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「日常生活の問題を数学でどう解決できるか」を、そもそも先生たちがあまり考えていないのでは?

 12月6日の朝日新聞デジタルに、「日本の高校数学「日常生活絡めた指導」乏しい傾向 「残念」と文科省」という記事が出ています。

 「22年度から順次実施されている高校の新学習指導要領では実社会と数学の関わりが重視されている」のに、「数学の授業で日常生活を絡めた指導を受ける頻度が他国に比べて少ない」ということは、なんとなくそうだろうなぁと納得してしまいます。
 自分が受けた数学の授業も(もう30年以上前の話ですが)、ただ公式を覚えたり、繰り返し計算をしてやり方を覚えたりするだけだったような記憶があって、なんとなく数学ってそんなものなんだと思っていましたが、大人になって、発掘現場で平板測量をやる必要があった時、初めて三角関数の意味が分かったという体験があります。あの時ほど、数学って道具なんだ、数学って使えると便利なんだと実感したことはありません。高校時代にそれを教えてもらえれば、もっとおもしろく思えただろうなぁと思いますので、文科省の担当者の「生徒は数学が日常生活とつながっていると思えることで楽しいと感じ、より勉強に力が入る。だが、そうした経験が少ないという結果は残念だ」と受け止めるとのコメントには納得しますし、その通りだと感じます。 
 私の場合は、たまたまそのような仕事にかかわる機会があったので、このような経験をしたのですが、考えてみれば学校の数学の先生が、日常の仕事の中で、生活につながる場面で数学を使う機会など、そもそも持たないですよね。ですから、もしかすると先生自体が数学を日常生活で活用する場面を考えていないのかもしれません。自分が普段考えていないことを、生徒に向かって言うことなどないでしょうから、先生から「日常生活の問題を数学でどう解決できるか考えるよう」に言われないのではないかと思います。

 数学に限らず他の教科も同じですが、子どもにとってみれば、実感の持てない話はつまらないわけです。自分のことと感じれなければ、関係ないので、やらないですし、覚えません。特に数学のような数字ばかりでは無味乾燥で、他人事なわけです。大人でも一緒だと思いますが、自分事でなければやろうとは思わないでしょう。
 日常生活と結びつくような指導をすれば、想像がしやすくなりますので、身近に感じるようになるのではないでしょうか。そうならなければ、子どもならなおさら興味を持たないですよね。
 学びは自分の武器を増やす手段なんだということを、子どもたちが理解するようになるのは、やはり日常生活との結びつく指導が必要なるわけです。

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