事例でみる金融トラブル〜アパート融資編①

ご感想として「かなりヤバいネタをぶっ込んでるね、特定されないように気をつけてね」等の助言を頂くので、少し抑え気味にしたいと思います。

金融機関の皆さん、不動産融資やってますか?といっても、私のような田舎で働いているものですと、転売明らかな転がし屋さんの案件は殆ど皆無で、こんな所に作ってどうすんだ、というような場所へのアパート建設の為の融資が多いですね。というか殆どですね。そして建築費が上がってくる一方、デフレで家賃は上がらないから収支はこの低金利の前提でないと厳しい、というような形になってきてます。
アパート建設も相続対策とか管理のしやすさとかのメリットも確かにあるのですが、やはりデメリット・リスクもあるわけで。代表的なリスクを挙げると
・空き室、家賃下落
・経年劣化による修繕負担
・金利上昇
・これらによる返済凭れの発生
・相続による資産散逸、所有権の係争
適当に書きました。でも、立地も大事ですけど、やはりアパート経営という事業であって、事業者にご融資してるわけなので、そういった事業リスクを踏まえながらも、リスクを極小にする手立てを取れる方や、リスクを上回るリターンを稼げる方が大事なんだと思います。公正証書遺言マンセー。
前のリーマンショックの時も、かなり一方的に借上げ契約を破棄したりする業者さんもあったようですし、そうなった時に泣かないためにも、アパート経営という事業なんだ、という感覚を持ってやってる方とお付き合いしたいですね。

アパート向け融資は、金額が稼ぎやすく有り難い存在ではあるのですが、一方で超長期に渡るご融資であるため、それこそ当時案件に関わった人がだれも会社に居なくなってから初めて問題が噴出してきたりするわけで。まあ、返せなくなるほどのトラブルは多くはないのですが、この中からいくつかご紹介したいと思います。

まず、公務員の方。本なんかには、収入安定してるから金融機関からも借りやすい!おすすめ!みたいに書いてありますけど、貴方を狙うプロ市民の方は意外と身近に居ますよ。謄本取れば、貴方がアパート持ってることくらいすぐに分かって通報されてしまいます。そしたら新聞にも載ってしまい戒告とかになりますから、避けようと思うなら10室以内でも許可を取るべきなんでしょうね。

そして、相続対策ということは、かなりご高齢の方にお貸しするケースもあります。それこそ、介護施設に行ってベッドの上で契約書を書いてもらったりとかならまだ可愛いもんで、衰えて字も書けなくなってる人とかもいらっしゃいます。それでも、第二回でも言ったとおり、借りる方本人が借りるという意思を示して頂ければ、代筆でも対応できなくはありません。ただ、委任の意思が曖昧だと困りますので、基本的に利害関係者、即ち相続人に同席頂いた上でのことになろうかと思います。その席で「○○さん!アパート建てるお金を××円、金利を△%で借りられるのですよね!ハイなら右手を上げてください!」とかいう真似してまでカネを貸したいか、と個人的には思いますけどね。そして、慣れないことをして気が張ったのか借りてすぐに亡くなったこともあり、とても申し訳ない気分になった事もあります。
そして、それでもどうしようもない、要は認知症なんかが進んで意思が確認できない、となると成年後見制度を使うことになります。これもとても手続きが面倒くさいのですが、自分の意志がはっきりしないような方でも借りることができる、ある意味便利な制度になってます。ただ、後見人の選び方を間違えると横領されてしまったりするので、難しい面もあるのですけどね。
さて、上記の前提のもとでのお話なのですが、ご高齢の方というのは、あっという間に認知症の症状が進む場合があります。それこそ、アパートを建ててる着工時金のご支援時にはピンピンしてても、完成した頃にはかなり怪しくなってるなんてことも。
こうなった場合、本当にどうしようもない。成年後見制度を使うしかないのですが、今日申し込んで明日使えるものでもなく、どうしても時間がかかってしまう、でも融資は期末に入れなきゃ店の数字が行かない。困った担当者は、本人が名前だけは書けるのを良いことに、詳細な条件なんかを言わないまま、名前だけ書かせて実行してしまいました。
そしたら、契約で気が抜けたのかすぐにお亡くなりになってしまい、更にアパート建設を勝手にされたと知った保証人以外の他の相続人が激怒、後に弁護士さんから「当時、○○氏の認知機能は著しく低下していたと思われ、本件契約については無効ではないかと…」というような内容証明をアパート業者とともに頂戴する事になり、解決に多大な労力を要することとなりました。
これ以降、高齢の方と契約するケースは、必ず金融機関側から2名以上同席したうえで契約させる、ということになってしまいました。悪い人がいるから、ルールはどんどん厳しくなり、面倒くさいからまた悪い事をしてしまう。もっと、事例によって濃淡をつけて判断してほしいものですよね。

アパートは、すんなりいかないケースも多く、かなり面白いです。契約に行ったらいきなり保証人の人に「俺は反対だ!」と言われたりする事もありますし。
書いてるうちに、結構いろんな事を思い出してきました。続きは次回にさせて頂きますね。

私なんかで良いんですか…?