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暮らしの薬学【日焼け止め編】~①紫外線を知って効果的な日焼け対策

ミズホ「梅雨に入ったけどもうすっかり日差しが強くなるよねー!うちの子も外で遊ぶようになって、日焼けしたけど、日焼けすると健康的だよね!元気の証!」

ナナコ「ミズホちゃん、日焼けは紫外線による皮膚のやけどみたいなものなんだよ。ずっと浴び続けると目にも影響があったり、子どもの頃に太陽をたくさん浴びた人とそうでない人では将来にわたり皮膚がん等のリスクに差があるらしいから、ちゃんと対策しようよ」

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こんにちは、「薬局活用ガイド」編集部員のミズホです。
薬剤師のナナコさんから教わる日用品の賢い活用方法シリーズ「暮らしの薬学」、本題に入ります。
第1回目は日焼け止めについて。
日焼け対策しましょうってよく言われますが、なぜ日焼け対策しなければいけないの?
教えてナナコさん!

そもそも紫外線って何?

日焼けは、一言でいうと太陽によるやけどです。太陽光線の中の紫外線によって皮膚が刺激を受けたためにおこる「日光皮膚炎」なのです。
そもそも紫外線とはなんでしょうか?

紫外線は、目には見えない光(不可視光線)で、波長の長さ順で、紫色の外側に位置するため、紫外線と呼ばれています。レントゲンと称されているX線よりも波長が長いというだけで基本的性質は放射線なのです。紫外線には、UV-A,B,Cの3種類がありますが、UV-Cは、太陽から地球に降り注ぐ間に、オゾン層などに吸収され、地表には届かないため、私たちに影響があるのは、UV-AとUV-Bです。

UV-Bは、波長が短く、わずか数分浴びただけで肌表面の細胞を傷つけ、メラニン生成を盛んにします
UV-Aは、波長が長く、室内でも肌に届いてしまうほどで、肌の真皮にまで届き、コラーゲン線維を破壊し、シワやたるみをつくります

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紫外線の有害事象

紫外線の有害な事象としては、紫外線を繰り返し浴びたときに生じる「光老化」があります。もっと重大な状況になると、皮膚細胞のDNAまで傷をつけ皮膚ガンの原因や免疫機能の低下も引き起こします。
また、紫外線は目の角膜を透過して水晶体のたんぱく質を変化させ白濁する白内障も引き起こします。紫外線量の多い、オーストラリアの疫学調査で、子供のころに強い太陽紫外線を浴びる環境にいた人が成人になって皮膚がんになりやすいという報告もあります。そして、光線過敏症です。

光線過敏症は人体で起こる光増感反応によって日焼け現象が増強される皮膚反応で、その多くの作用光はUV-Aです。ある特定の湿布、塗り薬、内服薬などを使用されている方は注意してくださいね。
紫外線の影響は悪いことばかりではありません。一日の日内リズムを正常化し、さらには、紫外線のUV-BがビタミンDを作るなどの健康に有益な働きもあるのです。1日15分間程度外気浴で十分なビタミンD3が産生されると言われていますので、適度な外気浴をおすすめします。

Q. 湿布薬を貼るのに紫外線を避けるように言われたのはなぜ?(光線過敏症について)

光線過敏症とは、光を浴びることで皮膚症状が生じる病気です。薬剤や遺伝性疾患、代謝性疾患などを原因として発症することがあります。薬剤が原因でこのような症状を発症することがあります。身近なものでは消炎鎮痛薬の貼付剤で「ケトプロフェン」を含むものが光線過敏症の原因となる可能性があり、薬局で薬をもらうときに必ず説明を受けると思います。この場合、湿布を貼っている時だけ紫外線に注意すればいいというわけではなくて、はがした後も4週間程度は貼っていた部分に日光を当てないようにしなければなりません。

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もっと勉強したい人に~参考リンク

●気象庁(予測・今日の紫外線)
  http://www.jma.go.jp/jp/uv/
●国立環境研究所(UVインデックス)   http://db.cger.nies.go.jp/gem/ozon/uv/uv_index/index.html
●日本皮膚科学会(皮膚科Q&A・日焼け)
  https://www.dermatol.or.jp/
●紫外線環境保健マニュアル2008   https://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_manual.html
●紫外線のこと|キッズのためのキレイクラブ(資生堂)
  https://corp.shiseido.com/kids/jp/uv/index.html

次回につづく

ナナコ「日焼け対策をする意義は分かったかな?」

ミズホ「ヒリヒリするほどよく分かったよ。日焼け対策商品って色々あるけど、どんなものを使えばいいの?」

ナナコ「わかった、次回は直接皮膚に使用する日焼け止め商品(サンスクリーン)について説明するからね」

ミズホ「乞うご期待」


<この記事をまとめた人>
ミズホ
「薬局活用ガイド」編集部員。埼玉県在住。中2の長女、小4の長男の子育てをする二児の母。最近はリモートワークなので通勤しなくてとても楽。

<書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。

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