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暮らしの薬学【家庭用洗剤・除菌/漂白編】~③漂白剤の選び方と注意事項

漂白剤の選び方

家の中で漂白剤というと台所用ふきんや湯飲みの茶渋を取るために使うイメージですが、実はバス用、トイレ用の洗剤にも漂白剤(塩素系漂白剤)が使用されています。

バス用洗剤には、カビが生えやすい風呂場に使用するため、カビを分解、除菌する働き期待して塩素系漂白剤が配合されています。バス用洗剤(カビ取りと記載されている商品)をみると・・・「強力カビ取りハイター」の容器には品名“カビ取り用洗浄剤”、液性「アルカリ性」、そして成分には“次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム(0.5%)、界面活性剤(アルキルアミンオキシド)”と表示されています。スプレータイプなのでカビの生えた壁に直接吹き付けてカビを殺し(分解)、カビの黒い色を漂白します。ここに「水酸化ナトリウム」も入っていますのでカビ以外の汚れも一緒に落としてくれます。

トイレ用洗剤を見ると・・・「除菌洗浄トイレハイター」の容器には品名“トイレ用洗浄剤”、液性「アルカリ性」、そして成分には“界面活性剤、水酸化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム(分量詳細省略)”と表示されています。トイレの頑固な汚れには、分解力が強い塩素系漂白剤が有効です。汚れに吹きつけるようスプレーになっているものや汚れに粘着するように粘り気がある性状になっています。他のトイレ用洗剤には、“塩酸”が入っているタイプがあります。塩酸は尿石や尿の汚れを溶かして落とします。

このようにトイレ用洗剤には、塩酸が主成分の「酸性タイプ」もあり、次亜塩素酸ナトリウムの「塩素系タイプ」と一緒に使用すると化学反応を起こして塩素ガスが発生するため大変危険です。どちらの容器にも「まぜるな危険」と書かれていて同時に使わないようにしましょう。

塩素系漂白剤は、カビ、汚れなど有機物を分解する能力が高いため肌に直接触れないようにしましょう。ゴム手袋を着用し、できれば防護メガネをかけて使用するとよいでしょう。また、酸性タイプと一緒に使用しなくても、単独でも少しの量は分解し塩素ガスを発生するので、スプレーからでる霧状の漂白剤を吸い込まないように注意しましょう。


Q.衣類の漂白剤を台所用として使用しても大丈夫?

衣類用漂白剤にも次亜塩素酸ナトリウムが配合されているものがあります。例えば、「ハイター」(花王)と「キッチンハイター」(花王)をみると、キッチンハイター(台所用漂白剤)には、ハイター(衣類用)と同様に次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウムが配合されている他に洗浄成分である界面活性剤が配合されていて、漂白と同時に軽い汚れまで落とすことができます。それぞれの特徴並びに注意事項がありますから、用途に合わせてきちんと使い分けることをおすすめします。
(衣類用の漂白剤については、暮らしの薬学【衣類用洗剤・漂白編】で詳しく紹介します)

もっと勉強したい人に~参考リンク・参考図書

家じゅうの掃除は、5つの洗剤があればいい。汚れを“化学して”落とす「ナチュラルクリーニング」術(KOKOCARA)

塩素系の漂白剤や洗浄剤の表示にある「まぜるな危険」とは?(花王)

<参考図書>
これでわかる!石けんと合成洗剤50のQ&A あなたは何を使って洗っていますか?
洗浄と殺菌のはなし
地球にやさしい石けん・洗剤ものしり事典―爽快!快適!科学する洗剤選びと洗い方―

<関連記事>
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①    除菌・漂白とは
②    除菌/漂白成分の種類と性質
③    漂白剤の選び方と注意事項
④    家庭内の感染対策

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<書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。