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同人誌印刷所見学ツアーはたのしい

技書博さんが主催する印刷所見学ツアーに行ってきたので記事にしようと思います。このイベントは「あなたの技術同人誌ができるまで」をテーマに、同人誌入稿後に印刷されて本が出来上がるまでの過程を見学して、より同人誌を作ることを理解しようというイベントです。

最終的な感想を言ってしまうと、とても楽しかったし、学びの大きいツアーでした。入稿してから搬入状態になるまで、同人誌の著者にとってはいわばブラックボックスになっています。そこがクリアになり、さらに中の人がプライドを持ってお仕事をされ、私たちの原稿も丁寧に扱われ、私たちの趣味の充実につながっていることが理解できたことはとても良かったと思います。

今回伺わせていただいたのは東京・足立にある「しまや出版」さんです。出版と付いていますが出版会社ではなく同人誌向けの印刷会社です。私はこちらにお願いしたことはないのですが、同人誌出版に関して老舗ということで、とても愛着を持つことができました。

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はじめに案内されたのはオフセット印刷機です。マンションが買えるほどの値段だそうで、大きな音を立ててはたらいていました。

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季節や天候によってインクの状態などに変化があるため、こうして印刷内容を測定して微調整をしているとのことでした。職人技ですね!

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これが「版」です。アルミ製の薄い板で、ここに原稿が載っています。よく見るとうっすらと模様が見えますね。アルミ板全体が水に濡れた状態で、一部だけインクが乗り、それが一旦ブランケットと呼ばれるローラーに転写され、それを経由してインクと水が混ざったものが紙に乗ります。これがオフセット印刷の仕組みです。一枚の版で最大10万枚くらいはいけるんじゃないか?(試したことないけど)ということでした。

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これもオフセット印刷機です。前述の大きな印刷機ではCMYKでの表現のみになりますが、特色と呼ばれるCMYKでは向かないようなインクで表現する場合はこちらを使うそうです。匂い付きのインク(こするとレモンの香りがする)を試させてもらいました。インクの色がない場合は調合もされるようです。

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癒やし課のユキ。忙しい時期はみんなが触って癒されているそうです。ちなみに猫の毛などの問題があるので工場内には入れないとのこと。

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これがオンデマンド印刷機です。業務用冷蔵庫かスパコンかというくらい存在感があります。

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上を開けるとこの通り、トナーが入っています。インクではなくトナーで印刷するのがこのオンデマンド印刷機です。港区のマンションが買えるくらいの価格だそうです。

次は製本工程。まず印刷した本文を丁合機にかけてページ順にします。

本文の背にノリをつけて、表紙を貼り付けます。

最後に3面をカットすればできあがり。

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ノベルティの印刷も実演していただきました。これはうちわ。機械からほぼカットされた状態で出てくるので、手でペリペリと切り離すことができます。

印刷所の片隅には献本されたらしい同人誌がたくさん並べられてあり、自由に手に取って確認することができました。私が持っている艦これ本も並んであったので、その本はこの工場を経由してうちまで来たんだなとより身近に感じられました。

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社長さんによる会社紹介と質疑応答タイム。しまや出版さんはJapan Color認証を受けており、同人誌印刷会社としてはとても少ない事例だそうです。また、町の工場と言うことで足立区からも認定を受けたということで、公的機関から同人誌印刷会社が認定を受けるという珍しいお話も聞けました。そして何より高精細の300線印刷。だんだん宣伝ブログみたいになってきましたが、業界としては「おっ」というような特別な立ち位置にいるのがこの会社ということがわかりました。

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これがJapan Color認定証。

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見学は2時間ほどで終わったのですが、懇親会があると言うことでせっかくだからと参加して社長さんとお話ししてきました。しまや出版さんからは2名、参加者とスタッフから7名の計9名でいろいろな話をしました。

コミケ搬入の裏側や、同人誌印刷会社の横のつながりの話など、とても面白い話が聞けました。意外だったのは、印刷会社の中の人的には一般の人への工場見学の需要はあまりないのではないかと思われていたこと。そんなことはないですよ。同人誌印刷でお世話になっている会社のブラックボックスがクリアになるということは大きな学びだし、興味を持つ人は私たちのようにたくさんいるはずです。

何より、印刷にこれだけの誇りを持ってお仕事されているということを知って私は圧倒されましたし、中の顔が見られたことでこれからは入稿も気をつけよう(迷惑をかけてばっかりなので)という気になりました。

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これは昨年発行されたしまや出版さんの50周年記念誌。一番右にある「印刷実験室」に印刷屋さんの本気が詰まっているということで買わせていただきました。箱入りで金に糸目を付けない豪華仕様。さすが印刷会社さん!

最後に、ツアー中の質疑応答タイムで印刷会社さんについて一番気になっていることを質問してみたことを共有します。

「18禁の本の恥ずかしいタイトルや台詞を電話口で読み上げてくれるのは恥ずかしくないですか?」

「慣れてます!」

以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

追記

興味を持った方のために追加情報です。技書博さんのイベントページは以下です。好評なようならまた開催される可能性があります。@gishohaku に応援のメッセージを送ってみましょう。

しまや出版さんでは閑散期などに工場見学を受け入れているそうです。私も友達を連れて行きたくて「何人からOKですか?」と聞いたら「6人くらい」とのことでした。スケジュールや人数によって準備が必要だと思いますので、細かい点は直接相談してみてください。

以下に、同じツアーに参加した人の記事をいくつかご紹介します。


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元システムエンジニア。絵も描けてデザインができて同人誌も作ってる人です。
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