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第21回文化庁メディア芸術祭に行ってきた #02

http://festival.j-mediaarts.jp/?_ga=2.100940417.1415404749.1529897147-1476313803.1528767525
6月23日に国立新美術館で開催していたメ芸に行ってきたので、自分のメモとして考えたことや感じたことを書きます。2回目。

第21回文化庁メディア芸術祭に行ってきた #01
https://note.mu/yahho_yamabiko/n/n3c395861abd1
↑の記事の続きです。#01ではエンターテインメント部門の優秀賞を受賞した「人喰いの大鷲トリコ」のゲームデザインなどについて書きました。


作品概要

今回はアート部門を受賞した「アバターズ」のトークイベントに参加して感じたことについて。
(下の動画はYCAMで展示をしていた時のもの)

製作者はやんツーさん(https://mobile.twitter.com/yn02)と菅野創さん(https://mobile.twitter.com/soooo)のお二人。

彼らは2012年のメ芸でも「SENSELESS DRAWING BOT」で新人賞を受賞している。

http://festival.j-mediaarts.jp/works/art/avatars/
アバターズの作品概要を下記に引用。

電話やカラーコーン、石膏像、車、観葉植物など大小さまざまな日常的なオブジェクトで構成されるインスタレーション作品。個々のオブジェクトには、カメラ、マイク、モーター、小型コンピューターなどが組み込まれ、インターネットに接続されている。鑑賞者はウェブブラウザからログイン(「憑依」)することで各オブジェクトを「アバター」として操作することができ、オブジェクトの知覚世界を疑似的に体験できる。自分の身代わりであるアバターは仮想空間ではなく現実空間に存在し、そこにいる生身の人間(観賞者)と会話することも可能である。IoT(Internet of Things、モノが直接インターネットに接続し制御される仕組み)化が進み、人工知能が成熟しようとしている現在、自律性を持たない「物」が意思を持った「者」となって世界を知覚し動き出した時、そこに立ち上がってくる新たな関係性を観察する。

既に公開終了してしまったが、会期中はアバターへのログイン(憑依)用の特設サイトが用意されており、私も初日に何度か憑依してみた。
登録したメールアドレスにURLが送付され、そこにアクセスすると画面は「アバター」の視点に切り替わる。自分を見ることができないので一見何に憑依したのか謎なのだが(アバターにはランダムでアサインされる)、繰り返し色々憑依してみると、他のアバターだった時に見ていた位置関係や動きなどから何となく「あ、いま私は観葉植物になってるな?」と分かる感覚も面白かった。

受賞者トークについて

トークイベントでは、やんツーさんと菅野さんのこれまでの作品についての説明やIoTの今後、みたいな話が幅広く繰り広げられた。
(正直、モデレーターの方が全体の8割くらい喋っていてもっと作者の言葉を聞きたかったなと思った)

「憑依」という行為について作者の語っていた中に「ヒトとモノ 双方の履歴を部分的に同一化する」という言葉があり、印象に残っている。

今まではアバターと言うと、インターネット上のアカウントとしての架空のキャラクターというものであった。
(アバターと言うとサマーウォーズを思い出すな…あの映画ではアバターとそれを操る人物、仮想世界”OZ”と現実世界とがそれぞれ同期しながら展開する)

(突然サマーウォーズの話しちゃった……好き…)

この「アバターズ」ではそれが更に、インターネットを介して現実世界に還ってくる仕組みだ。
現実世界に生きる人間が現実世界上にある別のハードに備わる感覚を獲得する。


カメラやセンサーの技術、情報の送受信の速度が今後もっと進化していくと、向こう側にあるモノを動かすことも向こう側の感覚を受け取ることも、自分が普段自分の身体を動かしている時の感覚とほぼ変わらなくなるのではないだろうか。
そうなると、例えばセンサーを用いて自分が拡張したい感覚をどこにでも設置できるとか、あるA地点での自分が存在しながら、別のB地点にも自分が存在するとか、感覚まるごと誰かにシェアするというような未来が有り得そうだ。
人間がハードとソフト(身体と魂)を切り離し、切り替えるというようなことが可能になるのかもしれない。ちょっとSFぽくて怖い。


多分、アバターズを見たり実際に動かしてみてこのようなIoTの未来などについて考えた人は多いのではないか。
あの作品はシンプルな構造でありながら(というかシンプルであるからこそ)いろいろな人に未来を考えるきっかけを与えるものであった。

質疑応答での問いかけ

トークイベントの最後の質疑応答の際に会場の方から投げかけられた構想もとても面白いと思った。
「誰かが憑依した履歴がハードに残り、それが次の人に影響を与えたらどうなるか?」
「一つ一つのアバターが互いに影響し合い、それが空間全体の意識集合体のように可視化されたらどうなるか?」
という2つの問いかけだった。
最初の問いかけを聞いた時、臓器移植をした人にドナーの記憶や癖のようなものが移るという話(本当かどうかは謎)を思い出した。
アバターズでいうと、例えば前回操作した人の移動した道順が自分にだけ見える、とかだけでも記憶の継承的な感じがあって面白そうだ。


なんかいろいろ話がまとまらないけど、そんな感じのことを色々考えました。まとまらなくてもとりあえず書くことが大事かなと思って。
また何かあったら書きます。

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