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暮らしの薬学【消臭・芳香・防臭剤編】身近な臭いをコントロール~①におい・悪臭とは

ミズホ「梅雨の時や寒い冬は、外に洗濯物が干せないからどうしても部屋の中に干すことになってしまうのよね。すると、外出から帰ると家の中がなんとなく変なにおいがするのが気になって・・・。洗濯物から臭いが出てる?どうしたらいいのかな~。」
薬剤師ナナコ「ミズホさん、洗濯物をきちんと洗っていても、空気中のカビや細菌が洗濯物の湿気で増えてしまうのよね。室内の嫌な臭いのほとんどは、この細菌やカビと言われているのよ。洗濯物の部屋干しだけでなく、トイレやペットの臭いとかいろいろな臭いをコントロールして快適な生活空間をつくりましょう。

部屋干しのすると空気中のカビや細菌を洗濯物の湿気で増えてしまう。それがにおいの原因。

においの正体は化学物質!

「におい」とは、鼻腔内の嗅覚粘膜によって知覚された刺激のことを言います。鼻腔側にある嗅上皮には嗅覚受容体があり「におい」が結合するとその刺激を脳側の嗅球に送り、脳の嗅中枢へと伝わることで「におい」が感じられます。
「におい」の本質は、生活空間にただよっている化学物質で、目に見えないけれどその存在感がありますね。良い「におい」には“匂い”と表現し、悪い「におい」には“臭い”と表現され、後者については「悪臭」と呼んでいます。

悪臭とは、人が感じる「いやなにおい」、「不快なにおい」の総称です。
悪臭は、騒音や振動と並んで日常生活や生活環境に影響を及ぼす「感覚公害」と呼ばれ、平成5年に定められた悪臭防止法では、22種類の「特定悪臭物質」とその大気中の濃度範囲が規定されています。
ただし、においのほとんどは、様々な物質(低濃度多成分)が混合した複合臭として存在しているため、このように単一の悪臭物質濃度を指標とするよりも「臭気指数」として捉える「臭気指数規制」もあります。

Q.「香害」ってなんですか?

衣類の柔軟剤や消臭芳香剤等の香料による化学物質過敏症を起こす人がいます。化学物質過敏症とは、まず特定の化学物質に暴露し(感作され)、次にあらゆる化学物質、つまり消臭芳香剤などに微量で接触すると様々な症状が出てくるというものです。このように香料の化学物質によって健康被害を誘発されることを「香害」と言います
化学物質過敏症は誰もが発症する可能性があります。身の回りの何気ない香りが影響し、苦しい思いをしている方が周囲にいるかもしれません。学校や公共の場などの人が集まるところでは、香水・整髪料・デオドラントスプレーなどの香料を含むものの使用を慎しみ、周りの人へ配慮しましょう。

もっと勉強したい人に ~ 参考リンク・参考図書

悪臭防止法パンフレット(環境省)https://www.env.go.jp/content/000185903.pdf

臭気指数規制ガイドライン(平成13年3月 環境省)

香害と化学物質過敏症について(ご理解・ご協力をお願いします)宝塚市

<参考図書>
環境法 第2版
健康と環境の科学

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<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。