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倦怠感と疲労、精神不安定で勃起力も弱くなった更年期の殿方に~薬剤師が本音でオススメする市販薬㉓

男性も30代後半から男性ホルモンであるテストステロンの分泌の低下が始まるとともに、体と心にさまざまな影響が現れます。
全身の疲労感や倦怠感、性欲低下、ED(勃起障害)、不眠、肩こりなど、精神的には気力の衰え、集中力の低下、イライラ、抑うつなど、症状は多岐にわたります。
40歳代以降では全ての年代にこうした更年期障害の症状が起こりうるものです。
これらはLOH症候群とも呼ばれ、現代においてその患者数は600万人とも言われています。

薬局で購入できる市販薬にも、こうした症状に対応する製品があります。今回は「男性更年期障害」へのオススメを薬剤師にセレクトして頂きました。

◎今回推薦してくれた5名の薬剤師(小豆田くら子/宇野さらら/日陰ましう/ふらんすぴあの/ゆきつばめ ※五十音順)


金蛇精(摩耶堂製薬)

男性ホルモンのメチルテストステロンを配合。減少したメチルテストステロンを補うことで、気力、視力や記憶力、精力減退など、心身が本来もっている力を回復させます。さらに強壮生薬、5種のビタミン、アミノ酸も配合されており、身体の自然治癒力を高めます。男性15歳以上1日3回、1日2-3回服用。120錠入8,580円、180錠入10,780円、300錠入14,850円(税込)
アンドロゲン依存性腫瘍(前立腺癌など)及びその疑いのある人、肝機能障害のある人、ワルファリンカリウム等の抗凝血薬を服用中の人は服用出来ません。
(ゆきつばめ)

男性ホルモンのメチルテストステロンが配合されている珍しい薬。
男性ホルモン(メチルテストステロン)を補充すること等で、視力減退・記憶力減退・精力減退を改善し、気力を回復できる。
1日3回、1回2~3錠を服用するが、しっかり効果が欲しいのであれば1回3錠飲んだほうが良い。
前立腺がんなど、男性ホルモンに関係する病気があれば服用できない。
第1類医薬品なので薬剤師からしか買うことができないので、相談したいことがあればしっかり相談できる。
(日陰ましう)

ツムラ漢方 柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒(ツムラ)

男性更年期症状の中でも、精神活動の低下や体力の低下による精神症状、イライラしがちな症状に効果が期待できます。神経の高ぶりを沈めて、心と体の状態を改善します。
20包(10日分)入り、2640円。
(小豆田くら子)

ツムラ漢方 補中益気湯エキス顆粒(ツムラ)

補中益気湯は人参と黄耆を主薬とした補気薬であり、遊離テストステロン値の上昇や、ストレスによって増加するコルチゾールの分泌減少に寄与したという研究報告もなされている。一定期間の服用継続により、男性の更年期障害の代表的な症状である、倦怠感や無気力、易疲労感の改善が期待できる
(ふらんすぴあの)

グローミン(大東製薬工業)

男性更年期は加齢に伴うテストステロンの減少により引き起こされます。本剤はテストステロンを配合した塗薬(クリーム剤)であり、局部へ直接塗布して使用します。チューブ10g入り、3,200円ぐらい
(宇野さらら)

男性の更年期障害でお悩みのかたへのアドバイス

男性の更年期障害は女性と違って、30代から徐々に減少する男性ホルモンが原因でおき、精神・心理症状、身体症状、性機能関連症状など多岐にわたります。おすすめした漢方薬以外に男性ホルモンの補充も有効な治療のひとつですが、使用が可能かどうか医師による判断が必要なこともあるため、漢方薬を服用しても改善しない場合にはご自身の症状に合わせてご検討ください。
(小豆田くら子)

男性更年期は一般的に男性ホルモンが減少する事で起こるが、男性更年期は認知度が低く、うつ病と勘違いしてしまう事も。やる気が出ない、イライラする、不眠といった症状があった際、うつ病薬を使用する事でさらなる男性ホルモンの減少が考えられる事から、更年期が疑われた際には泌尿器科などで男性ホルモン値を測定してもらう事も方法の1つと思われます
生活アドバイスとしては、運動する事で筋肉を刺激し血流を良くすること、ストレスを溜めない事などを心掛けてもらいましょう。
(ゆきつばめ)

男性の更年期障害は閉経前後に症状が出やすい女性とは異なり、長期に渡って影響を及ぼすことが多い。大きな筋肉を動かすことはテストステロンの増加に繋がるため、早いうちから日常的な運動習慣をつけておくことが重要
(ふらんすぴあの)

男性の更年期は40歳以降であれば誰にでも発症する可能性はあり、症状が女性のように急激に表れないことも多いことから見逃されがちです。性欲や気力の減退、体力の衰えなどからの気分の落ち込みはADLの低下に繋がります。閉じこもりやうつ傾向となるとさらにはQOLも低下させます。なかなか人には相談できない部分もあるかと思います。
今回紹介した「グローミン」は第1類医薬品の為、信頼できる薬剤師へ相談の上で使用を始めてください
(宇野さらら)

適度な運動を行い、男性ホルモンを分泌させることで更年期症状が改善することがある。
(日陰ましう)

監修者コメント

店頭では、男性の更年期症状を訴えられる方はあまり見かけませんが、裾野は広いのではないでしょうか。
男性ホルモンが配合された薬を利用するといいのではないかなと思いますが、薬剤師に相談されてから購入されることをお勧めします。

<本稿の監修>
坂口眞弓
博士(薬学)。みどり薬局、みすじ薬局、ゆうま薬局代表(東京都台東区)著書に「ここが知りたかったOTC医薬品の選び方と勧め方(南江堂)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」など多数。