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文芸書を並べるのは難しい

このところ、小説や詩集を、どんなふうに書棚に並べるかについて考えている。
大きな基本方針は決まっている。

・文庫や叢書類はまとめて置く。

例えば、岩波文庫、講談社文芸文庫、新潮文庫、光文社古典新訳文庫、ルリユール叢書、白水社エクス・リブリス、新潮クレスト・ブックスといった本は、叢書ごとにまとめて置くという意味だ。
なぜそうするかといえば、単にシリーズものは並んでいると気分がいいということもあるし、まとまっていると見つけやすくなるという利点もあるからだ。
岩波文庫なら岩波文庫が、棚の一角を占めていると、これはいやでも目に入るし、やがて「岩波文庫の海外文学はここ」という具合に、頭のなかのマップにも刻まれることになる。結果的に発見しやすくなる。
そう、言えばバカみたいなことだが、一定以上の本があるとき、どこになにがあるのかということが、とても重要になってくるのだ。
さて、問題はそうしたシリーズ以外の本をどうするか。
最初に考えたのは、ともかく言語や地域や時代に関係なく、ともかく著者名の五十音順に並べるという方法。
少し試してみたところ、これは私にとっては必ずしも使いやすくないように感じた(単に慣れていないだけかもしれない)。というのも、当たり前のことだが、この場合、名前だけが本を探す手がかりとなる。いや、名前だけを手がかりに本の置かれた場所を推測できるという意味では優れているのだけれど、ちょっと頼りないというか、もう少し手がかりが欲しいという気がするのだった。
そこで、その作品がもともと書かれた言語ごとに分けて、言語圏内部は著者名の五十音順でどうかと考えた。
これはなかなか悪くない。ただし、今度は言語をどういう順に並べるかという問題が出てくる。日本語、中国語、韓国語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、古代ギリシア語、ラテン語、アラビア語などなど……。言語名の日本語読みを五十音順に並べれば、そのルールさえ忘れなければ本の位置を特定しやすい。
ただし、それはそれでなんだか機械的過ぎて、やはり記憶の手がかりとしてはちょっぴり物足りないようにも感じる。地理的な位置関係を書棚に反映する? 言語同士の関係によって並べる? そんなことを言っても、書棚で表現するのは無理がありそう。
それに、小説は小説、詩は詩でまとめたいような気もするし、ジャンルはどうするのかという問題もある。
結局のところ、なにを優先するかによって、並べ方は無数にありうるわけで、つまりは書棚をつくる方針の問題なのである。言い換えれば、私の方針がふにゃふにゃしているために、ああでもないこうでもないとぐるぐるしているのだった。
はてさて、どうしたものか。
そうそう、今回は文芸書についてだったけれど、人文書はもっと困るのだった。その話はまたいつか。

*ヘッダーの写真は、スタニスワフ・レムのコーナー(ただし文庫は別の場所にある)

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