UVライセンスを辞める方法

UVライセンスとその管理者の危うさが早い段階で気づいていた人はとても賢いと思います。けど乗り換え先がなくて途方に暮れている人のために、私にも助けられることがあるなら手は差し伸べますよ、ということを書き綴ります。

ぶっちゃけUVLもGPL/GFDLみたいな一度採用したら本人ですら簡単にやめられないような面倒くささが見当たらないので辞めるのは簡単ですよ。

UVライセンス10条の変更予定を類推適用すると、著作権者の権限下にあるUVライセンスを引用している文書を書き換えて、UVライセンスをやめて別のライセンスに移行を宣言することも当然可能という解釈はできます。

あとは民法のルールで契約内容の安定性が損なわれないように、許可すること・禁止することの互換をとれば良いだけです。

ただ、よくわかんない謎ルールはユーザーの利益になってるとも思えないので、バッサリ削除しちゃったほうがいいですけどね。それで不利益が出るなど合理的な理由を説明できたら返金にも応じるという態度でいいと思うのです(早めにUVLを捨てた方がダメージ少ないですよ)。

早速GitHubで運用してる話

趣旨で、整理したのがこちらになるのですけど、まあ、Markdownだと <!--  コメント --> も残せるし改訂履歴が残るので、私はこれでいいかなと思ってます。githubに非オープンソースのファイル置くのもあれなんで、CC-BY-SA(JP)にしてます。ライセンス通り、個々のEULAを作成するためにコピー改変してもらって構いません(この手のは引用されるほど信用性が高まると思ってるので)
https://github.com/yakumo-proj/VRCPL/

他の誰かとプロジェクトを共同運用することも見据えては動いています。ただ著作権法や民法等の道理が分かってない人にロールを振るくらいなら自分一人でやったほうがマシなので最低限ディスカッションできるレベルの人を選別したいです私は。

CC由来の宣誓文は要らない

3条1項の全世界的に付与だの仰々しい言葉ですけど、言ってることとやってることが矛盾している策定者が掲げてることにすぎず最初から要らないと思うんで残してません。

CCに日本ローカライズ版が存在することすらおそらく知らない人たちが、CCの理念をよく知りもしないで、インターナショナル版のおかしい日本語訳の文言を意味を理解せずコピペしたであろう中身のない宣誓みたいなもの(下記記事参照)は、残すに値しないと私は思いました。

無償で(範囲を限定しない)第三者に改変を委託できるという謎ルールは不要だと思う

続いて第2項ですが、UVLでは、利用者にあたらない第三者たる委託製作者と著作権者の間に契約関係が生じているといえないため、委託製作者が不正使用をした場合の制裁措置を著作権者の権限で講じる上でハードルが高くなると考えられます。

これが営利法人がユーザーで委託した下請けがやらかしたなら直接の契約者たるユーザーに任せた責任があるから責任の追求すれば良いんですが、個人が相手だった場合に責任の範囲や限度額が制限されてしまうので難しいんですよね。

「無償依頼も有償依頼も両方が当製品のユーザーであること」のほうがよっぽどシンプルだし、著作権者にとっても都合がいいんです。だって、両方が権利者にとっての使用許諾契約の相手方であれば、問題を起こした時に「合意事項に基づいた直接的制裁措置」を取れるから。

私的利用権等は制限しない(ただし明示もしない)

ただ、ライセンスの購入者に当たらない人が翻案やること自体は完全に禁止してなくて、そもそも日本の著作権法に定める私的複製権や私的上演権その他もろもろは禁止できないところにあるので、一部を除けば明示的に規約に書く気もないけど、やりたきゃ法律に詳しい人が勝手にやってねというのは規約に明示しない私の考えです(明示する義務もないし)。

要するに、購入者の家庭内その他の狭い範囲であれば、購入者本人と親しい第三者が購入者に代わって使用・翻案することは、法規定を逸脱しない限り制限しませんし、する権利もありません。

私は「許可してないことはすべて禁止する」なんて書いてませんからね。
「明示的に使用許諾すること以外の全ての権利を留保する」との旨の記載なら、法律と干渉しない柔らかい表現ですから、回りくどく書く必要がなくなります(そしてUVL第7条みたいなのは蛇足)。たいていの知的所有権にかかるEULAはそういう言い回ししてると思います。

3条の2相当の規定の削除が不利益変更にあたるの?

新民法584条の4の定形約款の不利益変更にあたるか?という点については、一応注意深く検討しました。最終的には一夜漬けで結論出せましたけどね。

家族友人関係にある人がやる分には、明示しないけど上記の通り著作権法の私的利用権の範疇でよろしくやってくれりゃいいし、権利を失うのは、購入者の家庭内等での利用の範疇から逸脱したところにいる第三者だけだと思ってるし、そもそも契約の当事者に当たらない人に使用権を付与しなくすることが誰にとっての不利益変更になるのかと考えれば、私にとっての取引の相手方は誰も損してないと思ってます。

相手方にとって不利益変更でも最悪補填すればいい

規約変更で不利益をうける人がいるとは思ってませんが、不利益を受けた方に対しては、それが合理的な理由に該当すれば返金申請に応じる方針を明示しましたので、当該規定を削除されたことによって損害をうける人はBOOTH経由で申請していただければと、私は思います。

今のところ私のところのお客様は紳士な方ばかりですから誰もUVLをやめたことの苦情を言ってきていないのが現状です(なお紳士には別の意味があるとかそういうのはまた別のところで言ってください)。

定形約款を自分で作ることに不安はないのか?

わかんなかったら解説が充実した例文集を買ってねって話ですね。決して鵜呑みにするのはだめ。自分の頭で考えて理解できる身の丈にあった本で知識を身に付けましょう。

例文を真似るなら確かなところから真似ること。その文言の裏付けを法律書や解説書で確認とって、その意図を汲み取ればいいです。その意図は別に定形約款の中で公表する必要ないです。聞かれた時に自分の言葉で述べられる程度には理解して、必要な時に答えられるようにメモを残しておく程度でいいです。

UVLはそのままでは許諾事項と禁止事項がいろんな条に跨ってて読みにくいことこの上ないので、元の書式はいったん忘れて、やっていいこと悪いことをできるだけ要点を整理して頭の方に寄せてください。可能なら、許諾事項と禁止事項を類推適用できるような汎用性を持たせる。そしたら短く纏まるはずです。UVライセンスを騙し騙し使うよりも圧倒的にスッキリです。

実際読んだ上で、基礎的な素養があれば十分読める内容だと思った本がこれ。特にソフトウェア使用許諾のテンプレートは裏付ける法律の条項が少し違ってくるけど基本的にはモデルデータなどにも転用可能なはずなのでご参考に。




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