見出し画像

豪州水泳コーチ留学【報道裏話編】

皆さんがご存知のインタビュー映像の撮影は…
ミックスゾーンという場所で行われています。

またミックスゾーンは"カメラ"と"ペン"で分かれてて

レース後選手はカメラ前でインタビューを受けた後
ペンの方々のインタビューを受ける。

カメラとペン。ペンとは主に新聞記者の方々の事を
みんなペンと呼んでいた。

なぜか順番はカメラ。その後ペン。選手は別々に
取材を受けるけど、聞かれる事が同じだとまぁ…

うんざりしちゃう事も多々ありますよね、人間。

ペンの方々は本当に大変だと思いました。
にも関わらず私のような下っ端のアシスタントにも
とてもフレンドリーに話しかけて下さって…

お互い情報のやり取りをしていました。

共同通信の正田さんや毎日新聞の熊田さんは
水泳の知識も豊富な方々でとても話が合いました。

シドニー五輪後の12年後、ロンドンパラ※でも
二人にはミックスゾーンで声を掛けて頂きました。

※私は当時代表コーチとして参加しておりました。

その節はお世話になりました。アリガトウゴザイマシタ🙇🏻


テレビカメラの裏事情 


オリンピックやパラリンピックでは
各テレビ局がカメラを回すとものすごい数になる。

またオリパラは各競技が同時進行している為
各局そんなにカメラを準備できません。

ゆえに「国際映像」というものを運営側が撮影し
その映像を各国の報道が使うのが一般的です。

ただ各国注目選手がいる為、テレビ局がカメラで
別途撮影するわけです。

日本のテレビ局らはオリンピックの時は
放映権利を共同団体で買い、種目によって各局が
放映する権利を分け合う方法をとっています。

例えば、テレ朝は水泳、フジはバレーみたいな…

使えるカメラは確か一台。水泳でもそうでした。


世紀の一瞬を収められるか


水泳のレース映像を担当するカメラマンさんが
私のところに決勝前にやってきて…

"決勝は、A選手とB選手が2レーンと6レーン"

カ「メダル取れるかな」
私「絶対取れると思いますよ!」
カ「どっちがくる?」

どうやら最後メダル獲得時の表情を撮りたいから
どちらかに絞らなくてはならないようだった。

カ「やっぱり注目のA選手でしょ?」
私「んー、私はたぶんB選手が来ると思います」

A選手は言うなれば今で言う池江選手のような
注目選手だった。

カ「えー、なんでそう思うの?」
私「B選手の方がメンタルが安定してたので」

実は、A選手はやはり注目されていたせいか
予選、準決勝のレース後共にミックスゾーンでは
終始泣いていた…

「何が悪いのかわからない」

B選手は予選も準決後も終始笑っていた。

私は取材をしていて分かった事実が一つあって
ミックスゾーンで泣いている選手で…

その時メダルを取れた選手はいなかった。

=========
ロンドンパラで金メダルを取った秋山里奈選手は
ミックスゾーンで泣きまくっておりましたが…
見事リカバリーした素晴らしい選手でした。
※また機会があれば書かせて頂きます。
=========

話を戻すと…

結局、決勝の結果はB選手がメダルを獲得した。

レース後、そのカメラマンさんに会った時に

私「どちらを撮ったのですか?」
カ「やっぱりA選手を追っちゃった…」

でもそりゃそうですよね、その差0.1秒。

どっちが勝つかわからない状況で、もし
A選手の映像がなかったら…

そのカメラマンさんは何人ものメダリストを
カメラに収めてきたベテランカメラマン。

私が同じ立場だったら同じ事をしてただろうな…

五輪で世紀の一瞬を収めるという事の難しさを
目の当たりにした瞬間でした。

つづく…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?