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ココロココ

「みゆさん」と呼んで親しくさせてもらっている清水美由紀さんは、フォトグラファー、なのだが、いくつかのWEBマガジンのライターとしても動いているし、最近はカリグラフィーやテーブルスタイリングも学びはじめ、その好奇心と表現が多岐にわたるクリエイターだ。昨秋には、これまたみゆさんが関心を寄せて通いはじめた「詩の教室」を主宰する、安曇野在住の詩人、ウチダゴウさんの自宅兼アトリエに併設されている展示室〈SHITEKI NA SHIGOTO Gallery〉と、栞日2F企画展示室の二会場同時開催で、自身初となる「個展」を開催した。

そもそもの始まりは、開業1年目の栞日に、松本出身のみゆさんが、仕事の拠点にしている東京から帰省したとき、ふらりと立ち寄ってくれたことだった、と記憶している。夏に開業した栞日が、冬を越え、初めての春を迎えたとき、元カメラ屋で写真館でもあった当時の(移転前の/現〈栞日INN〉の)栞日の3Fをスタジオに見立てて、みゆさんが予約制の撮影会「春かすみ写真館」を開催したこともあった。その後も、帰省の度に顔を出してくれて、折に触れて彼女がライターを務めているオンラインメディアで栞日のことを(もちろん毎回、彼女の澄んだ写真を添えて)紹介してくれていた。我が家の長男と彼女の愛娘が同い年なんてこともあって、もはや親戚のような、家族のような感覚すらある。


そんなみゆさんが、もうすぐ開業1周年という時期に栞日を紹介してくれたWEBマガジン『ココロココ』で、実に6年ぶりに栞日の記事を書いてくれた。「地方と都市を つなぐ・つたえる」をテーマに掲げる『ココロココ』編集部が、このコロナ禍に陥って以降、栞日のSNSに連日投げ込まれる長文に、目を留めたようだ。東京での市中感染が拡大するよりもずっと以前から松本の実家に引き上げていたみゆさんが、ライターとして声をかけられ、僕に取材依頼の連絡をくれた。撮影だけを短時間で手早く済ませ(それでも押さえるところを抜かりなく押さえるみゆさんは、やっぱりプロのフォトグラファーだ)、後日Zoomでインタビュー。その日は、長野県でも、国が下した緊急事態措置の対象区域を全国に拡大するという判断を受けて、対策特別本部会議が開かれ、休業要請の詳細が決まり、発表された、4.21[火]だった(記事の内容も、インタビュー当時の状況を踏まえた記述として捉えていただけたら)。


あれから約1ヶ月。事態も社会もめまぐるしく変化し続けているし、僕ら一人ひとりも日々その対応を迫られている。先週 5.15[金]にリリースされた『ココロココ』のみゆさんの記事を読んで、1ヶ月前の自分がみゆさんに話したことをなぞっていたら、「いま」この瞬間の対応に追われ、前のめりになっている自分に気づき、ハッとした。誰かが記述してくれた自分についての文章は、自らを客体化して俯瞰するための貴重な機会を与えてくれる。今回も、みゆさんの記事のおかげで、僕は呼吸を整えて、自身の考えと静かに向き合い、点検することができた。この先も、この記事に立ち返れば、「菊地さん、あのときこんなこと云っていましたよ」と、いつでもみゆさんが教えてくれる。本当に、ありがたい。

僕は以前からみゆさんの書く文章を好いていて(そのことは本人にもずっと伝え続けている)、先日、WEB版フリーペーパー『書を読もう、家に居よう』で綴ってくれた雑誌『Ku:nel』に寄せる想いも「みゆさんだなぁ」と頬を緩めながら読んだ。みゆさんの文章は、彼女が撮る写真そのもので、いつも柔らかく、淀みなく、さらさらと素直に流れていく。今回の事態が落ち着いたら、みゆさんと一緒に取り組みたい企画もある(このことも本人にずっと打診していて、みゆさんに文章も写真もお願いしたい、と考えている)。そのときしっかり彼女と共演できるように、いまから僕も自らを律し、鍛えてかなくては、と思う。


みゆさん、今回もありがとうございました。これからも、どうぞよろしくお願いします。

photo _ 清水美由紀

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