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なぜ私は浦和レッズサポとなりしか~サポ歴20年にしてシーズンチケットを手にした話

私は昔からの浦和レッズサポーターである(以下レッズサポと略す)。

浦和レッズといえばサポーターの行儀の悪さがニュースでしばしば取り上げられるが、Jリーグで全国一の観客動員数を誇るがゆえのトラブルともいえる(毎試合数千人のサポーターのチームと比べて、毎試合4万人のサポーターが来場したとすれば、どちらがトラブルが起きやすいか、という問題でもあるからだ。もちろんトラブルが許されるわけではないが)。

私は、というと日韓ワールドカップの開催より遙か前、記憶の限りでは1995年に初観戦をして以来の古株サポーターである。

当時はもう、本当に弱かった。10試合見に行って、勝ち試合を1つ拝めれば幸運なくらいだった。弱い時期の阪神ファンだってもっと勝ち試合をお目にすることができるはずだ。

それでもサポーターとなったのは、初観戦時のサポーターの熱意が凄かったからだ。当時、メディア的にはヴェルディ川崎(当時)が人気とされていた。彼らのホームゲームで国立競技場に見に行ったのだが、実際の観客数は圧倒的にアウェイの浦和が多く、応援も迫力があった。テレビの「大人気のヴェルディ」というイメージは、「ヴェルディのゴールの真後ろの数百人の熱意」だけを切り取って映したものだったのだ。

そして、負け試合であっても(やはりレッズが負けた)、親子連れ(老夫婦のサポーターもいたりする)が笑顔で帰途についている姿を見て感銘を受けた。

ああ、こういうのいいなあと思った。

それ以降、弱いレッズをひたすらに応援するようになった。小野伸二選手のデビュー戦に感動し(当時の日本人選手としては明らかにとんでもないレベルだった)、J2落ちしたときは開幕戦と最終戦を観戦に行った(劇的なゴールでJ1復帰したものの、弱い試合だった。サポーターの声は圧倒的だったが)。

なんとかJ1に這い戻れたものの、相変わらず弱いままで何年もすごした。Jリーグが始まってから10年、タイトルをひとつも取れなかったほどだ。

転機となったのはやはり、2002年の日韓ワールドカップだったように思う。2万人収容すると一杯となる駒場スタジアム(これはこれで雰囲気はよかった)を飛び出し、6万人が収容できる埼玉スタジアムに移ってから、週末のゲームでは4万人の観客が観戦するようになった。

チケット収入が倍になったことは少なからず経営にも影響したはずだ(他会場では、1万人入らない試合もたくさんある)。

初めての優勝のチャンスを目撃せんとマリノス戦を観に行ったり(延長で負けた)、宿願叶って優勝を決めた試合を観に行ったりもした(この前後数年はごり押しで勝つ戦力だった)。

ACL(アジアのクラブ一位を決める試合)は予選から決勝まで観て、かつ優勝する姿も目にとめることができた。

熱心なサポーターの次のステップは2つある。1つは「アウェイ全国行脚」、もう1つは「シーズンシート」である。

ホームゲームだけではなく、アウェイ、つまり敵地へ応援に行くというのは熱狂的サポーターのひとつの段階である。現在では全国各地にチームがあるので、いろんな地域に小旅行ついでに出かけ、応援するのだ。こちらは残念ながら時間的余裕もなく、首都圏エリアでときどき行くくらいだ。

もうひとつのほうは、というと1年分の席を確保してしまうわけで、「全部のホームゲームを観戦する」という意思表明に他ならない。今まで年に数試合くらいしか観戦しなかった立場としてはずいぶんな変化だ。

サポーター歴20年にして、2022年、これにチャレンジしてみることにした。理由はいくつかある。

1.病気をしてやり残しを減らしておこうと思ったこと……昨年、良性の腫瘍ができて入院した。特に支障なく生活が戻っているのは幸いだが、「人生やり残しは減らしておいたほうがいいな」とふと思った。シーズンチケットがそのひとつだったというわけ。

2.チケットの譲渡、公式リセールが確立した……Jリーグの公式サイトでシーズンチケットを観戦できない人が再販売(リセール)できる、オフィシャルな仕組みが用意された。友人にシェアする場合も公式サイト経由でチケットを配布できる。紙のチケットが1年分送られてきたらちょっと面倒だが、これで、行けない試合の席も死蔵されずにすむ。

3.子どもが観戦につきあってくれる年になった……小学校に入った長男は、デーゲームなら観戦につきあってくれるようになった。ここでレッズサポに仕立て上げたいし、親子観戦の夢がかなう。親子2枚ずつ、4枚買っておけば、「わが家で親子4人」「友人の親子とペア観戦」「妻が用事があるときに親と子2人観戦」など観戦パターンがいくつか現れて楽しめそうだ。

4.今年のレッズが「観ていて楽しい」サッカーをしている……2021年シーズン、監督を交代して選手の世代交代にも着手した。看板選手を次々に放出する様子はちょっと物足りない気もするが、J2で生きのいい活躍をしていた20歳代前半の選手を次々に獲得している(監督もJ2でチームを育て優勝に導いた若手だ)。サッカーがいきなり面白くなった。若さゆえのミスもあるものの、フレッシュなサッカーは観ていて面白い。正直、優勝は難しいんじゃないかと思うが、「観ていて楽しい」レッズになった。

5.コロナ禍で良席が空いていた……シーズンチケットは基本的に「同じ席を来年も買う権利」がすでにホルダーとなっている人に優先的に提供される。ところがコロナ禍で手放した人が多いらしい。席指定で選べるタイミングで検討したらなんと最前列から4列目の席が確保できた。シーズンチケットを買うことはチームのサポートにもなる。

――とまあ、いろんな理由を重ねて(いくつかは、高額出費をする言い訳でもある)、チケット購入に踏み切ることにした。

開幕戦と最終戦だけを観に行く、のようなスタイルだと上の席しか取れない。選手は豆粒のようになっていたものだが、開幕戦を観に行って驚いた。

4列目だと選手の声や息づかい、キックするボールの音が分かる距離なのだ。しかも「等倍」のスマホカメラでコーナーキックの様子が撮影できてしまう。今回の記事の写真は自席から普通にスマホで撮ったものだ。

開幕戦に誘った友人親子は「生イニエスタ!」と大喜びだった(神戸戦だった)。

うちの子どもはまだまだサッカーを90分観る面白さが分からないようだが(ハーフタイムにSwitchで遊んだり、おやつのお菓子を食うほうが楽しいみたい)、できれば共に楽しんでくれるといいと思う。

今のチケットは「子ども(高校生まで)」というカテゴリーを含んでいるので、子どもが高校生になるまではキープしていければと思う(大人4席にしておいたほうが、子ども抜きで友人を誘うには楽なのだが、年間コストとしてはちょっと高くなるのが悩ましい)。

……できればシーズンシートを持っているうちに、Jリーグで優勝する瞬間を拝めればと思うが、それは運も必要なので(戦力が整っているだけ、では優勝はなかなか難しい)、夢のひとつとして持っておきたい。

まずは今年、レッズのホームゲームをひとつでも観に行きたいと思っている。

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