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今年のPISAの順位は、正確なものとは言えない気がします。

 12月5日、経済協力開発機構(OECD)が、生徒の学習到達度調査(PISA2022)の結果を公表しました。同日付けの朝日新聞デジタルにも、「日本の15歳、読解力3位に上昇 科学は2位に 国際学習到達度調査」というタイトルで記事が出ています。

 朝日新聞の記事のあるように、日本の順位は「読解力」が前回18年の15位から3位に、「科学的リテラシー」も5位から2位に、「数学的リテラシー」は6位から5位と、3分野とも上がりました。
 コロナで21年調査が22年に延期された結果、3分野とも1位はシンガポール、前回、3分野全てで1位だった中国の「北京・上海・江蘇省・浙江省」はコロナの影響で参加せず、ウクライナへの侵攻でOECDの事業への参加が停止されたロシアも不参でしたし、日本はコロナで休校した期間が他国に比べ短かったということで、3カ月以上の休校があったと回答した生徒の割合は日本15.5%に対し、OECD平均は50.3%ですから、OECD各国はかなり多くの生徒が通常の学習機会を失っていたという状況ですから、本来の状況とは異なっているわけで、今回の順位が必ずしも正確な順位を示しているとは言い切れず、単純に喜んでいいのか、微妙な感じがします。
 
 また、PISAは前々回15年調査からコンピューターで出題・解答する形式になり、端末操作に日本の生徒が不慣れだったために前々回、前回と読解力の順位が落ちたとされていたのが、政府のGIGAスクール構想で端末が1人1台になり、端末を使い慣れたことも順位を押し上げた要因の一つと文科省はみているとされています。文科省的にはGIGAスクール構想の成果と強調したいのでしょうが、本当にそうなのか検証してみないと何とも言えないと思いますが。

 PISAは、単純に知識量を問うのではなく、学びと実生活を結びつけた思考力や読解力などを問うのが特徴であり、日本は数学的リテラシーの面では問題点も指摘されています。この点は大事なポイントだと思いますので、改めてコメントします。

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