそういうとこあるよね~」とヘラヘラ笑いつつフェードアウト
→離散 という流れ。あるあるじゃない?ない?

第二十二話 『ひなどり』
自称コミュ障みたいな人に話を聞くと、お前自分のこと大谷翔平か橋本環奈とでも思ってる!?とビビることがよくある。自分からろくすっぽ話しかけず相手のリアクション待ちで、思った反応がないとメソメソ…みたいな。
そりゃ大谷翔平とか橋本環奈ならみんな我先に話しかけるだろうけど誰が好き好んでお前をチヤホヤするんだよって話。
スレでも言われてたけど、インターネットに限らずあるあるだと思う。早い内に気付いて修正できたらいいけど、( l v l)は当分無理そう。

第二十三話 『青春を取り戻せ』
私はリア友にも作品を開陳する露出狂スタイルで創作してるんだけど、おまけの「プロフィール写真は会社のトイレで撮った自撮り」で友人の笑いをとれた。読んでくれてありがとうね。
この話、何気に過去のゾンビ(とその周辺)が出演してるんだけど気付いてもらえて嬉しかったな。

第二十四話 『唯一神に縋る』
私は「推しが否定されると悲しい」みたいな感情があまりないのでピンとこないんだけど、世間には好きなものを否定される=自分が否定されるみたいな感覚になっちゃう人もいるらしい。
それ自体は別にありえる話だと思うけど、行き過ぎるとこういうゾンビになりがち。
とりあえず依存先は複数に分散したほうが絶対にいい。

第二十五話 『バタバタママ』
この話に出てくるコミュニティサイト(のモデル)、わかる人にはわかるかな?と思いながら書いたんだけど、フォロワーに即当てられてびっくりした。まぁ有名だし意外とみんな見てるのかもしれない。
(’e’)も別に気が利かないタイプではないけど、('、`*川は自分の常識=世間一般の常識と思っているから多分一生噛み合わない。
これを書いてるときずっと( "ゞ)が可哀想だな…と思ってた。ガキが可哀想な話、書くのも読むのもしんどい。

第二十六話 『リビングデッド』
ここまで書いてきて、流石にもういいかな~と思った。書きたいゾンビも粗方書き尽くしたし。というわけでゾンビ総決算!!
最後に持ってくる話はなんとなく決めてて、一番ありふれたゾンビにしようと思ってた。第九話よりかは若干気力があって、でも社会の荒波に揉まれて疲れてるどこにでもいるゾンビ。
多分このゾンビは今までも流されて生きてきたし、これからもずっとそうだと思う。

そんなわけで全26匹のゾンビでした。
「いるいるこういう奴」も「こういう奴大嫌い」も「これ自分じゃん」も、どんな形でも楽しんでもらえたなら作者冥利に尽きます。
インターネットは最悪で最高!


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