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暮らしの薬学【医療機器・医療ガーゼ/医療脱脂綿編】~②医療ガーゼの使い方

ちょっと包丁で手を切ったり、転んでひざをひどく擦りむいたり、そんな時は救急絆創膏でカバーできないときがありますね。ガーゼはどう使えばいいのでしょうか?


医療ガーゼの使い方


ケガをしたときには、出血の抑制、液の吸収、擦過傷の保護などのため、さらには傷口から菌の侵入を防ぐため、医療ガーゼの“滅菌ガーゼ”を使用します。創傷部に直接あてがうものですから、必ず手をきれいに洗い、ガーゼを取り出す際には(滅菌ガーゼは1つ1つが個包装になっています)素手ではなく、ピンセットなどを使用します。傷口に当てたあとは、サージカルテープや包帯で固定します。
すり傷、きり傷の患部はまずきれいに洗ってから、やけどは、よく冷やしてから、それぞれ化膿を防ぐために、ガーゼに抗生剤の軟膏やワセリンなど塗ったもので傷を覆います。
また、刃物やガラス、金属など鋭いもので切って出血したときは、止血するのに医療ガーゼを使用します。まずは、ガラスなどの破片が残っていないことを確認して、医療ガーゼを出血している傷口にあて、その上から15~20分程度強く圧迫して止血します(直接圧迫止血)。だいたいの出血は、それで止まります。止血後は、前述の通り別の滅菌ガーゼに交換し、傷口にあて保護します。
ケガはいつ起こるかわかりません。自宅で起こった場合に備えて、救急箱には滅菌ガーゼ、包帯、サージカルテープを用意しておきましょう。

Q.化粧するときに使用するカット綿(コットン)も医療機器ですか?

化粧品売り場には、“カット綿”や“カットコットン”と呼ばれる商品がありますね。また赤ちゃん用品のコーナーには“カットガーゼ”という商品も目にします。これらの多くは医療ガーゼや医療脱脂綿に相当する医療機器ではなく、雑貨品扱いの商品です。これらの商品と混同しないように、一般医療機器の場合には、パッケージに「一般医療機器 医療ガーゼ」とか「一般医療機器 医療脱脂綿」という表示がありますので確認しましょう。一般医療機器と衛生面では大きな差はありませんが、化粧のふき取りや赤ちゃんのよだれを拭いたりする用途であり、創傷には使用できません。

もっと勉強したい人に ~ 参考リンク

●医療ガーゼの定義(一般社団法人 日本衛生材料工業連合会)

<参考図書>
子どもにできる応急手当(子供のための安全ガイド)
緊急・応急処置Q&A―もしもの時に必ず役立つー第2版

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<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。