いま聴いてほしい

先日のラジオ番組(正確には、画面を静止画で固定することによる「ラジオっぽい」YouTubeライブ配信)「コトトバ」出演のおかげで、すっかり「やっぱラジオっていいなぁ」となっている僕が、うっかりパーソナリティー気分に浸って、お届けするきょうの1曲(ちなみに「コトトバ」が気になったみなさん、YouTubeチャンネル「コトトバ」にアーカイブがあります。1時間って案外ながいから、洗濯とか料理とか部屋の片付けとか進めながら聞き流していただくことをオススメします)。

ここ数日、この曲の次のフレーズが脳内リフレインされることが頻繁にあって、

> 「あのひとつひとつに 日常があって わたしの知らない 物語があって」

けさ起き抜けに久しぶりに通して聴いたら、次のパートで危うく涙するところだった。

> 「いつどこでなにが起きるか わからない世界の果て パラレルに日々はつづく つづける を つづけてゆく 広がるこの空の下 わたしもここにいるんだって思った」

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いま世界では「不要不急」「自粛」「緊急事態」が、まるで唯一無二の「正義」であるかのように繰り返し叫ばれ、本来おなじフィールドあるいはカルチャーシーンにいて価値観を共有しあってきた仲間たちのあいだですら、不可解な分断を生んでいる。「正しさ」も「美しさ」も「愛おしさ」も、誰かの人生の数だけあったはずだし、ひとりの人生の中でだっていかようにも変化していくはずなのに。

SNSのタイムラインで、主義主張がぶつかり合い、人と人とがいがみ合い、何かが裂けていく音を聴くのは、ただただ哀しい。だって、この優れた情報技術たちは、きっとこの曲の中で綴られているような何気ない日常を共有して、互いにふっと微笑んでしまうために、あるはずだったのだから。

> 「今 空 すごいよ」 出先から届く あの人の写真 真っ赤な夕暮れどき

菊地徹 / 栞日

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