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『箱の中』単行本と文庫本の違いとオススメの読む順番【木原音瀬】

この記事では、木原音瀬先生によるBL小説『箱の中』『檻の外』のオススメの読む順番と、講談社文庫版とホリーノベルズ版の違いを紹介していきます。

『箱の中』は、2006年にホリーノベルズから出版されたBL小説で、その後続編の『檻の外』が発売されました。

刑務所で出会った2人の男の恋を描いた『箱の中』は、文芸雑誌「ダ・ヴィンチ」でBL界の芥川賞と絶賛され、2012年に講談社文庫から一般書としても出版されました。

愛を知らない青年×冤罪で捕まり絶望に堕ちた男の、胸が苦しくなるほど切ないラブストーリーです。

ホリーノベルズ版のイラストは草間さかえ先生。


1.講談社文庫版『箱の中』 2012年9月刊行

一般書として発売されている『箱の中』は、ホリーノベルズ版『箱の中』に収録されている「箱の中」「脆弱な詐欺師」と、『檻の外』に収録されている「檻の外」を1冊にまとめた作りになっています。

巻末には作家の三浦しをん先生の解説付き。

『箱の中』『檻の外』の世界観を掴むにはまずはこれを読んでおけば間違いないです。

BL小説の定番であるセクシーなイラストの表紙や挿絵も入っていないので、日頃BLを読まない人や、BL初心者さんでも手に取りやすいのが嬉しいポイント。

講談社文庫版は本屋さんにも置いてある可能性が高いので、そういった意味でも手に取りやすいと思います。

ただ、講談社文庫版の『箱の中』には、ホリーノベルズ版『檻の外』に入っている「雨の日」と「なつやすみ」という短編が収録されていません。

解説で三浦しをんさんも触れているように、「なつやすみ」まで読んでこの物語は完結します。

個人的には、講談社文庫版『箱の中』だけでは後味に苦みが残ると思うので、ぜひ「なつやすみ」まで読んでいただきたいです。

2.ホリーノベルズ版『箱の中』 2006年3月刊行

ホリーノベルズ版『箱の中』は、2022年現在は絶版になっていて電子書籍化もされていません。

そのため、手に入るのは古本のみです。

収録作品は「箱の中」「脆弱な詐欺師」の2編と、「それから、のちの…」(あとがきにかえて)の計3編。

講談社文庫版とホリーノベルズ版の違いとしては、ホリーノベルズ版はBLレーベルなので挿絵があります。

草間さかえ先生の切なくて色っぽいイラストが素敵なので、イラスト付きで楽しみたい方はこちらがオススメ。

また、「脆弱な詐欺師」に登場した探偵の大江を主人公にした「それから、のちの…」というショートストーリーが収録されています。

「それから、のちの…」は講談社文庫版には入っていないので、もっと木原音瀬ワールドを楽しみたい!と思った方はホリーノベルズ版の購入もご検討ください。

3.ホリーノベルズ版『檻の外』 2006年5月刊行

ホリーノベルズ版『檻の外』も2022年現在は古本でしか手に入りません。

講談社文庫版『箱の中』にも収録されている「檻の外」の他、「雨の日」と「なつやすみ」が収録されています。

こちらも草間さかえ先生の挿絵付き。

「雨の日」と「なつやすみ」では、喜多川と堂野のその後の生活を覗き見することができるので、甘々ラブラブな2人が見たい人は購入必須です。

『箱の中/檻の外』ドラマCD

『箱の中』と『檻の外』は2018年にドラマCD化もされました。

キャストは喜多川圭(CV 川原慶久)×堂野貴文(CV 野辺健太)。

4.木原音瀬作品のコミカライズアンソロジー『ergo』全5巻

『ergo』とは、木原音瀬先生がホリーノベルズから出版した5つの小説を5人の漫画家がコミカライズするというアンソロジー企画のムック本です。

こちらも現在は絶版になっていて、購入できるのは古本のみです。

この『ergo』に、『箱の中』と『檻の外』の挿絵を担当した草間さかえ先生が6人目の参加者としてショートコミックを掲載されています。

登場するのはもちろん喜多川と堂野。

毎巻2ページ程度の漫画ですが、少しでも喜多川と堂野のラブラブを摂取したい!という方はチェックしてみてください。

『ergo』についての詳しい記事はこちら。

5.まぼろしの短編「すすきのはら」

『箱の中』『檻の外』の関連本として、「すすきのはら」という短編があります。

文庫本よりさらに小さい50ページ弱の小冊子です。

「すすきのはら」は過去に応募者全員サービスで配布された特別短編で、喜多川と堂野が養子縁組する話が収録されています。

これがまた切なくて愛おしくてたまらない名作なのですが、現在はとんでもないプレミア価格がついています。

さすがに簡単にオススメできない価格なので、どこかのタイミングで電子化か再収録されてくれないかな……と思っています。

まとめ

講談社文庫版『箱の中』では、『箱の中』『檻の外』シリーズの一部を読むことができます。

喜多川と堂野のその後が気になる方はぜひホリーノベルズ版も手に取ってみてくださいね。


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