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公立学校全体の採用倍率は3.4倍で、過去最低。

 12月25日に文科省から、令和4年度に実施された令和5年度公立学校教員採用選考試験の実施状況が公表されました。

 採用者総数は35,981人で、前年度に比較して1,666人増加、受験者総数は121,132人で、前年度に比較して5,258人減少ということです。
 校種別では、
・小学校が、競争率(採用倍率)は2.3倍(過去最低)で、前年度の2.5倍から減少
採用者数は17,034人で、前年度に比較して867人増加
受験者数は38,952人で、前年度に比較して1,683人減少(うち 新卒582人増加、既卒2,265人減少)
・中学校が、競争率(採用倍率)は4.3倍で、前年度の4.7倍から減少
採用者数は9,589人で、前年度に比較して437人増加
受験者数は41,048人で、前年度に比較して1,539人減少(うち 新卒401人増加、既卒1,940人減少)
・高等学校が、競争率(採用倍率)は4.9倍で、前年度の5.3倍から減少
採用者数は4,599人で、前年度に比較して105人増加
受験者数は22,463人で、前年度に比較して1,528人減少(うち 新卒312人減少、既卒1,216人減少)
ということです。

 文科省による「今回の調査結果に係る分析」は、
全体としての傾向は、「平成12年度以降の採用倍率低下については、大量退職等に伴う採用者数の増加と既卒の受験者数の減少によるところが大きい」という判断です。
小学校における傾向は、「令和5年度は採用者数が平成12年度の4倍以上の17,034人であり、これは昭和58年度以降、最多」で、受験者数は減少(1,683人)、「採用者に占める割合では既卒者の比率は引き続き減少している。また、既卒者のうち民間企業等勤務経験者は増加」、「受験者数の減少傾向は、臨時的任用教員や非常勤講師などを続けながら教員採用選考試験に再チャレンジしてきた層が正規採用されることにより、既卒の受験者が減ってきていることなどが理由」で、「大量退職・大量採用の状況により、既卒者の受験者数が減少し続けていることから採用倍率は引き続き低下」としています。
中学校・高等学校における傾向は、「全体として4.3倍、4.9倍の採用倍率を保っているものの、小学校と同様に既卒者の受験者数の減少が大きい(中学校1,940人減少、高等学校1,216人減少)。中学校の新卒受験者は前年に比べ401人増加したものの、全体の受験者数としては減少」しています。
 ただ分析と言っても、このようにデータを並べるだけでは、分析とは言えませんよね。データをどう読み判断するのか、そこから何が言えると考えるのかを述べなければ意味がありません。

 受験者が減少した理由を明確にしていないにもかかわらず、「意欲ある教師志願者を確保するため」、「教員採用選考試験の改善を促進する」としていますが、ここはやはり文科省として受験者が減少した理由をはっきりと示すべきだと思います。その認識が現実とどれほど乖離しているのかいないのか(想像以上に巷の認識と乖離していたら、それはそれでまずいですが)を明確にしなければ、どこから手を付けたらよいのか判断できないと思います(だから文科省のやることは、ずれているんだろうと想像できますが)。
 こんな感じでは、まだしばらく教員採用の問題も解決しそうもないですね。
 

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