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【手順解説】A-surveyによる任意座標系の対回観測と閉合トラバース計算

andoroid端末で動作する電子野帳「A-survey」を用いた、任意座標系での対回観測の手法と、閉合トラバースの測量計算の仕方を解説します。
補足として、対回しながら放射観測を行う場合の注意点も末尾に載せています。
個人的な手法の覚え書きですので、より良い手段があるかと思います。

今回用いた機器を以下に記します。
TS:トプコン GT505
andoroid端末:LG Android One X5

また、今回の閉合トラバース測量は、T1~T4の4点、四角い路線で行うこととします。

①現場作成と座標登録

A-surveyアプリを起動し、
メニュー→「現場管理」→「新規現場」で現場を作成します。
現場ができたら、
メニュー→「計算・座標」→「座標入力」で最初の基準点の座標と、磁北方向を後視するために用いる座標の2つを作成します。
A-surveyでは最低2つの既知点座標がないと測り始めることができないので、適当な北方向の座標を作成する必要があります。
ここで最初の基準点 T2 500,500
北方向の点 N 600,500
とします。

②放射トラバースによる後視基準点の観測

T2にTSを据付し、後視基準点T1の観測をします。
メニュー→「トラ・杭打ち」→「放射トラバース」を選択し、「器械」にT2、「後視」にNを入力します。
測距モードが「HV」になっているのを確認したら、TSを磁北方向に向けて「BS」ボタンを押し、Nバックします。
測距モードが「HV」、角度のみを記録するモードになっているため、距離を取らなくても角度のみで後視を設定できます。
バックしたらT1を観測して登録します。
放射トラバースで観測すると、観測点は自動的に座標化されます。
これでT1の座標が登録されます。

③対回観測

メニュー→「トラ・杭打ち」→「対回観測」を選択します。
対回数、測距数、天候等パラメータを入力してOKします。
「器械」にT2、「視準」にT1を入力し、測定して登録します。
後視が終わったら「視準」に次点T3を入力、視準し、測定して登録します。
今回は閉合路線のみの測量なので、そのまま「半対」ボタンを押し、半自動対回観測を開始します。
画面に従ってターゲットを視準し、OKして観測を進めます。
対回観測が終了すると精度チェックが入ります。
以降、TSと一素子を据え替えながらT3、T4、T1と対回観測を行います。

④APAデータの結合

対回観測のAPAデータは基準点ごとにバラバラになっているので、各APAデータを結合する必要があります。
メニュー→「トラ・杭打ち」→「APAファイルの結合」を選択します。
路線名を入力し、リストに表示されているAPAデータのうち閉合計算に使用するものを選択します。
OKするとAPAデータが結合されます。

⑤閉合トラバース計算

メニュー→「トラ・杭打ち」→「多角・閉合」を選択します。
「リスト」から、先ほど結合したAPAデータを選択します。
終点をT1に変更し「計算」ボタンを押すと計算結果が表示されます。
「登録」ボタンで計算された座標が記録されます。

※補足

○放射観測と違い、対回観測では観測した新点は自動で座標化されません。
(逆に言うと、対回観測のみ行う場合は基準点の座標は必要ありません。)
対回観測後に器械を動かさずそのまま放射観測する場合、それぞれの基準点の座標が必要になるため、何らかの方法で仮の座標をつけてやる必要があります。
メニュー→「トラ・杭打ち」→「多角・放射」で各基準点での対回観測のAPAを使って座標計算する、あらかじめ放射観測時に前視基準点をもう一度観測して座標化しておく、などの方法が考えられます。
また、ここの放射観測で自動的に得られる各座標はあくまで仮座標から作られるものなので、正確な値になっていません。
観測が全て終了したら閉合(あるいは結合)計算を行い、各基準点の仮座標を更新したのち、それぞれの基準点からの放射のAPAをもって計算し直す必要があります。

また、その場で座標化する必要がないのであれば、「野帳観測・入力」で観測APAデータのみを作成する方法もあります。

〇対回観測に入ると、測距モードは一覧の上から4番目、GTで言うと「精密」に固定されるようです。
器械側でプリズム、シートなどモードを選択し直すことはできますが、A-survey上では対回観測画面から測距モードの変更はできないので、ノンプリ等から変更する場合は一度放射トラバース等の画面に移動する必要があります。

○初期設定だと、対回観測時に自動的にサーチが入ります。
手動で視準する場合は、「条件設定」→「対回観測条件」の「[対回観測]自動視準を使う」チェックボックスを空にします。
また、「自動対回(ソキア、ライカ)」のチェックボックスにチェックが入っていると、「半対」ボタンで自動対回となり、オートで観測を行います。

〇世界測地系でトラバース計算を行う時は、計算前に縮尺係数を確認してください。
縮尺係数は「条件設定」→「計算条件」から変更できます。

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