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東京電力福島第一原発の事故を起こした当事国なんだから、原発に頼らない未来を描くって、当然のはずだと思うのだけど…。

 3月13日の朝日新聞社説は、「東電の事故から13年 原発に頼らない未来を描く」というタイトルです。

 「自然災害に原発事故が重なった現実が今も福島にある。」ということを、もはや忘れたかのごとく、岸田政権が、「原発の「最大限活用」へと政策を反転させ、新増設・建て替えや60年を超える運転を認める方針を決めた。次世代炉の開発も加速させるといい、原発に頼り続ける道を描」き、「60年を超える運転は、経済産業省が主導し、原子力規制委員会も多数決で認めた」ことに、「「核燃料サイクル」の行き詰まりや「核のごみ」の処分など、未解決の問題も山積したまま」、地震や津波、噴火などの災害大国日本で、これを決めた人たちは、どういう頭をしているのかと、虚しさを覚えずにはいられませんでした。

 東日本大震災から約1カ月後に、国道6号沿いにあった畳に手書きされた、「《国民ころすきか》《原発どこかえもってけ》」という看板があったということは初めて知りましたが、「国会議事堂へ持って行け、と今も思う」という語り部の方の気持ちなど、みじんも感じない人たちが確実に存在するのです。

 「終わりの見えない廃炉の現実と、事故の重い代償から目を背け」て、「事故の教訓を忘れ」、「原発に頼らない未来へ進む」ことなどないと考えて、「次世代炉の開発も加速させ」、「原発に頼り続ける道を描」いている人たちがいるのです。

 「脱炭素に向けては、太陽光や風力は劇的なコスト低下が進んでいる。広大な海を生かした洋上風力、ビルの壁面にも使える次世代太陽電池。自然環境と技術力を十分に生かし、国内で自給できる再エネの主力化に本気で取り組むことこそが、王道だ」と、社説で主張されているなかで、「原発が地域に取り返しのつかない被害をもたらす」ことを省みずに、「政権の政策転換を具体化していく動きが、徐々にかたちをとり始めている」のです。

 「被災者と現地の復興を支え続ける」のはもちろんですが、日本中どこでも「命と暮らしの喪失」を二度と経験しないためにも、「日本全体で原点を風化させないことを改めて確認すべき」です。

 そのためにも、原発に頼らない未来を描くのって、当然のはずだと思うのだけど…。

 

 

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