子どものコロナ経験談2: コロナ陽性者 医療や行政はどうサポートしてくれるのか
※今回のテーマは全文公開しています
前回、長男が新型コロナウイルスの陽性判定され、家族が一週間待機生活を送った話をした。繰り返すが、本人は1日で解熱しその後は平常、家族にも再感染はなく、今はみな普通に生活している。
今回は、「そのとき」医療や行政のサポート体制はどういうものだったか備忘録としてまとめておきたい。
○SMSで連絡 オンラインシステムに毎日体温を入力
最初の診察時に問診票に連絡先電話番号を記入する欄がある。スマホと自宅と記入をしておいたわけだが、これがちょっと面白い役割を果たした。
当日の夜以降、SMSでメッセージが届くようになった。HER-SYSというサービスに登録して、体温や体調の入力をしてほしいというものだ。
新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システムというらしい。アクセスしてみると、体温や体調を記入するWEBサービスで、これで体調管理がデータベース化される仕組みになっていた。
体温と、熱や喉の痛みなどの体調に関する設問を入力し送信する。2日目から入力開始になったので、わが家は毎日3回ほど、平熱の確認をして異常なしを報告するだけだったが、体調が悪化している場合、あるいは連絡が途絶えた場合などは、保健所等がこれで把握できるようだ。
マンパワーには限界があるなか、できるだけ本人に入力をさせ、システム的に管理をしようとするのはとてもいいことだ。
午前中にSMSに定期的にメッセージがくるので「そうだ、体温をチェックしよう」という気になるのはリマインダーとしても有効だと感じた。
ちなみにCOCOAを利用していた場合、陽性の登録をする必要があり、このお願いもSMSで届く。わが家の場合、子どもはスマホを携帯していないので、これは対象外になった。
○医者や保健所との会話はあったのか
医者と会ったのは、陽性判定のときの通院だけだ。回復したかどうかを改めて検査するわけではない(まあ、インフルエンザだって治ったことを確認するためにわざわざ通院はしない)。
ただ1週間ほど、医者が電話をかけてきて本人の状況と家庭内感染の有無をチェックした。保健所に代わって担当していると最初に説明されたが、1日に一度くらい、医者がコンタクトを取ってくれるのはありがたい。最初の数日は本人の再発の心配、家庭内感染の恐れがあったので、やや緊張しながら電話のやりとりをしていた。
保健所からは一度だけ電話があった。医者のほうから感染報告が回ってくるらしく、登録された内容の確認といくつかのヒアリングだった。
医者のチェックミスで、「学校・居住マンションでクラスター発生」のほうにチェックがあったらしく、最初は保健所のやりとりに緊張感があったが、誤解と分かって話は和やかに進んだ。(どうやら問診時に「ない」と回答して、医者もそうですよね、と記入していたが、チェックボックスの誤記入だったらしい)。
保健所の電話も2日目なので、当人はもう解熱しておりそれほど心配はない状態だった。待機日数の確認や留意点の説明が中心だった。こちらとしては保健所からの日数指示がある意味「公式通知」みたいなものだから、「○日、○曜日まで自宅待機」を復唱してメモを取った。
保健所のやりとりとしては、濃厚接触者が他にどこまでいるかの確認がある。これがなかなか難しいところで、学校、電車に乗っていたこと、習い事に通ったことなどを一通り話しつつ判断を仰ぐ感じだ。今回についてはあまり根掘り葉掘りチェックはなく、家族以外の濃厚接触者なしと判断されたようだ。
○食糧支援物資 こんなものが届く
保健所からのやりとりの最後に「東京都からの食糧支援物資の提供があるが、受けるか」という確認事項があった。
いただくこととしたら、4日目の朝に届いた。これはつまり「3日間の食料品確保」はやはり大切だということだ。いきなり自宅待機を命じられても困らない程度の食材ストックが大事なことを改めて痛感した。
届いた物資、段ボールには一切記載がない。これは玄関先に置いておいたとき、隣人に感染者と知れて差別されるようなトラブルを回避するためだと思われる。「東京都 新型コロナウイルス陽性者自宅支援キット」なんて箱に大書されていたらイヤだなあと思っていたので、いい配慮だ。
段ボール2箱の配達は専用業者が行っているようだが、いわゆる「置き配」になる。直接誰とも接触せず、厳寒において立ち去る方法で、スタッフへの再感染を防ぐのだろう。
中身については「メーカーをいろいろ選んでいるな」というのが率直な印象だ。特定の食品会社に集中していないのは、おそらく意図的なものではないか。内容は
・水、2リットル×6本
・清涼飲料水、栄養ドリンクやゼリー飲料
・栄養補助食品(カロリーメイトなど)
・カップ麺
・おかゆ、レンチンご飯
・レトルト食材(中華丼、牛丼のもと、カレー等)
・缶詰(魚など)、めんつゆ等
・お菓子が少々
といったところだ。正直、小学生が喜んで食べるものではない。大人が買い物に出なくても何日か食べられるものを和食中心にチョイスされている感じだった。
ちなみに陽性者に1セット届く考え方で、待機者の家族の分は送られてこない(シェアすることができるボリュームではあるが)。家族がいる世帯の場合は、家族全員の待機を意識した食材ストックが大事といえる。
また、これは東京都の取り組みであることを追記しておく。
○ひとりぐらしの健康リスク どう備えるか
全体の感想としては、使えるインフラシステムは使いつつ、なんとか隔離期間も暮らせる体制を確保しているという印象だ。
一方で、「ひとりぐらしにリスクがあるな」ということは感じた。
家族や同居人がある場合、待機者は最低限度の買い物等の外出は一応許されている。実際、どうしても必要な食品の補充などはECサイトも使いつつ、何度か出かけた。もちろん混雑する時間を避けて、さっと往復するようにはしている。
ところがひとりぐらしで陽性になったら、そのまま自宅直行で外出ができなくなる。食材のストックが必要だというのは前述のとおりだが、体調が悪化していた場合は食事の準備もなかなか大変だ。家族の助けは大きい。
ひとりぐらしが友人に助けを求めても、玄関前に食材や日用品を届けるのが精一杯だろう。ひとりぐらしは「若者のひとりぐらし」「老人のひとりぐらし」といろんなパターンがあるが、社会的にどうサポートできるかは難しいテーマだろう。
これはコロナに限った話ではなく、これからの日本が抱える社会的課題でもある。
わが家では利用しなかったサービスとしては、ホテル隔離がある。陽性者が子どもなだけに、子どもひとりをホテル暮らしとさせるわけにはいかなかった。これが親の陽性判定であったら、家庭内再感染を防ぐ意味でもホテル隔離の依頼をしたかもしれない(友人ではそういう例もある)。
次回は、待機期間の子育て、勉強、子どもの反応などまとめてみたい。
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