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ヤジポイデモ(8/10)完遂しました

 告知していた通り、8月10日にデモを実行しましたので、報告記事を書きます。

 今回のデモの企画であるヤジポイ実行委員会は、なにかの組織や団体というよりは、ゆるやかなコミュニティ(人のつながり)を基盤にしている集まりです。なぜこういうことを書くかといえば、それによって準備がグダグダだということが言いたいのです笑

 当日の流れの確認など、やることしっかり決まらないうちに現地に向かう時間になり、バタバタしながら荷物を持って大通公園に向かいます。


事前集会とか

 16:30から事前集会が始まりますが、現地には早くもメディアの関係者が大量に来ていました。私が名刺をもらった範囲でも、

朝日新聞
毎日新聞
北海道新聞
十勝毎日新聞
共同通信
産経新聞
北方ジャーナル

NHK
HBC
STV
HTB
UHB

と、勢ぞろいでした。まぁ、どこの会社が来たからいいとか悪いとかいう問題ではないですが、この問題について黙殺してきた(ように私たちには思われる)NHKも今回は参戦。しかし、某全国紙の「Y紙」が来ていないことについては、徹底しているなあと感心すらしました(今後も取材、お待ちしております)

 さて、集会が始まり、主催によるスピーチが始まります。排除された当事者の大杉、大杉と同じく現場で排除された桐島、それから自由法曹団の神保大地弁護士、元道警幹部の原田宏二さん、プラカードを持参して警察に包囲されたTさん、そして「増税反対!」と叫んで延々と警察につきまとわれた大学生。それぞれの思いを込めて、道警の対応について批判を口にします。

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 さて、17時をすぎてデモ行進が始まります。当初、取材陣が多すぎたために、一体何人の参加者がいるのかよくわかりませんでしたが、結果的に150人ほどの人が来ていたようです。事前の予想として「100人から200人のあいだ」という特に根拠のない数字を考えていましたが、見込みは当たっていたことになります。

 主催としても事前に用意したプラカードがありましたが、それ以外にもオリジナリティあふれるプラカードを持参してきている人も多く、にぎやかな雰囲気と、独特のゆるさがありました。

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そして、デモがはじまる

 「さあ歩き始めるぞー」というところで、警備で来ている警察官から、「許可条件」の告知が始まります。これは、「デモをするにあたってこれはしちゃダメ、あれはしちゃダメ」ということが書いてあるもので、その許可条件に背く場合には、デモを中止できるとも書かれています。
 しかし、その禁止事項は言論・表現の自由の行使として行われるデモの自由度を損なうもので、いってみれば日本の「言論の不自由」を象徴するようなものです。現在、日本では、片側一車線しか使えない、極めてケチくさいスタイルのデモしかできませんが、そのような規制を可能にするのは、この公安条例に基づく「許可条件」なわけです。

 今回のデモは北海道警の言論弾圧・違法行為に抗議し、そして「言論の不自由」を批判するためのものなので、参加者も黙っていません。警察が紙を読み上げるそばから、「言論の不自由!」「やだー!」「なんでー?」といった声(ヤジ!)が上がります。まさにヤジポイです(?)。この時点で、デモ参加者は警察権力に対して「言うこと聞くよなやつらじゃないぞ」という宣言をしたといってもよいでしょう。

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 序盤から景気よくコールを飛ばしていきます。内容は、こんな感じ。

(全体、道警本部前) 
 道警あやまれ 排除をあやまれ
 道警あやまれ 暴力あやまれ

 法律無視する警察いらない
 人権無視する警察いらない
 言論無視する警察いらない
 自由を無視する警察いらない

 言論弾圧 絶対反対
 ヤジの排除は絶対反対 
 北海道警さっさとあやまれ
 法律違反をさっさとあやまれ

 言うこときくよなやつらじゃないぞ
 路上の自由を取り戻せ
 警察権力ふざけんな
 暴力排除はゆるさねえ

 おまわりゆるすな

(自民党前)
 アベやめろ

(北海道庁前)
 鈴木直道はすっとぼけるな
 鈴木直道はさっさとあやまれ
 高橋はるみは現場にいただろ 
 高橋はるみもついでにあやまれ 

 この日は、連日暑かった北海道の気温も下がって、デモをするには悪くない天候だったと思います。拡声器によるコールとトークを織り交ぜながら通りを歩いていきます。交差点では、こちらに向かって賛同の拍手をしてくれた人などもいました。

 一般的に、デモ行進を街頭で行う場合、警察は市民に対して威圧的な態度を取ることが少なくありません。よくあるのは、「車線からはみ出ないようにもっと内側を歩け」とか、「もっと早く進め」とか、あるいは解散地点で「さっさと流れ解散しろ」「歩道に留まるな」といった内容です。イチャモンをつけて意見を言いづらくさせることが、警察の仕事の一部なのではないかと思うこともしばしばです。

 しかし、この日のデモはそのような不当な介入が全くと言っていいほどなく、警察は粛々と交通誘導などの警備に徹していました。もちろん、それが本来の姿であり、「公務員としての中立性(全体の奉仕者)とは、かくあるべし」とは思います。しかし、そのような中立的な態度をまるごと放棄し、時の権力者への批判を封殺するような行為こそが、7/15に起こった「アベやめろ」ヤジ排除事件だったわけです。

 そして、私たちが今回抗議している対象というのは、そのような政治的中立性を著しく逸脱した道警なわけです。その当の道警に、「いや、私たちはあくまで中立的な立場なんで、ただ交通整理するだけです」という第三者的な態度を取られると、それはそれで「なに中立ぶってるんだよ!」と言いたくなる気持ちも湧いてきます(だからといって強硬な態度を取られたら、また怒りますけど笑)

