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マナー派について(ポイズン通信1-1, 桐島)

 デモの当日に急遽配布したチラシ、その名も「ポイズン通信」の内容を、ここにも転載しておきます。分量が多いので、いくつか分けて、まずは1つ目。

以下、転載
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 「いきなりヤジを飛ばすなんて」「もっと穏便な方法があったのでは」「周囲の迷惑だ」「人が喋っているのに叫んで遮るのは無礼だ」…etc. こうした立場を、ある友人は「マナー派」と呼んだ。同感だ。周囲になじむことを第一とするマナー派は、まさか自分たちが一派閥と捉えられているとはつゆほども思っていないだろう。私は反マナー派である。反マナー派は、いきなりヤジを飛ばす。究極の穏便な方法として、ヤジを飛ばす。迷惑の質を吟味したうえで、やはり周囲に迷惑をかける。喋っている者が権力者なら話を遮っても無礼ではないと考える。「マナー派」という呼び名を教えてくれた友人は「マナー派の相手はしません」と言った。基本的に同意する。しかし私はここであえてマナー派の相手を(すこし)してみたい。

 今回の一連の排除劇には、マナー派もドン引きすることうけあいのケースが二つあった。

①年金問題を問うプラカードを持っていただけで排除され、警察につけまわされたケース
②ヤジを飛ばした人と一緒にいただけで、プラカードも持っておらず、叫びもしなかったのに、警察につけまわされたケース

①この方は、基本的に誰にも迷惑をかけていない。叫んでもいないし、プラカードを投げつけたりもしていない。迷惑があるとすれば、年金問題を問われて困る人にとっての迷惑だ。警察がそれを先回りして察知した(こういうの、何て言うのでしたっけ。流行語になりましたね)のか、あるいは上から「安倍政権反対派をみつけたら排除せよ」と指令が出ていたかわからないが、ともかく悪いのは警察だ。

②この方は100%誰にも迷惑をかけていない。断言できる。私はそばにいたからわかる。この方は自分の四方をかためて歩く私服警官たちに対してさえ、ごく穏やかに接していた。ヤジを飛ばした人と一緒にいた、たったそれだけのことで、かれは警察から嫌がらせを受けたのだ。ただただ気の毒というほかない。

 では、これらのケースではなくて、テレビや新聞で報じられたTHEヤジについてはどうか。もちろんヤジは迷惑である。だが「迷惑=悪い」という短絡はすべきでない。かならず人死にが出るだろう消費増税と、たかだか肉声のヤジを聞いて安倍などが嫌な思いをするのとでは、どう考えても比較にならないくらいその迷惑度に圧倒的な差がある。

 まず自分たちの事情を考えてみてほしい。物価は高い、賃金は大して上がらない、消費税は上がる、年金はもらえない…こちらは迷惑をかけられっぱなしではないか。お話にならない。もっと「上」に迷惑をかけるべきだ。ぜんぜん迷惑をかけ足りない。こういうところで遠慮してはいけない。やられたらやられっぱなしで、そのうえ「迷惑をかけてはいけない」と清く静かにしていたい?「そういう考えもあるよね。尊重します」まさか!私はそういう考えを否定する。やめなさい、と言う。

 静かにしていた自分だけがご褒美をもらえるとしても、一時的だし、量だって微々たるものだ。だから早く「マナー派」を脱して(べつに私みたいな反マナー派にならなくてもいいから)。地位と金のうなるほどある人は、たとえばヤジを飛ばされてちょっと嫌な気持ちになっても、おいしいものをたくさん食べて、広いお風呂に入ってる。われわれは消費税が上がったらどうなる?(しかもそれでポンコツ戦闘機を買うなんて…)繰り返しになるが、ほんとうに、比較するのも馬鹿馬鹿しいことだ。(桐島さと子)

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