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暮らしの薬学【医療機器・絆創膏編】ファーストエイドに欠かせない~④モイストヒーリングについて

キズパワーパッド」という商品をご存じの方は多くいらっしゃるでしょう。しかし、「モイストヒーリング」という言葉をご存じでしょうか?キズの癒し方が昔とは変わってきています。

モイストヒーリングとは?

日常生活おいて、何かの衝撃などで、ちょっとしたキズを作ることはよくあることです。以前は、そのキズを消毒し、乾かしてかさぶたを作ればキズが癒されたと考えられていました。現在は、乾かさずに自然治癒力を活用する「モイストヒーリング」という方法で、キズを早くそしてきれいに癒すことが主流となっています。
「モイストヒーリング」は別名を閉鎖療法または湿潤療法ともいわれ、患部を湿ったまま密封する傷ケア方法です。これは、消毒薬による傷口の殺菌を最小限に抑え、細胞の成長や再生を促す成分が含まれる体液(傷口から出てくる透明な液体)を傷口に保持することで、人間が本来持っている自然治癒力を引き出すという療法です。

モイストヒーリングの利点は、
傷が早く治る:自然治癒力を高める体液が傷口に保たれるため、カサブタに邪魔されることなく皮膚を再生させます。
傷跡が残りにくい:体液の分泌により、皮膚組織の形成がスムーズに行われることで、傷跡が残りにくくなります。
感染の心配が少ない:絆創膏などの交換回数が少ないので、傷口の閉鎖環境を確保し、細菌の侵入を抑えることができます。
痛みが少ない:患部の露出が少なくなり、乾燥による皮膚細胞の死滅を最小限にするため、痛みが少なくなります。
ただし、砂や土、ガラス、衣類の繊維などが傷口に深く入り込んだ傷や2〜3分たっても血が止まらない傷、動物に咬まれた傷などの場合は、病院で手当てしてもらうようにしましょう。

Q. 地域の子どもでキャンプに行くのですが、救急箱にはどんなものを入れていけばいいでしょうか?

子どもたちは、野外活動ではしゃぎすぎて、けがをすることも多いでしょう。また移動で乗り物に酔ったりすることも。家庭でも常備しておきたい救急箱の中身を改めて確認しておきましょう。いざという時のための「ファーストエイド」です。

衛生材料:急絆絆創膏、包帯、三角巾、綿棒、ガーゼ、脱脂綿・綿球、油紙
医療用具:体温計、ハサミ、ピンセット、毛抜き
外用薬:消毒薬、かゆみ止め、化膿止め、目薬、湿布薬
内服薬:風邪薬、解熱鎮痛剤、胃腸薬、下痢止め、酔い止め

もっと勉強したい人に ~ 参考リンク・参考図書

●キズパワーパッドについて(ジョンソンエンドジョンソン)

<参考図書>
子どもにもできる応急手当(子供のための安全ガイド)
緊急・応急処置Q&A―もしもの時に必ず役立つ-第2版

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<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。