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請願タイム

 さて、そうこうしているうちに、行進の終着地点である道警本部ビル前まで到着します。ここから、道警および北海道公安委員会(同じ建物にある)への請願・苦情申し入れタイムです(この二つは厳密には別の法律に基づくものですが、ここでは便宜上、二つを合わせて「請願」と書きます)。
 しかし、そう簡単にいかないのが警察とのやり取りです。そもそも、私たちは道警本部に請願したい旨の事前連絡を、直接していません。デモ申請の際に中央署の担当者に請願する旨を伝えていましたが、その担当者からは「土日は請願受け付けてないみたいですよ」とつれない返答を受けていました。

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 しかし、「土日は請願はできない」と言われても、そんなことはどこにも明文化されていません(事前予約の必要性についても)。こちらは憲法に明記されている請願権に基づいて、アポなしで道警本部を訪れたのです。

 駐車場の前にいる担当者は「請願は、代表者二名が建物の中に入って提出することになっています」との返答(この時点で「土曜だけど請願できるんじゃん、やっぱり」と思いました)。私たちとしては、担当者に外に出てきてもらい、みんなのいるところで請願書を受け取ってほしかったので、そのように求めますが、話は平行線で埒が明きません。試しに「ここにいる全員が代表なので、100人で入ってもいいですか?」と聞くも、真顔で「それはダメです」と言われてしまいました(そりゃそうですけどね)

 まぁ、せっかく道警前まで来たのだから、とりあえず直接建物に向かって訴えかけることにしました。門の前でひたすら「請願受け取れ!本部長出てこい!」というコールを、拡声器を通して連呼しました。例の「買収」動画のことも踏まえて、「ジンジャエールおごれ!」のコールなども飛び出しました笑

(例の買収動画)

 しばらく拡声器を使って抗議してはいましたが、警察からの注意などは特になし。職員が玄関から出てくる様子も、特にありませんでした。しばらく粘ってみたものの、状況は変わりそうになかったので、結局、請願書の内容を門の前で読み上げた後、請願の名義人と、付き添いで来ていた齋藤耕弁護士が中に入って手渡しすることになります(請願書の内容は別の記事で取り上げたので、ここでは触れません)

道警による盗撮、はじまる

 しかし、その頃反対側の道路では、いつの間にか出動していた警察官が、指揮車の上から私達の様子を動画撮影し始めていました。

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(こわっ!)

 言っておきますが、私たちは建物の前で抗議行動はしていましたが、特に法律には触れていません。先にも書いたように警察側からも、なにかの注意や警告のたぐいもありませんでした。にも関わらず、なぜ一方的に撮影されないといけないのか。警察によるこうした行為が、表現の自由を萎縮させることに繋がるのは間違いないでしょう(警察に撮影されるのが嬉しくてデモに行く人とか、普通いないですよね?

 これに対して、上述の神保弁護士が駆けつけ、撮影行為についての法的根拠を問い始めます。神保さんは「警察によって肖像権を侵害することが正当化されるのは、今この場で犯罪が行われている場面に限られているはずだ」(京都府学連事件判例)、「現在、私たちによってなんの犯罪が行われていると判断しているのか」、「法的根拠がないのであれば今撮影したデータを消しなさい」、ということを主張し、怒涛の説教を開始します。しかし、撮影を行っていた若い警官は、法的根拠について正面から答えることができません(ちなみに、一応書いておきますが、公務執行中の公務員には肖像権がありません。なので、こちらから警察を撮影する行為には問題ありません)

 というか、こういう説明になっていない説明をただ繰り返すだけの警察官(おそらく法律の知識も乏しいのでしょう)と接していると、のれんに腕押しというか、やるせない気持ちになってきます。

 その後、彼の上司にあたる警察官を連れてこさせるのですが、結果として彼も「正当な職務の執行である!」と言い放ち、一斉に引き上げようとします。より正確には、法律の専門家に詰められ、勝ち目がないと思って逃げ帰った、という印象が強いです。

 しかし、ここでデモ参加者の怒りが爆発します。

 道警は、暴力やつきまといによる強制排除(言論弾圧)を一言も謝らない。その上、法的根拠も説明しないまま、違法にデモ参加者の顔を撮影する(盗撮行為)わけです。これじゃあ、もはや道警は「犯罪者集団」じゃないですか。道警本部に帰ろうとする警察官の集団に対して、デモ隊から烈火のごとく「犯罪者!」コールが沸き起こります。

 そもそも、自分たちがやった違法行為について非難されているデモで、さらに違法行為を重ねる道警という組織はどうなってるのだ、というのが正直な感想です。しかし、ともかく道警による強制排除に対して、徹底的に抗議し、責任を追及するというデモの目的は達成できたのかなと思いました。しばらくは、請願(苦情申し入れ)についての返答を待ちたいです。

とりあえずのまとめ

 今回のデモでは、言いたいことを全部盛り(?)で言いまくったわけですが、自分たちの考えていることをちゃんと言葉にして主張していくということは、やはり民主主義の基本にある行動です。路上に言論の自由がない社会で選挙や議会だけあったって、そんなものは民主主義社会じゃないですよね、ということをあらためて認識した日でした。ヤジも言えないこんな世の中じゃ……ねえ、体に毒ですよ。

北海道警への苦情はこちらからどうぞ
☎ 011-251-0110(代表番号)

<当日の様子を伝える記事など>



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