ホンソレとクリエイティブ

-共感する日々

SNSでよく見かけるようになった言葉、ホンソレ。
もしくは、ほんとそれ。本当にそう。
そして、首がもげるほどうなづく…。

TwitterにしろInstagramにしろFacebookにしろ、
そこには共感を示すボタンがあり、共感の数が数値化される。
毎日SNSを見て「いいね」やリツイートをしているのは、
言い換えるなら、毎日なにかに「共感している」ということでもある。

SNSが登場する前から、ヒトはいつも何かに共感をしてきたけど、今ほど多くのものに共感を示す時代はなかった。
あまりの共感の多さに面倒になったため、「本当にそう思う」から「ホンソレ」に短縮されてしまった。

(あらかじめ言っておくと、共感が悪いわけではないです。
共感はとても重要!共感はクリエイティブを推し進めます)

-「共感する私」と「共感させてくれる誰か」の違い

冷静になって考えてみると、「ホンソレと言って共感する私」と「共感させてくれた誰か」の間には、大きな溝があることに気づく。

誰かが言葉や写真、図解などで「ソレ」を可視化してくれたからこそ、私は「ホンソレ」と呟くことができる。誰かが可視化してくれない限り、私は「ホンソレ」と言うこともなく、ましてや誰かを共感させることもない。

ここにクリエイティブの秘密がある。と思う。
(人によっては秘密でもなんでもないかもしれないが)

SNSでの発信だけに限ったことではなく、
小説にしろ映画にしろ、芸術作品でもデザインでも、
あらゆる創作は、見る人になんらかの感情をもたらす。

そして見る人は時々「これぞ私が求めていたもの」と、共感を示す。
新しく生み出された言葉、作品を見て「わかる!」(もしくは「すごい!」でも)と思えるのだ。「わからない」ではなく。

ぼくも本を読みながら「まさに自分の思っていたことが書かれている」と思うことがある。でもその時点までに、ぼくは「考えたそれ」を文字にしておらず、本にしていない。できるのは著者に共感を示すことだけだ。

著者は考えを文字に起こし、まとめる過程で多くのクリエイティビティを発揮している。ぼくは読者としてそれを読んだからこそ、「それ、ぼくも考えていましたよ」と言える。当たり前だけど、それを読まなかったら、「ホンソレ」と言えない。

-ホンソレはリアクション、クリエイティブはアクション。

「リアクション」がクリエイティブになることもある。それは「本当にそう」という共感ではなく、「いや、俺はこう思う」という新たなアクションだ。

本のレビューで「当たり前のことが書かれている」と言って、星2つ、とかの評価が下されているのを見ることがある。でも「当たり前のこと」を文字にした著者と「当たり前のことが書かれている」と評したレビュアーには大きな差がある。「ここに書かれていることは間違っている」とか「俺はこう思う」ことがあるのなら、新たに自ら書き起こし、発信するべきだろう。

しかしそもそも、なぜ「それ」を「当たり前」と思えるのだろう?
誰かが言葉にしなければ「当たり前」と感じることはない。
(話はそれるけど、今はヒトとしての基礎=「当たり前」が書かれなくなり、応用に目が向けられている時代でもある。ヒトとしての基礎がないと、うまくやっているつもりでも急にボロが出る。失言する議員とか。)

-「ホンソレ」から「クリエイティブ」へ

「ホンソレ」と言う私は、ホンソレと言わせるきっかけをつくるクリエイティビティを発揮していない。別に何も作りたくないよ!と思うならホンソレで終われば良いのだが、もし仮に何かを作りたければ、「ホンソレ」「わかる」と言うだけで満足して終わっていてはダメなのだ。
**
なぜ私は「本当にそう」と思ったのか?
なぜ私は「わかる」と思えたのだろう。**

その秘密を探っていくと、「そうそう!」「わかる!」と思わせるためには、多くの技術や調整が必要だと気づく。
映画でいうなら、ストーリーの構成、映像の技術、俳優の技術などが複雑に絡み合って、観客の感情を呼び起こし、共感を誘い、笑わせたり泣かせたりする。音楽も同じように、あらゆる楽器や歌声が微妙に調整されて調和を生む。どれかひとつが欠けただけで、「わからない」ものになってしまう。

その複雑な要素を作り出すことの難しさに対峙し、掘り進めていくことが、クリエイティブの第一歩なのだ。「ホンソレ」という呟きを最近たくさん見ながら、そんなことを考えていた。

-最後に

もう一度、念を押すようだけど、共感はとても重要。
共感されるかどうかで、つくるものの精度を確認できるからです。
モノをつくる人はいつも孤独で、共感に飢えている。はず。
(ただし太鼓持ち的な共感ではなく)


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