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仮想通貨が根本から変える音楽ビジネス生態系


<pick up news>
●フェイスブック、独自通貨「Libra」を公開──送金、買い物で始まるか、"FB経済圏"? 


●新仮想通貨「リブラ」の今知っておくべきこと


 先週のニュースで一番のインパクトはFaceBookによる仮想通貨発行の発表でしょう。国家が管理する通貨とは別のレイヤーで使われる仮想通貨は様々なものが発行されていますが、現状だと、投機的な思惑が先行して、投資家、資産家の新たなポートフォーリオ以上の存在にはなっていません。インターネット以上に社会を変えると言われているブロックチェーン技術の具体的な活用例はまだまだ少ないのが実情です。
 親戚友人知人のネットワークを可視化して、全世界に23億人以上のユーザーが居るFaceBookで仮想通貨が導入されれば、友人知人間の国境を超えた資金の移動や、仲間内の少額の支払いなどに使われて、仮想通貨が一気に広がっていく可能性があります。
 当然ですが、金融の専門家からも大きな注目を集めています

●「リブラ」は、国家管理に対する重大な挑戦になる|野口悠紀雄


 社会の進歩とともに、「信用」そのもののあり方が変わっているところで、分散型にすることによって記録の改ざんを防ぐという防ぐというブロックチェーンの存在は、「取引」
のやり方を根本から変えていくことになるのでしょう。正直、何が起こるか僕の想像力ではカバーできないのですが、大規模で抜本的な革命的な出来事になるでしょう。


●Spotifyがフェイスブックの仮想通貨Libraを支援

 いち早く、Spotifyが参加を表明しているのも大注目です。FaceBookとは経営陣が属人的に近いだけではなく、サービスとしての思想に共通点があるのでしょう。ブロックチェーンの登場で音楽ビジネスの生態系が構造的に変わり、書き換えられることは間違いないのですが、FaceBook/Libra/Spotifyという組合せは、思ったよりその変革が早まる可能性を感じさせます。ユーザーからの使用料も、権利者、音楽家への分配も全て、ブロックチェーンで行うことで、即時性、透明性などが一気に高まるだけでなく、分配コストが大きく下がることも期待できます。

 ちなみに先週、経済産業省の平成30年度「コンテンツグローバル需要創出等促進事業費補助金(J-LOD)」事業で補助対象となる事業の採択が決まったのですが、僕が協力している案件が2つ入りました。一つは音楽著作権の登録を音楽家主導で行い、JASRAC、NexToneへの登録が一気通貫でできる楽曲データベースの充実にも繋がる実証実験です。もう一つは、キャラクターなどの知財を活用する仕組みで、どちらもブロックチェーン技術の本質を踏まえた先駆的な試みになっている僕なりには自負していたのですが、このニュースを見ていると「今年度は実証実験を行って、来年度からの事業化を目指し、、、」というテンポ感では世界の流れに遅れてしまいそうです。日本が新しい国際ルール作りで蚊帳の外にならないようにという意識もとても重要だと思っています。

 著作権ビジネスは、長年の業界慣習と、複製権をベースにした著作権法と、無数の契約について積み上げられている世界です。デジタル化とクラウド化で有効性を失ったり、矛盾を抱えているルールがたくさんありますが、利害関係が複雑で簡単には整理できないのが現状です。そこを一新する新しいルールと仕組みはブロックチェーン技術と共に確立することは(そこまでは時間がかかるという意味も含めて)間違いないことだと思っています。早くて10年、遅くて20年くらいの期間で新たなコンテンツビジネスの生態系ができあがることでしょう。FaceBookのLibraは、その実現を早めるアクセルになるかもしれません。そんなことをこのニュースから考えました。

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